上 下
236 / 280

236

しおりを挟む
「まぁ、あの時の事は今思い出しても火が出そうなくらい恥ずかしいですけど、それのおかげで主人に会う事ができたんですから、結果オーライって奴ですね」

「ん?それのお陰でフェルに会えた?」

俺は女性が言った言葉を聞き返す。

「はい、その通りですけど?」

女性は俺の問いにそう答えるが俺は何故女性がいきなりフェルに会えた、と言ったのかが分からない。

「いやいや、俺には何で集落で宴会を開いたっていう話がフェルと会う事が出来た、っていう話にどう繋がるのかが分からないんだけど」

俺は女性に向かって疑問に思っている理由を話した。

だってさっき女性が話していた内容は迷いの森の調査に行った大人達が怪我する事も無く集落に戻ってきて、宴会の様なものを開いた、というのだっただろ?なのにそれとフェルに会えたっていうのがどう関係するのかが俺には分からない。

だってフェルは女性の集落に住んでいた訳では無いし、その宴会というのに参加していた…という訳でも無いだろう。

元々女性の居た集落に住んでいたんだったら女性が14年間で一度もフェルに会ってないという事はあり得ないし、フェルがその集落に住んでいないのだったら女性の居た集落の宴会に参加する理由も無いだろうし…

フェルは極寒地帯を治めているから宴を開くので参加してください、ていうパターンなら考えられなくは無いけど、宴を開いたのは森の調査が成功したから、っていう理由らしいからフェルを誘っている時間なんて無いだろうし…

「あぁ、そういう事ですか」

俺の言葉を聞いた女性は何か納得した様にそう呟いた。

「すみません、私の説明が悪かったですね、そのお陰でといったのは宴会とかの方では無く、長が私のことを持ち上げた、の方ですよ」

「持ち上げたって言うのは、君のことをこの子は選ばれし子じゃ!って言ったって奴か?」

女性の説明を聞いた俺はさっき女性が長に言われた、というセリフを確認をする。

「はい、それの事です」

女性は俺の確認を聞いてそれで合っていると言った。

「…でもそれがフェルに会えたってのとどう関係するんだ?」

さっきの女性の話で宴会が関係していないという事は分かったが、それでも長が女性を褒めた事が何でフェルに会えたと言うことに関係しているのかは分からない。

「それについては私たちの住んでいる所の決まりが関係してくるんですよ」

女性はそう言うとその決まり、と言うのを俺に説明してくれた。

「私たちの住んでいるこの場所、貴方は極寒地帯と言っている場所ですね、此処には5つの集落があり、集落それぞれにランク、と言うものが存在します、ランクが高い集落はそれだけ主人の近くで過ごす事ができる…と言うものになってるんです」

ふむ、集落にランクか…

確かに広い範囲を統治するならランク付けをしたりするのは有効だな。

上位ランクの集落には何らかの特典か利益を提示すれば上位ランクを目指して頑張る様になるし、それにランク付けをする事で誰が一番上に居るのかを理解させることも出来るからな。

「ランク制度か…そりゃ有効的な方法だな」

自分の地位を確立させつつ、統治下の存在にやる気を出させる事が出来るんからな。

「それで、下位の集落の者が上位の集落に行く方法が、現在住んでいる集落の長に上位の集落に行っても問題がないと断言させる事と、試練を突破するというものです」

女性が話した上位の集落に行く方法を聞いた俺は何故長に持ち上げられた事がフェルに会うことに関係したのかを理解した。

「成る程…つまり君は上位の集落に行ったことでフェルに会ったって事か」

さっき女性が言った話から考えて、女性は試練と言うのを突破した事で上位の集落に行き、そしてフェルに出会ったと言う事なのだろう。

長は宴会の時に女性を選ばれし子、って皆の前で言ったみたいだし、その試練さえ突破すれば条件は完全に満たしているからな。

「その通りです、元々私はランクが2番目の集落で生まれたので、上位の集落…つまりランク1の集落に行った事で主人に会う事ができたと言う訳です」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

母親に家を追い出されたので、勝手に生きる!!(泣きついて来ても、助けてやらない)

いくみ
ファンタジー
実母に家を追い出された。 全く親父の奴!勝手に消えやがって! 親父が帰ってこなくなったから、実母が再婚したが……。その再婚相手は働きもせずに好き勝手する男だった。 俺は消えた親父から母と頼むと、言われて。 母を守ったつもりだったが……出て行けと言われた……。 なんだこれ!俺よりもその男とできた子供の味方なんだな? なら、出ていくよ! 俺が居なくても食って行けるなら勝手にしろよ! これは、のんびり気ままに冒険をする男の話です。 カクヨム様にて先行掲載中です。 不定期更新です。

異世界のんびりワークライフ ~生産チートを貰ったので好き勝手生きることにします~

樋川カイト
ファンタジー
友人の借金を押し付けられて馬車馬のように働いていた青年、三上彰。 無理がたたって過労死してしまった彼は、神を自称する男から自分の不幸の理由を知らされる。 そのお詫びにとチートスキルとともに異世界へと転生させられた彰は、そこで出会った人々と交流しながら日々を過ごすこととなる。 そんな彼に訪れるのは平和な未来か、はたまた更なる困難か。 色々と吹っ切れてしまった彼にとってその全てはただ人生の彩りになる、のかも知れない……。 ※この作品はカクヨム様でも掲載しています。

