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聖母

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モールに着くと、丁度嵐が来た。



横殴りの雨にうたれるまえに、おれたちはホームセンターに入った。



「あら、こんな日に、こんなタイミングでどうしたの!?」



買い物かごを整理していた斎藤さんに出会った。



「いや~、ちょっと嵐の前に買い物しとこうと思って」

「後のほうがよくない?あら、真央ちゃんまで、こんにちは!」

「……こんにちは」



真央はペコリとあいさつを返した。おれは静かに驚いた。



「斎藤さ~ん、お先っス~!って、うわっ!降り出してるっ!」

「はっはっはっ、先輩より早く帰ろうなんてするからだよ、春木~!」



春木くんだった。当然、両手があった。



「……よければ君のコーヒーが飲みたいんだけど、ダメかな?」



おれが春木くんに唐突に言うと、春木くんは目が点になった。



「あえ!?べつにいいけど……?え?どこで俺の能力がコーヒーだって知ったんだ?」

「まあ、風のうわさで」

「十兵衛くん、チャレンジャーだなあ!」



斉藤さんが感心したように言った。



「ちょっ!?失礼な!」

「頼むよ」



憤慨している春木くんに、バックパックから取り出したマグカップを差し出した。



「ええ!?まじで言ってる?」

「まじ」

「……よーし!そんじゃ、とびっきりのコーヒーを淹れてやるぜっ!」



春木くんはマグカップを受け取ると、腕まくりをして目をつぶった。集中していた。



マグカップの底から、みるみる黒い液体が滲み出てきた。



「……ふぅ!お待ちっ!熱いから気をつけてくれ!」

「ありがとう!まずっ!」



舌に触れた瞬間、強烈な苦味と酸味が脳天を突き抜けた。熱いとかそれ以前の問題だ。なるほど、とびっきりのコーヒーだった。



だが、おれは飲んだ。



「お、おいおい、無理すんなよ……!」



春木くんが心配していた。



「大丈夫。……真央、おいしいから飲んでみ?」

「……よくそんな堂々と嘘つけますね」



だが、真央はマグカップを受け取り、一口飲んだ。顔が一気にげんこつになった。涙も滲んでいた。



おれたちは爆笑した。



斎藤さんも飲み、春木くん自身も飲んで爆笑していた。



「俺はまたなんてもんを生み出しちまったんだ……!?」



春木くんは自分の能力に戦慄していた。



おれがコーヒーを飲み切ると、自然と拍手が起きた。



「根性あるな!え~と?」

「ああ、絹川十兵衛だ」

「十兵衛って名前なの?へえ、かっこいいな!俺は春木龍一郎」

「……そっちもなかなかじゃないか」

「へっへっへ」



春木くんは声を出して笑った。人懐っこそうな笑みだった。



「じゃ、俺はそろそろ行くよ。これ以上嵐がひどくなる前に帰らねーとな」

「……春木くん」



おれは自動ドアを開けて、出ていこうとした春木くんの背に声をかけた。



「コーヒーありがとう。また飲ませてよ」



春木くんは振り返った。ぽかんとした顔をしていた。



「……お前、ホント珍しいやつだなあ~!いいぜ!いつか店開く予定だからよ!」

「楽しみにしてる」

「……わたしも、飲ませてください」



真央が言った。おれは驚いた。



春木くんも、斎藤さんも驚いていた。



「……うん、何杯でも飲んでよ」



春木くんがやさしい声で微笑んだ。ちょっと涙ぐんでいた。



「何杯もはいりません」



真央は、微笑みを返した。きれいな笑顔だった。





「やっぱり」



おれはホームセンターの中央あたりで、足をタップさせていた。



「エレベーターを探そう」



真央はうなずいた。



スタッフ専用ドアをこっそり開けて忍び込むと、ほどなくエレベーターは見つかった。



エレベーターに乗り込むと、表示されている階数は上のフロアだけだった。地下の表示はなかった。



「しょうがない。ちょっと失礼」

「わっ」



おれは真央を片手で抱え上げた。



「ハッ!」

「え?」



おれはエレベーターの床を踏み抜いた。足型に床が抜けた。それを何度も繰り返して、人が抜けられるくらいの穴を開けた。



「え?え?」



下には、地下空間があった。



「よし、いくぞ!しっかり、つかまってろ!」

「えっ?」



おれは返事を待たず、真央を抱えたまま穴に飛び込んだ。



「ひっ」



