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第一章
第18話 ローザ、魔法教師になる
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夜の闇の中である。
ベッドサイドの薄暗いランプが唯一の光だ。
「ぽんぽん」
ローザが喜色満面に、アーサーのお腹でやさしくリズムを取っている。
ローザとブラッドリーの寝室の、大きな方のベッドにローザとアーサーはふたりで寝ていた。
「……くふふ」
アーサーはローザにぽんぽんされて、くすぐったそうにしている。
その仕草を見て、ローザはなおのことくすぐったいような幸福を感じた。
「ほらほら、寝ない子はぽんぽんぽんぽんされちゃいますよー!」
「きゃはは!」
ローザがぽんぽんを連打し、アーサーが身をくねらせる。
「……何をやってるんですか」
呆れたように言ったのは、ブラッドリーである。
ブラッドリーは小さい方のベッドで寝ている。
普段は大きい方のベッドと小さい方のベッドは離してあるが、アーサーと一緒に寝る夜は特別にベッドを動かしてくっつけることにした。
小さい方のベッドは昼寝用であり、愛し合っている夫婦であるところのローザとブラッドリーは、夜は大きい方のベッドで一緒に寝ている……。
本当は別々に寝ているのだが、アーサーにはそういうことにしておいた。
ベッドを移動する際、アーサーを乗せて動かすと喜んでいたので、特に奇妙には思っていないようだった。
「何って……、ぽんぽんですわ」
妻であるローザが寝そべり、アーサーを挟んで、同じく寝そべっている夫のブラッドリーに言う。
結婚して一ヶ月以上が経っているが、ふたりはもっとも夫婦らしい目線でお互いを見つめた。
「……お父様もして」
「……!」
間にいる息子にリクエストされる。
「お、俺がぽんぽんするのか……?」
戸惑うブラッドリーを、容赦のない上目遣いでアーサーはじっーと見つめる。
「ぽ、ぽんぽん……!」
ブラッドリーは大きな手で、まだまだ丸っこいアーサーのお腹をぽんぽんした。
「ブラッドリー様っ……!」
「な、何でしょう!?」
ローザに鋭い声で名前を呼ばれ、ブラッドリーは反射的にギクリとする。
「大変センスがお有りですわ!」
「そ、そうですか……?」
「ええ!ですが、リズムは一定に!心臓の鼓動を意識してください!」
「は、はあ……」
ローザが右側から、ブラッドリーが左側からアーサーのお腹をやさしくぽんぽんしていく。
ふたりのリズムが合い、やがてアーサーは安眠のリズムに誘われて、ゆっくりとまぶたを閉じていった。
「……スー、スー」
アーサーは穏やかな寝息を立てて、あっさりと眠ってしまう。
ローザはアーサーの無防備な寝顔がうれしくて、ブラッドリーに微笑みを向けた。
ブラッドリーは、つい驚いたように目を見張る。
「……私達も、もう寝ましょう」
ブラッドリーは、ローザの返事も待たずにランプの光を吹き消したのだった。
実は3人で寝るのは、週に1回のはずだった。
しかし、ローザの粘り強い交渉の末、週2回になった経緯がある。
「……ブラッドリー様、わたし、女主人になりますわ!」
「は?」
「コートニーさんが担当していた仕事のほとんどを、ブラッドリー様が引き継いでいるでしょう?寝室に来るの遅くなったから、わかりますよ」
たしかに元侍女頭のコートニーは、侍女の管理監督に限らず、城の維持管理、予算管理などもこなしていて、ほぼ女主人と言える存在だった。
それ故、コートニーのいなくなった穴は容易に埋まるものではなく、その分を当主であるブラッドリーが睡眠時間と引き換えに埋めていたのである。
ブラッドリーの真紅の瞳は充血し、クマが縁取っていた。
「……結構です」
だが、ブラッドリーの返事はつれない。
「くっ……!……たしかに経験不足は否めませんが、座学で帳簿の見方などは学んでおります。些少ながら、お力添えになれるかと……。だから、週6で!」
ローザも譲らない。というか、明らかにふっかけている。
何回もの応酬のあと、ついにブラッドリーが折れた。
「わかりました!週2にしましょう!これ以上は無理です!」
「しょうがないですね……。今回はわたしが折れましょう……!」
ローザは言葉とは裏腹にガッツポーズをする。
「……」
そんなローザをじろりとブラッドリーは見つめた。
「……ただし、女主人としての仕事はしなくていいです」
「そんな……!それでは、忙しくて週2で一緒に寝れないじゃないですか!」
言葉だけ聞くと新婚夫婦らしい色気のあるセリフにも思えるが、もちろんローザにはアーサーと寝ることしか頭にない。
「……この一ヶ月で部下たちに仕事をだいぶ分散することが出来ましたので、その点は大丈夫です」
「そうですか!良かったです!」
屈託のない笑みを向けるローザに、ブラッドリーはなんとなく苦虫を噛み潰したような表情になる。
「……ただし、代わりといってはなんですが、ひとつ頼みがあります」
「頼み?」
「はい、それは……」
数日後。
よく晴れた庭園に、ローザとアーサーの姿があった。
「がんばって、アーサー様!」
「……ん~!」
アーサーは両手に空間を開けて、唸っている。
「必要なのは、イメージすることですわ!」
「んん~!」
アーサーが目を強くつむって念じると、両手の間に光の玉が出現した。
「できた!できましたわ、アーサー様!」
「……おお」
自分のことのように喜ぶローザ、目を開けて自分の出した光の玉を不思議そうに見つめるアーサー。
ローザはブラッドリーに、アーサーの魔法教師をするよう頼まれたのだった。
ローザは当初自分に教えられるか不安に思ったものの、よくよく考えれば女主人になるよりもずっとアーサーと一緒にいられることに気づいた。
よって、一も二もなく了承したのである。
「えーと、これが光魔法の基礎であるライトニングボールですわね。人によって色がちがいます」
ローザはカビの生えていそうな魔法書を片手に言った。
慌てて城内の書庫を探ったところ、出てきた初学者向けの魔法書だ。
(本が見つかってラッキーだったわ……!)
