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神様が死んだ日
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結果が同じなら、せめて勘違いされていたかった。その方がまだ救いがあると思えた。
明は本当のことを知らないから、ちゃんと言えばきっとわかってくれるはずだって、許される余地を残しておきたくて。
でもそんなのはおれの独り善がりで、どっちにしたって明からしたらおれが裏切り者であることに変わりはない。
幼なじみに利用されるのと、そういう意味で好かれていたという事実だったら、どっちの方がマシなんだろうって何回も考えた。
でもそんなのおれがいくら考えたところで答えなんて出るわけもなく。
だから明に決めてもらおうと思った。
また傷つけることになるかもしれないけど、その時は何回だって謝るから。
少なくとも、明を利用したことなんてないってわかって欲しかったから。
結果は変わらないかもしれないけど、でもそれなら、おれは明に本当のことを言おう。
もう、嘘はおわり。
「てことでおれは今日明にフラれるから帰ったらメンタルケアよろしく」
「おけ」
「いやそこは嘘でも否定しろよ、応援しろよ。お前おれの唯一の友達だろ」
「友達だからこそ無駄な期待はさせられないよネ」
「こんな時まで薄情~」
リビングのテーブルにぺたりと頬をくっつけて項垂れていたら誰かに髪を撫でられた。
誰かって、二人部屋なんだからそんなの羽宮しかいないんだけど。思いがけず優しいその手つきにほんの少し別人を疑った。
「瀬尾。お前がフラれたら、オレがもらってあげる」
落とされた言葉にちらりと視線をやると、頬杖をついて緩く笑う羽宮がいた。
やわらかい金髪は今日は後ろで一つに括られている。
「…おれは弁当か」
「あは、バレた?」
「羽宮はおれに冷たいからイヤ」
「はあ?お前なんもわかってないね。オレがどんだけお前に優しくしてると思ってんの」
「記憶にございませーん」
「ふーん。じゃあ、いっこ教えてあげよっか」
羽宮の笑顔は綺麗で、胡散臭い。
「オレね、たまごやきはしょっぱい派」
予想していなかった言葉にぱちりと目を瞬く。
なんだ、つまりそれは。
「あまーいたまごやきだけを作ってきたおれに対する文句ってこと…?」
「……あーあー、まじで瀬尾って馬鹿。救いようがない」
「はあ!?喧嘩売ってんなら買うぞ」
「もう黙って、まじで」
はあ、とこれ見よがしにデカいため息をついて顔を覆う羽宮。なんだよキレたいのはおれの方なんだけど。
「お前はもうちょっとオレの愛に気づいた方がいいよ」
呆れたようにそう言った羽宮に、心の中で返事をする。
お前が結構おれに優しいことなんて、ちゃんとわかってるよ。
*
「い、いってくる…」
「いってら」
放課後を告げるチャイムが鳴り響くなか、羽宮に強めに背中を叩かれておれは教室を出た。
向かうのは、明の教室から生徒会室のある特別棟に行くまでの途中の廊下。
教室だと目立つから、人気の少ないうえに生徒会室に行くうえで必ず通るその場所で明を待ち伏せすることにした。
呼び出しなんてしたところでまず間違いなく明は来ないので、結局いつも待ち伏せするしかない。
あー悲しいなあ、と思っていたところで視界の端で揺れるミルクティーに気づく。
会いたくて、だけど会いたくなかった明がいた。
目は合わない。でもきっと明はおれの存在に気づいていて、それでも全てを無かったことにして目の前を通り過ぎていく。
ああ嫌だ、逃げたい、やっぱり怖い。
なんて弱っちい感情は全部手のひらの中で握り潰して、背中を追いかけたおれは明の進路に立ち塞がった。
「明、話がある」
