上 下
110 / 203
本編

No.104~ギルド対抗戦4

しおりを挟む
今回のイベントでは回収した他のギルドの旗は自分のギルドに運んでやっとカウントされる仕様なので一回ギルドに戻らなければいけない。

「じゃあヘル、よろしくな」

「うん、無事に届けるからね」

ということで、一旦ヘルとは別行動をして、俺はギルドの襲撃、ヘルはギルドハウスに旗を届けに行く事になった。

ヘルと別れて他のギルドに向かっていると複数人のプレイヤーの気配が俺を囲むように感じた。

(数は16人か、数で攻めれば俺を倒せると思ってるのか?)

「おい、いつまでも見てないで出て来たらどうだ」

そう言うと隠れているプレイヤーの半分、8人のプレイヤーが出て来た。

「やっぱり気づいてたか、これでも隠密のスキルはMasterしてるんだがな」

「家にはもっと上手く気配を消す奴が居るからな、それで、残りの8人は出て来なくて良いのか?」

そう言うと目の前のプレイヤーは少し考えた様子で言ってきた。

「ちっ、人数まで正確に判ってんのかよ、これじゃあ計画に支障がでるかも知れないな…おい!出てこい」

そうリーダーっぽいプレイヤーが言うと残りの8人も出て来た。

「それで、俺になんの用だ?」

そう聞くとそのプレイヤーは答える。

「このゲームで一番厄介なのは貴様だユウヤ、だから計画の邪魔になる前に時間稼ぎをさせてもらう」

そういうと周りにいたプレイヤーは俺に襲いかかってくる。

武器種は剣、槍、銃、後は魔法使いって所か、接近戦は不利だと考えたのか?まぁ良い、俺はただ倒すだけだ。

1人、2人、どんどんとプレイヤーのHPを削っていき、目の前に立っているプレイヤーはリーダーっぽいプレイヤーだけ。

リーダーっぽいプレイヤーは他のプレイヤーよりも強かった。
ステータスはシュウ達と同じぐらい…レッドプレイヤーでもトップ格だと予想されるが俺に邪魔されたくない計画があるらしい。

おれは嫌な感じがしたので計画について聞き出す為にレッドプレイヤーを倒しきらない様に戦う。

「っく、やはり俺では敵わないか…だがあの方に貰ったこれを使えば!」

嫌な予感を感じて後ろに跳ぼうとしたのだが相手がわざと刀を手で受けて俺の手を掴んだ。

俺は一時的に封印を解いてステータスを戻して掴まれた手を振り払う。

だが俺が逃げるより相手がアイテムを使う方が速かった。

当たり一面は黒く光り、俺は知らない所にいた。

(転移させられたか、先ずはここが何処かを調べないと)

マップを確認しても???としか表示されない。

それにしてもレッドプレイヤーが言っていたあの方というのが気になる…このアイテムも見たことが無いしここも明らかにヤバそうな場所だ。

周りに光が無く正に闇、1寸どころか自分の身体すらも見えない。

自分の身体なのに自分の身体では無いような錯覚と共に不快感が溢れる。

(これは…キツいな)

何も見えないから動くに動けない。

もしかしたら即死トラップが設置されている可能性がある、だが何も行動しなければここからは出られない。

転移アイテム、空間に干渉する事が出来なくなっている。

暫くどうするかを考えていると俺の周りに複数の人形のもやが出て来た。

『お前のせいで…ワシの人生はめちゃくちゃだ!』

『貴方のせいで夫が!まだ幼い息子がいるのに』

黒いもやから俺を怨む様な声が聞こえる。

聞き覚えのあるもやが言っている言葉…これはあのときの。

それは俺が会社を立ち上げてある程度たった頃、特に失敗も無く事業を成功させていた俺の会社をターゲットにした嫌がらせが始まったのだ。

ある程度の嫌がらせは無視していたのだが社員にまで嫌がらせをし始めた事で俺も流石に動き始めた。

とある情報網を利用して嫌がらせをしている会社を特定し、会社の上層部の行っていた脱税、社員に対したパワハラやセクハラなどのハラスメント行為、そして他の会社の弱みを利用して無理やり契約するなどのあり得ない取引等の情報を入手。

そして相手の会社の株の多数を所持している人にリークし、株主総会で汚職を働いている上層部を一斉に解任させたのだ。

それからその会社を買収、俺の会社に統合をする事でその時の会社の損害は俺が負担し、汚職を働いていない職員の生活は守った。

その後、会社の統合によって以前の記録から汚職を働いていた社員が居た事を公表、その社員を懲戒処分した事と、今まで会社に受けていた損害を賠償する事を発表した事があった。

