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「つまりは口減らし…って事か?」

「はい、森の調査、と言って森に行った大人達は皆、独り身の男性か初老位の人達でしたから、多分そうだったのでしょう」

俺が女性に大人達は口減らしとして森に向かわされたのかを聞くと女性はそう答えた。

「そうか…」

俺は女性になんと声をかければ良いのか分からずに言葉が詰まった。

女性が一瞬悲しそうな顔をした気がしたからだ。

その森の調査というので誰か知り合いが死んでしまったのかも知れない。

その調査というのに行った大人の中には当然女性の知り合いもいた筈だ。

そして森の調査という名の口減らしに行ったの言っては悪いが後先短かったり集落の存続に関わら無い人物ばっかりなのだろう。

という事は調査に行った人の中には怪我をしたり最悪は死んでしまった人が居るのかも知れない。

「…それで、その調査の結果はどうだったんだ?」

結局、俺は女性に結果を聞くことしか出来無かった。

気の利いた一言くらい言えたら良かったんだけど、俺は女性と出会ってからそんなに時間が経っている訳では無いからどう声を掛けるのが正解なのか分からない。

「結果ですか、まぁ結果はアレですよ、アレ…」

そう言った女性の表情は暗くなる…

やっぱり死んでしまったのだろうか?

最悪死にそうになった人を庇って部隊全滅したんじゃ…

俺は女性の表情を見て調査の結果を想像してしまった。

「誰も死ぬことも怪我することも無く調査は成功、集落に大量の食料を持ってきましたよ」

だが俺の予想に反して女性の口から出た言葉は被害も無く成功した…と言うものだった

「え?」

俺は想定していなかった状況に言葉が出なかった。

「まさか、被害が出たと思いました?当時14歳だった私が生活することができるような場所ですよ?私より遥かに強かった大人達が帰ってこれない訳無いじゃ無いですか」

女性はさっき見せたくらい表情とは打って変わって明るくそう言い放った。

「でも、君はさっき…」

暗い表情をしていたから俺はてっきり悪いことが起きたと思ったんだけど…ってさっきの言葉…

俺はさっき女性が言っていた言葉を思い出した。

「俺を騙したのか?」

俺は女性の表情を見て悪いことが有ったんじゃ無いかと思ったがあの表情は俺を騙すための演技だったって事か…

「いえ、騙すなんて…少ししか思っていませんでしたよ」

女性は俺を騙す事が出来たからなのか笑いながら俺にそう言ってきた。

「いやでも、あんなに見事に引っかかってくれるとは思いませんでしたよ」

女性が笑いながらそう言ってきたのを聞いて俺は少しイラっとした…が、そんな事で怒ってもしょうがないか。

「…まぁ調査に行った誰も被害が無くて良かったじゃないか」

俺は女性にそう話しかける。

女性の態度は少しイラっと来たが、それでも調査に行ったという人達が無事に帰ってきたんだったら良かった。

「そうですね、そこについては本当に良かったですよ、お陰でその年も、それ以降も皆飢えることが無くなりましたからね」

「そう言えば森の調査の表向きの目標って森から食料を持ち帰る…だったんだっけ?」

口減らしの方が印象大きかったから表向きの目的は忘れてたな。

「それに、森から出る方法が分かったお陰で森にある資源を自由に使えるようになりましたからね」

そうか、森に自由に出入り出来るようになったから迷いの森にある資材も食料も取れるようになったって事か。

「お陰で皆が帰ってきた後は大変でしたよ」

まぁ結果から言ったら女性のお陰で迷いの森に自由に出入り出来るようになって資材も食料も手に入れる事が出来るようになった訳だからな。

お陰で食料問題も無くなって集落の人たちは安心して生活ができる様になったって事だろ?

集落に多大な利益をもたらしたんだから大人達に凄く褒められたんだろうな。
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