「…どけ」
「おれ、ずっとお前に嘘ついてた。でももう終わりにするから。全部話すから、だから、おれの話聞いてほしい」
「あ、そう」
す、と横にずれてまた歩き始める明の背中におれは叫んだ。
「高峯に脅されてた…っ!明のこと好きだから協力しろって、じゃないとバラすって言われて断れなかった!ほんとうは金なんてもらってない、あいつ明が来るのわかってて、いきなりおれに金押し付けてきて、だから」
「ぷっ、ははっ、あははは…!」
言葉が上手く羅列できなくて、ちゃんとわかってもらえないかもって焦ってたら、唐突に明が笑い出した。放課後のざわめきが少し遠くに聞こえる、おれ達しかいないこの場所でその声はよく響いた。
「っはー、笑わせんなよ。今さらそんな取ってつけたような作り話、誰が信じるの?もう少しマシな嘘考えろって。大体、それが本当だとしてなんで今まで黙ってたわけ?なにを脅されるっていうんだよ。人でも殺した?お前には無理か、ははっ」
「…っ、」
見下すように笑いながら、明はいとも簡単におれの言葉を踏み躙る。
そりゃあさ。
おれが悪いよ、全部おれが悪い。
すぐに信じてくれるなんて、許してくれるなんて思ってなかったけど。
うそ、ほんとはちょっと思ってた。
だけどさ、こんなにまでおれの言葉は明に届かないのか。
どんだけ嫌われてたって本当のことさえ言えばって、バカなおれは身勝手にも信じていたから。
あの時、どう見たって怪しい場面を見た後でさえ、おれを信じて話を聞こうとしてくれた時に全てを話せていれば。
きっと今とは違う未来があったのだ。
「…すき、なんだよ」
声に出して仕舞えば、たった一言だった。
「ずっと、おれはお前のことが好きだった」
最初からそう言えればよかったのにね。
「…は?」
「それが高峯にバレたんだ。めい、恋愛感情向けられるの昔からすごい嫌がってたし、しかもおれ、男、だし。信頼してもらってるし、おさななじみ、っなのに…申し訳なくて、きらわれたくなくて、言えなかった…っ高峯に逆らえなかった!…ぅ、ごめんめい、ごめんなさっ…」
泣くのってなんかずるいから、ほんとは泣きたくないのに。勝手に溢れて止まらなかった。
嫌だなあ。こんなの、悲劇のヒロインみたいだ。
ぽたぽたと止まらないそれを制服の袖で拭いながら、おれは怖くて明の方を見れずにいた。
「ほんとに言っちゃうんだ。あんなに隠してきたのにね」
「…!お前、なんで」
いつのまにか音もなく横に立っていた高峯が、やっぱり瀬尾くんって救いようがないくらいバカなんだねと笑った。
「なんでわからないの?自分じゃこの人には相応しくないって。想いを告げることさえ罪に値するのに、身の程も知らないで。相楽くんの周りにはそういう人間ばっかり。下劣で愚かな生き物が美しい天上のお方に焦がれるなんて許されない。そんな汚い欲に晒されたら、相楽くんの綺麗な羽が穢れてしまうのに…!」
陶酔したようにつらつらと語る高峯の様子は普通じゃなかった。
明への崇拝と執着で曇り切ったその目には、実際明のことなんてなに一つ見えていないのだろう。
自分の理想を押し付けて、決めつけて、自分とは違う存在なんだって線を引く。
おれだってお前らに言ってやりたいよ。
明の周りにはこんな奴ばっかりだって。
「バッカじゃねーの!?」
神様とか天使とか、運命だとか。
ほとんどの奴が明のことをそんなふうに形容するけれど。おれだって例外なく、明の美しさに惹き寄せられて、天使みたいだなんて思ってしまうこともあるのだけれども。それでもおれは、明が本当はただの人間で、ちょっと顔が綺麗なだけのどこにでもいる普通の高校生なんだって知ってるから。