ローザはあまりに天才的な回復魔法使いだったため、基礎的な魔法知識をすっ飛ばしていた。
歴史書や料理本や育児書に混ざっていた魔法書が見つかったのは、本当に幸運なことだった。
「……ふーん。ライトニングボールかあ。夜とか便利かも」
ぼんやりつぶやくアーサーに、ローザが尋ねる。
「アーサー様は、だれかに魔法を教わったことはあるんですか?」
「……ないよ」
アーサーはふるふると首を振る。
(やっぱり……)
そもそも魔法は秘匿されているものであり、体系的に学びたければ“魔法塔”と呼ばれる教会直轄の組織に入るしかない。
だが、稀に特別な才を持つ人々がいて、彼らにとっては魔法は自然に花開くものである。
アーサーのように。
そして、かつてのローザのように。
彼らは時に“魔に愛されし者”と称される。
(……気まぐれに愛されてもね)
ローザは一抹の寂しさを覚えた。
唐突に愛されなくなった者には、傷跡ばかりが残る。
「……ローザ?」
「あ……、なんでもないですよ」
ローザは遠い目をしていた自分に気づき、咄嗟に微笑みを作った。
「……ローザ、これあげる」
「え……?」
アーサーにライトニングボールを手渡された。
オレンジ色に近い温かな光を発していた。
「ふふっ……、ありがとうございます」
ローザは光の玉を抱きしめた。
すると、昔、幼なじみに同じようにライトニングボールを手渡されたのを思い出した。
数少ない、温かな記憶。
(その時は、青い光の玉だったっけ……。忘れちゃってたわ……)
ローザの体の中にスッと入っていくように、それは消えていった。
ローザは微笑みを浮かべる。
「食べちゃいました」
「……おいしかった?」
「ええ、とても」
(今度は、絶対に覚えていよう……)
ふたりは温かに微笑み合った。
ブラッドリーは執務室の窓から、ローザとアーサーのふたりを眺めていた。
こうして見ているとまるで本物の親子のようだと心の内で思ったが、ブラッドリーの表情は暗く、沈んだものだった。
ベッドサイドの薄暗いランプが唯一の光だ。
「ぽんぽん」
ローザが喜色満面に、アーサーのお腹でやさしくリズムを取っている。
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「……くふふ」
アーサーはローザにぽんぽんされて、くすぐったそうにしている。
その仕草を見て、ローザはなおのことくすぐったいような幸福を感じた。
「ほらほら、寝ない子はぽんぽんぽんぽんされちゃいますよー!」
「きゃはは!」
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「……何をやってるんですか」
呆れたように言ったのは、ブラッドリーである。
ブラッドリーは小さい方のベッドで寝ている。
普段は大きい方のベッドと小さい方のベッドは離してあるが、アーサーと一緒に寝る夜は特別にベッドを動かしてくっつけることにした。
小さい方のベッドは昼寝用であり、愛し合っている夫婦であるところのローザとブラッドリーは、夜は大きい方のベッドで一緒に寝ている……。
本当は別々に寝ているのだが、アーサーにはそういうことにしておいた。
ベッドを移動する際、アーサーを乗せて動かすと喜んでいたので、特に奇妙には思っていないようだった。
「何って……、ぽんぽんですわ」
妻であるローザが寝そべり、アーサーを挟んで、同じく寝そべっている夫のブラッドリーに言う。
結婚して一ヶ月以上が経っているが、ふたりはもっとも夫婦らしい目線でお互いを見つめた。
「……お父様もして」
「……!」
間にいる息子にリクエストされる。
「お、俺がぽんぽんするのか……?」
戸惑うブラッドリーを、容赦のない上目遣いでアーサーはじっーと見つめる。
「ぽ、ぽんぽん……!」
ブラッドリーは大きな手で、まだまだ丸っこいアーサーのお腹をぽんぽんした。
「ブラッドリー様っ……!」
「な、何でしょう!?」
ローザに鋭い声で名前を呼ばれ、ブラッドリーは反射的にギクリとする。
「大変センスがお有りですわ!」
「そ、そうですか……?」
「ええ!ですが、リズムは一定に!心臓の鼓動を意識してください!」
「は、はあ……」
ローザが右側から、ブラッドリーが左側からアーサーのお腹をやさしくぽんぽんしていく。
ふたりのリズムが合い、やがてアーサーは安眠のリズムに誘われて、ゆっくりとまぶたを閉じていった。
「……スー、スー」
アーサーは穏やかな寝息を立てて、あっさりと眠ってしまう。
ローザはアーサーの無防備な寝顔がうれしくて、ブラッドリーに微笑みを向けた。
ブラッドリーは、つい驚いたように目を見張る。
「……私達も、もう寝ましょう」
