上 下
161 / 280

161

しおりを挟む
「お袋には14歳になったら冒険者になるっていうのは言っていたんだ…その時お袋は既に俺が冒険者になりたいって思ってたのは知ってたみたいでな、お前の決めた事なら文句は言わない…でも後悔する様な事は絶対にしない様にしなさいって言ってくれたんだ」

母親には既に冒険者になりたいっていうのは話してたのか…それでブラットさんのお母さんはブラットさんの夢を応援したと…

待てよ、ブラットさんのお母さんがブラットさんが冒険者になりたいって分かってたんならお父さんも気づいている筈だよな?

確かブラットさんの父親はブラットさんが冒険者になるのに反対していた筈だよな、だとしたらもっと早い段階でブラットさんに冒険者は諦めろって言っている筈だよな?

なのにブラットさんの話では父親に冒険者を諦めろと言われたという話は無かった。

可笑しい…

俺はブラットさんの話に違和感を感じた。

「まぁそんな感じでお袋には話していたけど親父には冒険者になるってのは伝えてなかったんだ」

俺は違和感の正体を探ろうとするがその前にブラットさんが話の続きを話し始めた。

違和感の正体はブラットさんの話を聞いてから考えるとしよう。

「何故お父さんには話して無かったんですか?」

俺はブラットさんに質問をする。

母親には相談していたのだったら父親にも前々から冒険者になりたいと相談するだろう。

なのに何故ブラットさんは父親には伝えなかったのだろうか?

確かに小さい頃にブラットさんの木剣を捨てられて、父親が冒険者に反対するかも知れないと考えたとしても、ちゃんと親子で話し合えば解決したかもしれない。

「親父は俺が家業を継ぐと思っているだろうから、冒険者登録が出来る誕生日の日に話そうと思ってたんだ」

なるほど…父親が家業を継ぐことを期待しているのを知っていたブラットさんは父親に冒険者になるって言いづらかったって訳か。

「そうなんですか…それで…」

反対されたって事か。

「ああ、誕生日の昼、俺は飯を食べながら親父に冒険者になるって言ったんだ…その時親父はなんて言ったと思う?」

ブラットさんは俺にそう聞いてきた。

「いえ…」

確かブラットさんがガンテツさんと話をしていた内容ではお前じゃ無理だから諦めろって言われたんだっけか?

「親父は俺にこう言ったんだ…お前に冒険者は務まらない、直ぐに死んで終わりだ、そんな無駄な事で命を散らす位なら家業を継げ…ってな」

成る程…そういうことか。

俺はブラットさんがガンテツさんに親父は俺を家業を継がせるための道具にしか思っていないと言っていた理由が分かった。

先ほどブラットさんが言われたと言った言葉、ブラットさんからしたら小さい頃から冒険者になる為に毎日鍛錬をしたりと努力していた事全てを否定された様に感じたのだろう。

ブラットさんのお父さんが鍛錬をしていた事を知っていたかは分からないが、少なくともブラットさんはショックを受けた筈だ。

そして最期に言われたそんな無駄な事より家業を継げと言われた事で父親は自分の夢を否定して、無理やり家業を継がせようとしていると思ったという事か。

確かガンテツさんの話していた内容だとブラットさんのお父さんは息子であるブラットさんに常に死の危険が身近にある冒険者にさせたく無くて冒険者になる事を反対したらしいが…

ブラットさんのお父さんとしては冒険者になるのを諦めさせようとしたのだろう。

とは言え、流石に当時14歳のブラットさんに言っていい言葉では無いだろう。

当時のブラットさんの年齢は14歳、思春期真っ只中だ。

ブラットさんのお父さんが言った様な言い方は絶対にしてはいけない。

精神的にも多感な時期に自分の夢を完全否定され、あまつさえ諦めて家業を継げとあんな言葉で言われたらそりゃあ傷つくだろう。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

母親に家を追い出されたので、勝手に生きる!!(泣きついて来ても、助けてやらない)

いくみ
ファンタジー
実母に家を追い出された。 全く親父の奴!勝手に消えやがって! 親父が帰ってこなくなったから、実母が再婚したが……。その再婚相手は働きもせずに好き勝手する男だった。 俺は消えた親父から母と頼むと、言われて。 母を守ったつもりだったが……出て行けと言われた……。 なんだこれ!俺よりもその男とできた子供の味方なんだな? なら、出ていくよ! 俺が居なくても食って行けるなら勝手にしろよ! これは、のんびり気ままに冒険をする男の話です。 カクヨム様にて先行掲載中です。 不定期更新です。

はぁ?とりあえず寝てていい?