「明に変な理想を押し付けるんじゃねえよ!言っておくけど、明はお前らが思ってるほど綺麗な人間じゃねーからな!くだらない漫画で笑うし、自分のデザート勝手に食われたらありえないくらいキレてくるし、寝起きは悪いし、おれ達と何も変わらない普通の人間なんだよ!お前らみたいな奴が明を勝手に神聖視して、心酔して、信仰するから。だから明が、生きづらくなるんだろうがっ…!」
ああ、ほんとに。どの口が言うんだろう。
明に心酔して、信仰して、今なお執着し続けているのはこのおれだというのに。
だけど、そうだとしても、おれはこいつに一言言ってやらなきゃ気が済まなかった。
「お、まえ…」
驚いたように目を見開いた明がおれを見つめている。馴れ馴れしくも昔のエピソードなんか引っ張り出してきてキモって思ってるかも。まあいい、もうどうにでもなれって気持ちだ。最大の秘密を明かした今のおれにもう怖いものなんてない。
「…やっぱり、瀬尾くんは相楽くんの近くにいていい存在じゃない。瀬尾くんだけじゃない。この世界の人間ぜんぶ、相楽くんの害にしかならない」
昨日と同じようにぶつぶつと何かを呟く高峯の様子に嫌な予感がした。
ゆっくりと歩き出したその先には明がいて、後ろには下へと続く階段がある。
「っ待て、高峯」
「…綺麗なものは僕が守らないと。美しい天使様が穢されないように、神様の元にお返ししてあげるの」
高峯の腕が明へと伸ばされる。
その様子に、考えるよりも先に体が動いた。
「やめろっ…!」
なんだ、おれ意外と動けるんじゃん。
なんて現実逃避のように考えながら、高峯の腕が届くよりも先に明の体を反対側に突き飛ばした。
「ッきよ…!!!」
ドン、と代わりに押し出された体と束の間の浮遊感。
世界がやけにスローモーションに見えるのは、走馬灯の一種なのだと思った。
落ちていく感覚に終わりを悟りながら、最後に必死な顔をしておれに手を伸ばす明の姿が見えたような気がした。
(あれ、てか今、明おれのこと名前で呼ばなかった…?)
こんな時でさえおれの思考はどうしようもない。
ガツンと頭部に衝撃、そして暗転。
明は本当のことを知らないから、ちゃんと言えばきっとわかってくれるはずだって、許される余地を残しておきたくて。
でもそんなのはおれの独り善がりで、どっちにしたって明からしたらおれが裏切り者であることに変わりはない。
幼なじみに利用されるのと、そういう意味で好かれていたという事実だったら、どっちの方がマシなんだろうって何回も考えた。
でもそんなのおれがいくら考えたところで答えなんて出るわけもなく。
だから明に決めてもらおうと思った。
また傷つけることになるかもしれないけど、その時は何回だって謝るから。
少なくとも、明を利用したことなんてないってわかって欲しかったから。
結果は変わらないかもしれないけど、でもそれなら、おれは明に本当のことを言おう。
もう、嘘はおわり。
「てことでおれは今日明にフラれるから帰ったらメンタルケアよろしく」
「おけ」
「いやそこは嘘でも否定しろよ、応援しろよ。お前おれの唯一の友達だろ」
「友達だからこそ無駄な期待はさせられないよネ」
「こんな時まで薄情~」
リビングのテーブルにぺたりと頬をくっつけて項垂れていたら誰かに髪を撫でられた。
誰かって、二人部屋なんだからそんなの羽宮しかいないんだけど。思いがけず優しいその手つきにほんの少し別人を疑った。
「瀬尾。お前がフラれたら、オレがもらってあげる」
落とされた言葉にちらりと視線をやると、頬杖をついて緩く笑う羽宮がいた。
やわらかい金髪は今日は後ろで一つに括られている。
「…おれは弁当か」
「あは、バレた?」
「羽宮はおれに冷たいからイヤ」
「はあ?お前なんもわかってないね。オレがどんだけお前に優しくしてると思ってんの」
「記憶にございませーん」
「ふーん。じゃあ、いっこ教えてあげよっか」