真央が悲鳴を押し殺した声が耳元で聞こえた。予想より穴は深かった。一階分くらいかと思ったら、五階分くらいはあった。着地した時、やや足が痺れてしまった。



「苦しい」



真央はおれの頭をがっちり抱え込んでいた。



「ば、ばかなんですか!?」

「失礼な。迅速性を尊んだだけだ。おれたちは忍び込んでいるわけだからな!」

「忍び込んでいる自覚のある人が、あんな大きな音させて床を踏み抜かないでください。というか、そもそも踏み抜けるものなんですか?鉄ですよ?」



真央は非常識な人間を責めるような口調で言った。



「……あと、ちょっと遠慮が無さすぎじゃないですか?降ろしてください」

「はい」



おれは素直に従った。着地した真央は膝が笑っていた。



「まったく……。なに笑ってるんですか?」

「いや、なんでも」



おれは笑いを噛み殺して、エレベーターの扉をこじ開けた。エレベーター室がないため、斜め上の位置に扉があった。おれは一足先にジャンプして、抜け出した。



ひっぱりあげようと、手を伸ばした。



真央は、むくれた顔で手を取った。



手をつないだまま、おれたちは一本道の暗い通路を歩いていった。



「……あの、十兵衛さん」

「なんだ?」

「今更なんですけど、エレベーターを上の階にやってから、扉をこじ開ければ良かったのでは?」

「……それもそうだな」



盲点だった。



「……十兵衛さんって本当に強かったんですね。すごいです」

「ま、真央が気を遣っただと!?お前、さては馬鹿って言葉を飲み込んだだろ!?」

「なにを言ってるんですか。本当にすごいです。褒めてます」

「本当かあ?」

「本当ですよー。それに今更気づいたのはわたしも同じですし」

「じゃあ、両方馬鹿ってことだな!」

「……それは違います」

「おいー!切り捨てるような目をするな!」



くだらない話をしていたら、通路は終わり、明るく開けた場所に着いた。吹き抜けになっていて、天井まで五階分くらいの高さがあった。



そこは発電施設だった。大小様々な配管があちこちに張り巡らされ、街中にエネルギーを供給していることが見て取れた。



だが、奇妙なことに発電するための機械は一切見当たらなかった。



「……あそこだ」



おれは配管の集まっているところを指さした。真央が走り出す。おれも追った。



大きな試験管のようなものが横たわっていた。その中には溶液が満たされていた。



銀髪の美しい女性が沈んでいた。



「おかあ……さん……!」



真央の母親だった。記憶で見た姿と寸分も違わなかった。真央は試験管にすがりつき、涙を流した。



「……ここに来るまでの間、だれにも会いませんでした。それは、やっぱりあなた一人で警備は十分だってことですか?朝倉さん」



「……気づいていたか」



おれが声をかけると、朝倉さんは暗い通路から一人姿を現した。



「その通りだ。……俺はここで彼女を守るという役目を負っている」



朝倉さんは、なんとも気まずそうな顔をしていた。



「……このままなにもしないで帰るなら、黙っていよう」



「エレベーターの穴はどうするんですか?」



朝倉さんは肩をすくめた。



「老朽化が原因とでも言うさ。とにかく、帰りなさい」



朝倉さんの足元から、威嚇するように床が凍っていった。それどころか部屋中の温度が急激に下がり、おれたちの呼気は白くなった。



「いやです!」



真央が主張した。



「おかあさんをここから出します!そのために来たんです!」



その通りだった。



朝倉さんは、真央の瞳を見た。彼女の母と同じ金色の瞳を。



朝倉さんの顔には、苦悩がありありと表れていた。



その瞬間、おれは唐突に箱の中に囚われていた。指をスナップする音が響いて、箱が透明になった。



「十兵衛さん!?」



真央が叫んだ。



「なぁにをしてるんですかぁ、朝倉さぁん。反逆罪ものですよぉ?」



通路から、神谷さんが現れた。手はメガネのツルに置いていた。神谷さんが不意打ちでおれに能力を使ったのだった。



「真央さぁん。ダメですよぉ」



神谷さんはいつも以上にねちっこい口調で真央に語りかけた。嗜虐心が透けていた。あるいはチャンスが巡ってきたと思って、テンションが上がっているのかもしれなかった。



「あなたのお母様のおかげで、このダンジョン都市入巣は維持されてるんですからぁ。お母様の犠牲によってぇ、僕たちは近代的な生活を享受できるエネルギーを得ているわけです。もしもお母様がいなくなれば、多くの人が困り、命を落とすでしょうねぇ。お母様のおかげで、僕たちは平和に暮らせているわけです。だ・か・ら!聖母様なーんて、呼ばれてるんですよぉ!アハハ!」