夕凪
ファンタジー
嫌いな両親と同級生から逃げて、アメリカ留学をした帰り道。帰国中の飛行機が事故を起こし、日本の女子高生だった私は墜落死した。特に未練もなかったが、強いて言えば、大好きなもふもふと一緒に暮らしたかった。しかし何故か、剣と魔法の異世界で、貴族の子として転生していた。しかも男の子で。今世の両親はとてもやさしくいい人たちで、さらには前世にはいなかった兄弟がいた。せっかくだから思いっきり、もふもふと戯れたい!惰眠を貪りたい!のんびり自由に生きたい!そう思っていたが、5歳の時に行われる判定の儀という、魔法属性を調べた日を境に、幸せな日常が崩れ去っていった・・・。その後、名を変え別の人物として、相棒のもふもふと共に旅に出る。相棒のもふもふであるズィーリオスの為の旅が、次第に自分自身の未来に深く関わっていき、仲間と共に逃れられない運命の荒波に飲み込まれていく。 ※第二章は全体的に説明回が多いです。 <<<小説家になろうにて先行投稿しています>>>

いつもの電車を降りたら異世界でした 身ぐるみはがされたので【異世界商店】で何とか生きていきます

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
電車をおりたら普通はホームでしょ、だけど僕はいつもの電車を降りたら異世界に来ていました 第一村人は僕に不親切で持っているものを全部奪われちゃった 服も全部奪われて路地で暮らすしかなくなってしまったけど、親切な人もいて何とか生きていけるようです レベルのある世界で優遇されたスキルがあることに気づいた僕は何とか生きていきます

家の猫がポーションとってきた。

熊ごろう
ファンタジー
テーブルに置かれた小さな瓶、それにソファーでくつろぐ飼い猫のクロ。それらを前にして俺は頭を抱えていた。 ある日どこからかクロが咥えて持ってきた瓶……その正体がポーションだったのだ。 瓶の処理はさておいて、俺は瓶の出所を探るため出掛けたクロの跡を追うが……ついた先は自宅の庭にある納屋だった。 やったね、自宅のお庭にダンジョン出来たよ!? どういうことなの。 始めはクロと一緒にダラダラとダンジョンに潜っていた俺だが、ある事を切っ掛けに本気でダンジョンの攻略を決意することに……。

異世界のんびりワークライフ ~生産チートを貰ったので好き勝手生きることにします~

樋川カイト
ファンタジー
友人の借金を押し付けられて馬車馬のように働いていた青年、三上彰。 無理がたたって過労死してしまった彼は、神を自称する男から自分の不幸の理由を知らされる。 そのお詫びにとチートスキルとともに異世界へと転生させられた彰は、そこで出会った人々と交流しながら日々を過ごすこととなる。 そんな彼に訪れるのは平和な未来か、はたまた更なる困難か。 色々と吹っ切れてしまった彼にとってその全てはただ人生の彩りになる、のかも知れない……。 ※この作品はカクヨム様でも掲載しています。

ゲーム中盤で死ぬ悪役貴族に転生したので、外れスキル【テイム】を駆使して最強を目指してみた

八又ナガト
ファンタジー
名作恋愛アクションRPG『剣と魔法のシンフォニア』 俺はある日突然、ゲームに登場する悪役貴族、レスト・アルビオンとして転生してしまう。 レストはゲーム中盤で主人公たちに倒され、最期は哀れな死に様を遂げることが決まっている悪役だった。 「まさかよりにもよって、死亡フラグしかない悪役キャラに転生するとは……だが、このまま何もできず殺されるのは御免だ!」 レストの持つスキル【テイム】に特別な力が秘められていることを知っていた俺は、その力を使えば死亡フラグを退けられるのではないかと考えた。 それから俺は前世の知識を総動員し、独自の鍛錬法で【テイム】の力を引き出していく。 「こうして着実に力をつけていけば、ゲームで決められた最期は迎えずに済むはず……いや、もしかしたら最強の座だって狙えるんじゃないか?」 狙いは成功し、俺は驚くべき程の速度で力を身に着けていく。 その結果、やがて俺はラスボスをも超える世界最強の力を獲得し、周囲にはなぜかゲームのメインヒロイン達まで集まってきてしまうのだった―― 別サイトでも投稿しております。

異世界で穴掘ってます!

KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語

全校転移!異能で異世界を巡る!?

小説愛好家
ファンタジー
全校集会中に地震に襲われ、魔法陣が出現し、眩い光が体育館全体を呑み込み俺は気絶した。 目覚めるとそこは大聖堂みたいな場所。 周りを見渡すとほとんどの人がまだ気絶をしていてる。 取り敢えず異世界転移だと仮定してステータスを開こうと試みる。 「ステータスオープン」と唱えるとステータスが表示された。「『異能』?なにこれ?まぁいいか」 取り敢えず異世界に転移したってことで間違いなさそうだな、テンプレ通り行くなら魔王討伐やらなんやらでめんどくさそうだし早々にここを出たいけどまぁ成り行きでなんとかなるだろ。 そんな感じで異世界転移を果たした主人公が圧倒的力『異能』を使いながら世界を旅する物語。

処理中です...