それ自体は会社が本当に生まれ変わったと証明し、その会社の以前の顧客の再取得等に役立った。

今さっきのもやの言った言葉は懲戒処分した職員とその妻が俺に言ってきた言葉だ。

その二人は俺に襲いかかって警察に捕まったからここに現れることは無い。

となるとこれは転移させたプレイヤーに精神的ダメージを与えるっていうアニメにありがちなあれか。

こういうパターンは平常心を保っていたらいずれでれる奴かな。

俺は空間から出るまで、居もしない社会のクズの言葉をリピートで聞かされるという苦行を強いられるのであった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

「クズスキルの偽者は必要無い!」と公爵家を追放されたので、かけがえのない仲間と共に最高の国を作ります

古河夜空
ファンタジー
「お前をルートベルク公爵家から追放する――」それはあまりにも突然の出来事だった。 一五歳の誕生日を明日に控えたレオンは、公爵家を追放されてしまう。魔を制する者“神託の御子”と期待されていた、ルートベルク公爵の息子レオンだったが、『継承』という役立たずのスキルしか得ることができず、神託の御子としての片鱗を示すことが出来なかったため追放されてしまう。 一人、逃げる様に王都を出て行くレオンだが、公爵家の汚点たる彼を亡き者にしようとする、ルートベルク公爵の魔の手が迫っていた。「絶対に生き延びてやる……ッ!」レオンは己の力を全て使い、知恵を絞り、公爵の魔の手から逃れんがために走る。生き延びるため、公爵達を見返すため、自分を信じてくれる者のため。 どれだけ窮地に立たされようとも、秘めた想いを曲げない少年の周りには、人、エルフ、ドワーフ、そして魔族、種族の垣根を越えたかけがえの無い仲間達が集い―― これは、追放された少年が最高の国を作りあげる物語。 ※他サイト様でも掲載しております。

異世界帰りの元勇者、日本に突然ダンジョンが出現したので「俺、バイト辞めますっ!」

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
俺、結城ミサオは異世界帰りの元勇者。 異世界では強大な力を持った魔王を倒しもてはやされていたのに、こっちの世界に戻ったら平凡なコンビニバイト。 せっかく強くなったっていうのにこれじゃ宝の持ち腐れだ。 そう思っていたら突然目の前にダンジョンが現れた。 これは天啓か。 俺は一も二もなくダンジョンへと向かっていくのだった。

性転換マッサージ2

廣瀬純一
ファンタジー
性転換マッサージに通う夫婦の話

聖女の姉が行方不明になりました

蓮沼ナノ
ファンタジー
8年前、姉が聖女の力に目覚め無理矢理王宮に連れて行かれた。取り残された家族は泣きながらも姉の幸せを願っていたが、8年後、王宮から姉が行方不明になったと聞かされる。妹のバリーは姉を探しに王都へと向かうが、王宮では元平民の姉は虐げられていたようで…聖女になった姉と田舎に残された家族の話し。

ズボラ通販生活

ice
ファンタジー
西野桃(にしのもも)35歳の独身、オタクが神様のミスで異世界へ!貪欲に通販スキル、時間停止アイテムボックス容量無限、結界魔法…さらには、お金まで貰う。商人無双や!とか言いつつ、楽に、ゆるーく、商売をしていく。淋しい独身者、旦那という名の奴隷まで?!ズボラなオバサンが異世界に転移して好き勝手生活する!

巻添え召喚されたので、引きこもりスローライフを希望します!

あきづきみなと
ファンタジー
階段から女の子が降ってきた!? 資料を抱えて歩いていた紗江は、階段から飛び下りてきた転校生に巻き込まれて転倒する。気がついたらその彼女と二人、全く知らない場所にいた。 そしてその場にいた人達は、聖女を召喚したのだという。 どちらが『聖女』なのか、と問われる前に転校生の少女が声をあげる。 「私、ガンバる!」 だったら私は帰してもらえない?ダメ? 聖女の扱いを他所に、巻き込まれた紗江が『食』を元に自分の居場所を見つける話。 スローライフまでは到達しなかったよ……。 緩いざまああり。 注意 いわゆる『キラキラネーム』への苦言というか、マイナス感情の描写があります。気にされる方には申し訳ありませんが、作中人物の説明には必要と考えました。

処理中です...