悪役貴族の四男に転生した俺は、怠惰で自由な生活がしたいので、自由気ままな冒険者生活(スローライフ)を始めたかった。

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
俺は何もしてないのに兄達のせいで悪役貴族扱いされているんだが…… アーノルドは名門貴族クローリー家の四男に転生した。家の掲げる独立独行の家訓のため、剣技に魔術果ては鍛冶師の技術を身に着けた。 そして15歳となった現在。アーノルドは、魔剣士を育成する教育機関に入学するのだが、親戚や上の兄達のせいで悪役扱いをされ、付いた渾名は【悪役公子】。  実家ではやりたくもない【付与魔術】をやらされ、学園に通っていても心の無い言葉を投げかけられる日々に嫌気がさした俺は、自由を求めて冒険者になる事にした。  剣術ではなく刀を打ち刀を使う彼は、憧れの自由と、美味いメシとスローライフを求めて、時に戦い。時にメシを食らい、時に剣を打つ。  アーノルドの第二の人生が幕を開ける。しかし、同級生で仲の悪いメイザース家の娘ミナに学園での態度が演技だと知られてしまい。アーノルドの理想の生活は、ハチャメチャなものになって行く。

とあるオタが勇者召喚に巻き込まれた件~イレギュラーバグチートスキルで異世界漫遊~

剣伎 竜星
ファンタジー
仕事の修羅場を乗り越えて、徹夜明けもなんのその、年2回ある有○の戦場を駆けた夏。長期休暇を取得し、自宅に引きこもって戦利品を堪能すべく、帰宅の途上で食材を購入して後はただ帰るだけだった。しかし、学生4人組とすれ違ったと思ったら、俺はスマホの電波が届かない中世ヨーロッパと思しき建築物の複雑な幾何学模様の上にいた。学生4人組とともに。やってきた召喚者と思しき王女様達の魔族侵略の話を聞いて、俺は察した。これあかん系異世界勇者召喚だと。しかも、どうやら肝心の勇者は学生4人組みの方で俺は巻き込まれた一般人らしい。【鑑定】や【空間収納】といった鉄板スキルを保有して、とんでもないバグと思えるチートスキルいるが、違うらしい。そして、安定の「元の世界に帰る方法」は不明→絶望的な難易度。勇者系の称号がないとわかると王女達は掌返しをして俺を奴隷扱いするのは必至。1人を除いて学生共も俺を馬鹿にしだしたので俺は迷惑料を(強制的に)もらって早々に国を脱出し、この異世界をチートスキルを駆使して漫遊することにした。※10話前後までスタート地点の王城での話になります。

異世界転生!俺はここで生きていく

おとなのふりかけ紅鮭
ファンタジー
俺の名前は長瀬達也。特に特徴のない、その辺の高校生男子だ。 同じクラスの女の子に恋をしているが、告白も出来ずにいるチキン野郎である。 今日も部活の朝練に向かう為朝も早くに家を出た。 だけど、俺は朝練に向かう途中で事故にあってしまう。 意識を失った後、目覚めたらそこは俺の知らない世界だった! 魔法あり、剣あり、ドラゴンあり!のまさに小説で読んだファンタジーの世界。 俺はそんな世界で冒険者として生きて行く事になる、はずだったのだが、何やら色々と問題が起きそうな世界だったようだ。 それでも俺は楽しくこの新しい生を歩んで行くのだ! 小説家になろうでも投稿しています。 メインはあちらですが、こちらも同じように投稿していきます。 宜しくお願いします。

異世界でぼっち生活をしてたら幼女×2を拾ったので養うことにした

せんせい
ファンタジー
自身のクラスが勇者召喚として呼ばれたのに乗り遅れてお亡くなりになってしまった主人公。 その瞬間を偶然にも神が見ていたことでほぼ不老不死に近い能力を貰い異世界へ! 約2万年の時を、ぼっちで過ごしていたある日、いつも通り森を闊歩していると2人の子供(幼女)に遭遇し、そこから主人公の物語が始まって行く……。 ―――

「残念でした~。レベル1だしチートスキルなんてありませ~ん笑」と女神に言われ異世界転生させられましたが、転移先がレベルアップの実の宝庫でした

御浦祥太
ファンタジー
どこにでもいる高校生、朝比奈結人《あさひなゆいと》は修学旅行で京都を訪れた際に、突然清水寺から落下してしまう。不思議な空間にワープした結人は女神を名乗る女性に会い、自分がこれから異世界転生することを告げられる。 異世界と聞いて結人は、何かチートのような特別なスキルがもらえるのか女神に尋ねるが、返ってきたのは「残念でした~~。レベル1だしチートスキルなんてありませ~~ん(笑)」という強烈な言葉だった。 女神の言葉に落胆しつつも異世界に転生させられる結人。 ――しかし、彼は知らなかった。 転移先がまさかの禁断のレベルアップの実の群生地であり、その実を食べることで自身のレベルが世界最高となることを――

いつもの電車を降りたら異世界でした 身ぐるみはがされたので【異世界商店】で何とか生きていきます

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
電車をおりたら普通はホームでしょ、だけど僕はいつもの電車を降りたら異世界に来ていました 第一村人は僕に不親切で持っているものを全部奪われちゃった 服も全部奪われて路地で暮らすしかなくなってしまったけど、親切な人もいて何とか生きていけるようです レベルのある世界で優遇されたスキルがあることに気づいた僕は何とか生きていきます

処理中です...