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あれから3分ほど走った所で廊下を通りすぎ、俺は何処かの部屋に到着した。

かなりのスピードで走ったから3分で着いたが、普通に歩いていたら10分位はかかっていたかも知れない。

というか次の部屋に入るまでに一本道の廊下を走って3分って…明らかに可笑しいだろ

しかも途中に部屋とかは無く、完全に一本道とか…明らかに構造がおかしい。

普通は途中に部屋が有る筈だし、これではこの先にひとに見られたくないものが有ると言っている様な物だ。

とまぁ廊下の話はこれくらいにして、この部屋の探索を開始することにしよう。

だが、部屋を探索する前に1つ問題が出てきた。

「部屋の中が見えないな…」

現在俺がいる部屋の中には明かりが無く、全く先が見えない状態だ。

「じゃあ光魔法で…いや、待てよ」

という訳で俺は光魔法で光源を作ろうとしたが、ふととある可能性を思い付く。

もしも公国が市民を生け贄に魔法を発動させているならその現場を見られないようにする筈だ。

だけどこの部屋には魔法的に何かを隠している様には見えない。

という事はここにその魔法を発動させている魔方陣が無いか、見られても別に構わないのか…それとも見られたとしても確実に見たものを排除する為の準備をしているのか…

どちらにしてもこの部屋を探すために光魔法を使うのは止めておいた方がいいな。

という事で光魔法以外の方法で視界を確保しないといけなくなった訳だが、他に方法は…

俺はゲーム時代の記憶を思い出しながら現状に役立つスキルが無いかを探していく…

「そうか、そういえばあれがあったな」

俺はとあるスキルの存在を思い出す。

そのスキルの名は暗視、効果はその名の通り、暗闇の中でも目が見える様にするスキルだ。

まぁ今の今までその存在を忘れていたのだが…

この暗視スキル、ユグドラシルオンラインでは外れスキルとして有名だったのだ。

その理由はこの暗視スキル、取得しても熟練度を貯めてスキルレベルを上げないとあまり効果が出ないのだ。

レベル1では殆ど効果が無く、レベル3位でやっと少し周りが見える程度、明るいところと同じように見える様にするには暗視スキルをマックスのレベル10まで上げないと行けないのだ。

このスキルレベル上げというのが非常に面倒で、この暗視スキルは一定時間暗い場所に居ないとレベルが上がらないのだ。

それだけを聞くと簡単だと思うだろう…だが、暗視スキルのレベルを1から2まで上げるのに1時間、2から3に上げるまで2時間と1時間ずつレベルアップに必要な時間が変化していくのだ。

しかも暗視スキルの経験値は暗い所に居ないと貰えない…つまり、何らかの光源がある所ではスキル経験値が貰えない。

つまり、何の光源もない場所で何時間も待機していないと暗視スキルのレベルを上げることは出来ないのだ。

コレが普通のゲームだったら、アバターを絶対死なない場所で放置するだけで良いが、ユグドラシルオンラインはVRMMO、つまりはプレイヤー自身がアバターを操作しないといけない為、放置することが出来ない。

ログアウトすればアバターもその場から消えるし、ユグドラシルオンラインの中でネットを見ることは出来ないから暇を潰すことも出来ない。

1つのスキルのレベルを上げるために何時間も暗闇の中で洞窟に居続けろなんてそりゃあ外れスキルって言われるよな。

しかもこのスキル、パッシブでは無くアクティブスキルだからいちいちスキルを発動させないといけない。

プレイヤー間だと、こんな苦労をするより光魔法を使った方が手っ取り早いという事でこのスキルを取得するプレイヤーはあまり居なかった。

確か俺がこのスキルを取ったきっかけは…そうそう、ヘラがこのスキルを取ったんだけど、レベル上げを1人でするのは辛いから一緒にやろう!って誘ってきたんだ。

おっと…今は昔の事を思い出している場合じゃないな、早くこの部屋を調べないと

俺は暗視スキルを発動させ、部屋の探索を始める事にした。
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