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と言うわけで、ベッドに寝ているのがレントルード侯爵と言う事が確認出来たので、早速魔法を発動させることにしよう。

俺はレントルード侯爵の顔に手の平をを向けて魔法を発動させる。

う~ん、肝心の夢の内容をどうするかだよな…ただ悪夢を見せるだけだったらただの嫌がらせだしなぁ…まぁ正義感でやっているわけでも無いけどな。

どうしようか…うん?これは…

どんな夢を見せるかを考えていると、昔読んだ漫画を思い出した。

内容は罪人の処刑人だった主人公がヒロインと出会い恋に落ちるという物だ。

その漫画のワンシーンに、主人公が処刑して、既に死んでいる筈の罪人達が主人公に向けて地獄に落ちろ、だの次はお前の番だ、と怨みの言葉を言うというのが有ったのだ。

それは、性根が優しい主人公が罪人とは言え、人を殺し続けた事によるストレスやらなんやらで、日常的にそう言った幻覚や幻聴を聞く様になったという訳だ。

最終的にはこの幻覚と幻聴が聞こえる原因をヒロインが無くして、主人公とヒロインは幸せな家庭を築くという物語だった。

俺はその漫画の事を思い出し、レントルード侯爵に見せる夢の内容を決めた。

レントルード侯爵には、夢の中で自分が殺した人から怨みの言葉を言われ、怨みの言葉を言った人を殺す際に実際に自分の命令した方法で自分が殺されるという物にする事にした。

自分が殺した人と同じ手口で夢の中だとは言え殺されるのだ。

自分がどんな事をしていたのかをはっきり認識させる事が出来るし、擬似的にとは言え殺された人が与えられた責め苦を受け続けなければならない。

ふと、思い出した物語だが、まさか今回の件の参考になるとはな。

いや、今回の場合は無意識下で、今まで読んできた物語の中から今回の件に参考になると物語を思い出したって感じか。

この夢の内容だと、人を殺していない人には意味が無いが、親父さんの話を聞いた限りだと、レントルード侯爵には効果的だと思う。

小さい頃から貴族として不自由なく暮らし、平民相手なら大抵の事が出来る様な権力を持って生活して来たのだ。

自分の幸せの為に親父さんの家族だけでなく、沢山の人を犠牲にしてきたのだろう。

貧富の差が激しいこの世界ではクリス達やバーナム男爵の様に平民と接している貴族の方が珍しいのだ。

そう考える、俺はレントルード侯爵に魔法を掛け始める。

これでレントルード侯爵は寝るたびに悪夢を見るようになるだろう。

そして魔法をかけ終わる直前、俺は魔法に1つの追加効果をつける事にした。

俺が最後に追加した効果とは、自分が殺した人たちに誠心誠意謝罪をし、相手に許された時、魔法の効果が切れるという物だ。

普通なら、この魔法に込めた魔力が切れるまで魔法の効果が続くが、魔法の終了条件を設定する事で、条件が満たされるまで魔法の効果が切れないようにするのだ。

それに、こうする事でこの魔法は一種の呪いになる。

レントルード侯爵からして見ればいきなり自分が不幸にした者たちが夢に現れ、自分がしてきた事をその身に受ける。

そしてこの夢を見ないようにする為には被害者と、その家族に誠心誠意謝罪をしないといけないのだ。

誠心誠意謝罪をする…つまり、悪夢を見続けて、悪夢を見ないようにする為に被害者の家族に謝ったのではこの魔法は解除されない。

自分の罪の重さを認識し、本気で謝らなければならないのだ。

だが、普通ならば悪夢を見続ける状態で本気で自分のやってきた事を悔い改め、被害者に謝罪をするなんてそうそう出来ることではない。

普通ならば悪夢を見て、自分のしてきた事を自身で体験したとしても、何故自分がこんな目に遭わないといけないのか、という思考になるだろう。

そして、悪夢を見ないようにする為に悪夢の原因を取り除こうとするだろう。

だが、そうして被害者や、家族に謝った所で誠心誠意謝罪した訳ではないので悪夢がなくなる訳では無い。

と言うより、この魔法をかけられる程人を不幸にしてきた人が、悔い改めて誠心誠意謝罪出来るはずが無いのだ。

だからレントルード侯爵は悪夢を見続け、死ぬまで苦しむ事になるだろう。
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