羽宮の笑顔は綺麗で、胡散臭い。
「オレね、たまごやきはしょっぱい派」
予想していなかった言葉にぱちりと目を瞬く。
なんだ、つまりそれは。
「あまーいたまごやきだけを作ってきたおれに対する文句ってこと…?」
「……あーあー、まじで瀬尾って馬鹿。救いようがない」
「はあ!?喧嘩売ってんなら買うぞ」
「もう黙って、まじで」
はあ、とこれ見よがしにデカいため息をついて顔を覆う羽宮。なんだよキレたいのはおれの方なんだけど。
「お前はもうちょっとオレの愛に気づいた方がいいよ」
呆れたようにそう言った羽宮に、心の中で返事をする。
お前が結構おれに優しいことなんて、ちゃんとわかってるよ。
*
「い、いってくる…」
「いってら」
放課後を告げるチャイムが鳴り響くなか、羽宮に強めに背中を叩かれておれは教室を出た。
向かうのは、明の教室から生徒会室のある特別棟に行くまでの途中の廊下。
教室だと目立つから、人気の少ないうえに生徒会室に行くうえで必ず通るその場所で明を待ち伏せすることにした。
呼び出しなんてしたところでまず間違いなく明は来ないので、結局いつも待ち伏せするしかない。
あー悲しいなあ、と思っていたところで視界の端で揺れるミルクティーに気づく。
会いたくて、だけど会いたくなかった明がいた。
目は合わない。でもきっと明はおれの存在に気づいていて、それでも全てを無かったことにして目の前を通り過ぎていく。
ああ嫌だ、逃げたい、やっぱり怖い。
なんて弱っちい感情は全部手のひらの中で握り潰して、背中を追いかけたおれは明の進路に立ち塞がった。
「明、話がある」
「…どけ」
「おれ、ずっとお前に嘘ついてた。でももう終わりにするから。全部話すから、だから、おれの話聞いてほしい」
「あ、そう」
す、と横にずれてまた歩き始める明の背中におれは叫んだ。
「高峯に脅されてた…っ!明のこと好きだから協力しろって、じゃないとバラすって言われて断れなかった!ほんとうは金なんてもらってない、あいつ明が来るのわかってて、いきなりおれに金押し付けてきて、だから」
「ぷっ、ははっ、あははは…!」
言葉が上手く羅列できなくて、ちゃんとわかってもらえないかもって焦ってたら、唐突に明が笑い出した。放課後のざわめきが少し遠くに聞こえる、おれ達しかいないこの場所でその声はよく響いた。
「っはー、笑わせんなよ。今さらそんな取ってつけたような作り話、誰が信じるの?もう少しマシな嘘考えろって。大体、それが本当だとしてなんで今まで黙ってたわけ?なにを脅されるっていうんだよ。人でも殺した?お前には無理か、ははっ」
「…っ、」
見下すように笑いながら、明はいとも簡単におれの言葉を踏み躙る。
そりゃあさ。
おれが悪いよ、全部おれが悪い。
すぐに信じてくれるなんて、許してくれるなんて思ってなかったけど。
うそ、ほんとはちょっと思ってた。
だけどさ、こんなにまでおれの言葉は明に届かないのか。
どんだけ嫌われてたって本当のことさえ言えばって、バカなおれは身勝手にも信じていたから。
あの時、どう見たって怪しい場面を見た後でさえ、おれを信じて話を聞こうとしてくれた時に全てを話せていれば。
きっと今とは違う未来があったのだ。
「…すき、なんだよ」
声に出して仕舞えば、たった一言だった。
「ずっと、おれはお前のことが好きだった」
最初からそう言えればよかったのにね。
「…は?」
「それが高峯にバレたんだ。めい、恋愛感情向けられるの昔からすごい嫌がってたし、しかもおれ、男、だし。信頼してもらってるし、おさななじみ、っなのに…申し訳なくて、きらわれたくなくて、言えなかった…っ高峯に逆らえなかった!…ぅ、ごめんめい、ごめんなさっ…」