ブラッドリーは、ローザの返事も待たずにランプの光を吹き消したのだった。
実は3人で寝るのは、週に1回のはずだった。
しかし、ローザの粘り強い交渉の末、週2回になった経緯がある。
「……ブラッドリー様、わたし、女主人になりますわ!」
「は?」
「コートニーさんが担当していた仕事のほとんどを、ブラッドリー様が引き継いでいるでしょう?寝室に来るの遅くなったから、わかりますよ」
たしかに元侍女頭のコートニーは、侍女の管理監督に限らず、城の維持管理、予算管理などもこなしていて、ほぼ女主人と言える存在だった。
それ故、コートニーのいなくなった穴は容易に埋まるものではなく、その分を当主であるブラッドリーが睡眠時間と引き換えに埋めていたのである。
ブラッドリーの真紅の瞳は充血し、クマが縁取っていた。
「……結構です」
だが、ブラッドリーの返事はつれない。
「くっ……!……たしかに経験不足は否めませんが、座学で帳簿の見方などは学んでおります。些少ながら、お力添えになれるかと……。だから、週6で!」
ローザも譲らない。というか、明らかにふっかけている。
何回もの応酬のあと、ついにブラッドリーが折れた。
「わかりました!週2にしましょう!これ以上は無理です!」
「しょうがないですね……。今回はわたしが折れましょう……!」
ローザは言葉とは裏腹にガッツポーズをする。
「……」
そんなローザをじろりとブラッドリーは見つめた。
「……ただし、女主人としての仕事はしなくていいです」
「そんな……!それでは、忙しくて週2で一緒に寝れないじゃないですか!」
言葉だけ聞くと新婚夫婦らしい色気のあるセリフにも思えるが、もちろんローザにはアーサーと寝ることしか頭にない。
「……この一ヶ月で部下たちに仕事をだいぶ分散することが出来ましたので、その点は大丈夫です」
「そうですか!良かったです!」
屈託のない笑みを向けるローザに、ブラッドリーはなんとなく苦虫を噛み潰したような表情になる。
「……ただし、代わりといってはなんですが、ひとつ頼みがあります」
「頼み?」
「はい、それは……」
数日後。
よく晴れた庭園に、ローザとアーサーの姿があった。
「がんばって、アーサー様!」
「……ん~!」
アーサーは両手に空間を開けて、唸っている。
「必要なのは、イメージすることですわ!」
「んん~!」
アーサーが目を強くつむって念じると、両手の間に光の玉が出現した。
「できた!できましたわ、アーサー様!」
「……おお」
自分のことのように喜ぶローザ、目を開けて自分の出した光の玉を不思議そうに見つめるアーサー。
ローザはブラッドリーに、アーサーの魔法教師をするよう頼まれたのだった。
ローザは当初自分に教えられるか不安に思ったものの、よくよく考えれば女主人になるよりもずっとアーサーと一緒にいられることに気づいた。
よって、一も二もなく了承したのである。
「えーと、これが光魔法の基礎であるライトニングボールですわね。人によって色がちがいます」
ローザはカビの生えていそうな魔法書を片手に言った。
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(やっぱり……)
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だが、稀に特別な才を持つ人々がいて、彼らにとっては魔法は自然に花開くものである。
アーサーのように。
そして、かつてのローザのように。
彼らは時に“魔に愛されし者”と称される。
(……気まぐれに愛されてもね)
ローザは一抹の寂しさを覚えた。
唐突に愛されなくなった者には、傷跡ばかりが残る。
「……ローザ?」
「あ……、なんでもないですよ」
ローザは遠い目をしていた自分に気づき、咄嗟に微笑みを作った。
「……ローザ、これあげる」
「え……?」
アーサーにライトニングボールを手渡された。
オレンジ色に近い温かな光を発していた。
「ふふっ……、ありがとうございます」
ローザは光の玉を抱きしめた。
すると、昔、幼なじみに同じようにライトニングボールを手渡されたのを思い出した。
数少ない、温かな記憶。
(その時は、青い光の玉だったっけ……。忘れちゃってたわ……)
ローザの体の中にスッと入っていくように、それは消えていった。
ローザは微笑みを浮かべる。
「食べちゃいました」
「……おいしかった?」
「ええ、とても」
(今度は、絶対に覚えていよう……)
ふたりは温かに微笑み合った。
ブラッドリーは執務室の窓から、ローザとアーサーのふたりを眺めていた。
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