神谷さんは、とても愉快なことだというように笑った。真央が極力電化製品の類を使わなかったのは、こういう理由があったからだろうと推察された。



「……なんでおかあさんが、犠牲にならなくちゃいけないんですか?」



真央が聞いた。



「それはほら、ねえ?」



神谷さんは朝倉さんに同意を求めた。朝倉さんはなにも応えず渋面になった。



「当たり前だけど、人間じゃないからですよぉ。この社会では、人間の命が一番ですからね。人間は、特別なんですよ?」



まるで聞き分けのない小学生に言い含める教師のような、馬鹿にした口ぶりだった。



「……ふざけないでください」

「え?」



神谷さんの笑顔が曇った。



「あなたなんて、全然特別じゃないですよっ!あなたたち人間なんて、全然特別な命じゃないですよ……!」



真央のへその下辺りが光った。



異様な闇の力の奔流が目覚めようとしていた。



部屋全体の空気が震え、それどころかモール全体が揺れた。



「ストップ!落ち着け!」



おれは箱から抜け出して、真央を抱きしめた。



「え?」

「おいおい、マジか~!ごめん、ちょっと失礼」



おれは真央のスカートをちょっと引っ張って、へその下を見た。そしたら、邪神の紋がまだあった。どうやら一筋縄ではいかない代物だったらしく、邪神との契約を解消しない限り、紋は消えないようだ。



「う~む、これは思った以上に……!」

「ばかっ!!!」

「はがっ!」



おれは真央にみぞおちを殴られた。真央は顔を真っ赤にしていた。



「す…すまん……。でも、必要なことだったん……だ……!」



息が詰まりながらも謝った。



「うゔ~~~~!」



邪神の力は収まったが、真央は鬼のような表情で、涙を堪えながら怒っていた。手をブンブン振っている。風切り音がすごい。



「ごめんて」

「なんか軽いです!」



「イチャイチャするな!!!」



神谷さんの怒りの声と共に、おれと真央はおなじ箱に入れられていた。神谷さんが右手の親指と中指をスナップした。箱が透明になった。



「残念です、真央さん……!あなたはもう汚れてしまったようですね……!ピンと来ましたよ……!」



憤怒の表情の神谷さんが、右手の親指と人差し指を合わせた。なにがピンと来たのか知らないが、神谷さんは涙を一筋流した。



「これ以上、汚れたあなたを見るのは、僕には耐えられない……!さようなら……!」



神谷さんが指をスナップする刹那。



「フンッ!」



おれは箱の内壁に手のひらをつけて、一気に引っこ抜くような動作をした。箱の外にある外気で、箱の外壁を壊した。箱は雲散霧消した。



「はあ!?」



神谷さんは驚いていた。



「さっきも同じように脱出したのに、見ててくれないんだもんなー。神谷さんの箱ってさ、内側からはめっぽう強いけど、外側からはそんなに強くないよね?閉じ込めた敵を銃で撃ち殺したりしてた?」

「そ、そんなはずがないっ!」



神谷さんはおれの話は聞かず、メガネを上げて、再度おれたちを箱に閉じ込めた。



そして、今度はすぐさま右手の親指と人差し指でスナップした。



だが、箱は縮まなかった。



おれが高密度の気を練って纏い、内側の空間を満たしていたからだ。もちろん、おれの気は真央も包んでいた。やがて、箱は自壊した。



「ど、どうなっている!?」



神谷さんはさらにおれたちを箱に閉じ込めた。神谷さんの自信は崩壊していた。半べそをかいていた。



なんだか悪いことをしている気になってくる。前の生では自力で脱出できなかったから、潜んでいるのは分かってて、わざと箱に閉じ込められてみた。



どうやら予想以上に能力の習熟が進んでいるようで、神谷さんの箱能力はまったく脅威ではなかった。



「こういうのはどうか?」



おれは練り込んだ気を針の形にして、内壁に刺した。すると、風船が弾けるように箱は弾けた。



「……う、うぉおおおおおおお!!!」



神谷さんは半狂乱になって、ポケットからサイコロ大の箱をいくつも取り出し、左手の親指と人差し指を何度もスナップした。



サブマシンガンだけでなく、手榴弾、グレネードランチャー、ロケットランチャーまで解放した。神谷さんはロケットランチャーを構えて、おれたちに照準を合わせた。



引き金を引く刹那。



「もういい。休め」



朝倉さんの声が届くのと同時に、神谷さんは凍りついていた。




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