泣くのってなんかずるいから、ほんとは泣きたくないのに。勝手に溢れて止まらなかった。
嫌だなあ。こんなの、悲劇のヒロインみたいだ。
ぽたぽたと止まらないそれを制服の袖で拭いながら、おれは怖くて明の方を見れずにいた。
「ほんとに言っちゃうんだ。あんなに隠してきたのにね」
「…!お前、なんで」
いつのまにか音もなく横に立っていた高峯が、やっぱり瀬尾くんって救いようがないくらいバカなんだねと笑った。
「なんでわからないの?自分じゃこの人には相応しくないって。想いを告げることさえ罪に値するのに、身の程も知らないで。相楽くんの周りにはそういう人間ばっかり。下劣で愚かな生き物が美しい天上のお方に焦がれるなんて許されない。そんな汚い欲に晒されたら、相楽くんの綺麗な羽が穢れてしまうのに…!」
陶酔したようにつらつらと語る高峯の様子は普通じゃなかった。
明への崇拝と執着で曇り切ったその目には、実際明のことなんてなに一つ見えていないのだろう。
自分の理想を押し付けて、決めつけて、自分とは違う存在なんだって線を引く。
おれだってお前らに言ってやりたいよ。
明の周りにはこんな奴ばっかりだって。
「バッカじゃねーの!?」
神様とか天使とか、運命だとか。
ほとんどの奴が明のことをそんなふうに形容するけれど。おれだって例外なく、明の美しさに惹き寄せられて、天使みたいだなんて思ってしまうこともあるのだけれども。それでもおれは、明が本当はただの人間で、ちょっと顔が綺麗なだけのどこにでもいる普通の高校生なんだって知ってるから。
「明に変な理想を押し付けるんじゃねえよ!言っておくけど、明はお前らが思ってるほど綺麗な人間じゃねーからな!くだらない漫画で笑うし、自分のデザート勝手に食われたらありえないくらいキレてくるし、寝起きは悪いし、おれ達と何も変わらない普通の人間なんだよ!お前らみたいな奴が明を勝手に神聖視して、心酔して、信仰するから。だから明が、生きづらくなるんだろうがっ…!」
ああ、ほんとに。どの口が言うんだろう。
明に心酔して、信仰して、今なお執着し続けているのはこのおれだというのに。
だけど、そうだとしても、おれはこいつに一言言ってやらなきゃ気が済まなかった。
「お、まえ…」
驚いたように目を見開いた明がおれを見つめている。馴れ馴れしくも昔のエピソードなんか引っ張り出してきてキモって思ってるかも。まあいい、もうどうにでもなれって気持ちだ。最大の秘密を明かした今のおれにもう怖いものなんてない。
「…やっぱり、瀬尾くんは相楽くんの近くにいていい存在じゃない。瀬尾くんだけじゃない。この世界の人間ぜんぶ、相楽くんの害にしかならない」
昨日と同じようにぶつぶつと何かを呟く高峯の様子に嫌な予感がした。
ゆっくりと歩き出したその先には明がいて、後ろには下へと続く階段がある。
「っ待て、高峯」
「…綺麗なものは僕が守らないと。美しい天使様が穢されないように、神様の元にお返ししてあげるの」
高峯の腕が明へと伸ばされる。
その様子に、考えるよりも先に体が動いた。
「やめろっ…!」
なんだ、おれ意外と動けるんじゃん。
なんて現実逃避のように考えながら、高峯の腕が届くよりも先に明の体を反対側に突き飛ばした。
「ッきよ…!!!」
ドン、と代わりに押し出された体と束の間の浮遊感。
世界がやけにスローモーションに見えるのは、走馬灯の一種なのだと思った。
落ちていく感覚に終わりを悟りながら、最後に必死な顔をしておれに手を伸ばす明の姿が見えたような気がした。
(あれ、てか今、明おれのこと名前で呼ばなかった…?)
こんな時でさえおれの思考はどうしようもない。
ガツンと頭部に衝撃、そして暗転。
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