上 下
106 / 280

106

しおりを挟む
「っお、あそこじゃないか?」

俺は東門の前に集まっている集団を指差す。

「…どうやらその様ですね、馬車に刻まれているエンブレムが依頼書に書かれていた物と一致します」

ヤヨイは馬車のエンブレムを確認しながらそう話す。

この世界では商人の馬車にはエンブレムを刻む事が決められている。

この世界で全ての商人は商人ギルドに所属している。

というのも、この世界で商人と名乗れるのは商人ギルドに所属している人だけとあ決まりがあるからだ。

勿論商人では無くても商売は出来るが、商人を名乗る事が出来るのは商人ギルドに加入している者のみと決められているのだ。

商人ギルドに加入する事で商人が得られる得は3つ。

1つ、門を通る時に掛かる税金が免除される。

通常、街に入る時には馬車に乗せている物によって税金として一部の素材やアイテムが徴収される。

だが、商人ギルドに加入することで素材やアイテムを徴収される事無く、商売をすることが出来るようになるのだ。

勿論、麻薬や違法な品物と言った物を街に入れないために馬車や荷物の確認はするが、徴収されない分の素材分、収入を得ることが出来るようになる。

2つ、他の職人への口利きを商人ギルドが協力してくれる。

これは折角珍しい素材を入手したは良いものの、知り合いに加工を頼むことが出来る所が無い!というの時に、商人ギルドが加工できる職人を商会、口利きしてくれるという物だ。

コネが無い商人はそういう珍しく、加工が難しい素材を持っていっても加工してもらえる人が居ないために売ることが出来ないという人が利用する制度だな。

そして最後の3つ目、それは商人または商会限定のエンブレムを制作することが出来るという物だ。

商人ギルドから発行されたエンブレムを持っているという事は、商人ギルドが商人として認めているという事になる。

エンブレムは商人ギルドによる特別な方法で作られている物で、複製することも偽装することも出来ない。

なので、エンブレムを持っているだけで取引が成功しやすくなるというメリットがある。

何故取引が成功しやすくなる理由は、エンブレムを持っている商人に詐欺行為をされたりした場合、商人ギルドに申し出をすることで被害の請求と、その分の補填を商人ギルドに請求する事が出来るというのが有る。

つまり、詐欺られても商人ギルドに言えば商人ギルドが被害の補填と詐欺行為を働いた商人に罰則を与えてくれるから、安心して取引をすることが出来るようになるからだ。

だが、取引が成功しやすくなるというメリットの他にもデメリットも存在する。

デメリットのは、先程言った通りに、取引相手に詐欺行為やそれに近い行為を行った場合に商人ギルドに罰則が与えられたりするという事だ。

これは相手に働いた詐欺行為の度合いによって罰則の内容が変化する。

軽い罰なら商人ギルドが補填した金額を請求される位で済むらしいが、それを行わなかったり、重い詐欺行為を行った商人にはエンブレムの剥奪がされるらしい。

エンブレムを剥奪された元商人は殆どの取引が成立する事は無くなり、もう二度と商人として暮らすことができなくなるらしいから、詐欺行為等の犯罪行為の抑止力と成るわけだ。

まぁ簡単に言うと、エンブレムを手に入れた商人は取引が成立しやすくなるが、犯罪を犯すと重い罰を受けるという訳だ。

商人が護衛依頼をする場合には、依頼書にエンブレムを記している事で、護衛対象の商人を確認する事が出来るのだ。

「すいません、護衛依頼で来ました、貴方がエドワードさんの馬車で合ってるか?」

武装している人達近くに立っている男性に向けて話しかける。

「ええ、私が護衛依頼をださせて頂いたエドワードです、今回はよろしくお願いしますね」

今回の護衛依頼者、エドワードは俺の質問に答え、挨拶を返した。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

母親に家を追い出されたので、勝手に生きる!!(泣きついて来ても、助けてやらない)

いくみ
ファンタジー
実母に家を追い出された。 全く親父の奴!勝手に消えやがって! 親父が帰ってこなくなったから、実母が再婚したが……。その再婚相手は働きもせずに好き勝手する男だった。 俺は消えた親父から母と頼むと、言われて。 母を守ったつもりだったが……出て行けと言われた……。 なんだこれ!俺よりもその男とできた子供の味方なんだな? なら、出ていくよ! 俺が居なくても食って行けるなら勝手にしろよ! これは、のんびり気ままに冒険をする男の話です。 カクヨム様にて先行掲載中です。 不定期更新です。

異世界のんびりワークライフ ~生産チートを貰ったので好き勝手生きることにします~

樋川カイト
ファンタジー
友人の借金を押し付けられて馬車馬のように働いていた青年、三上彰。 無理がたたって過労死してしまった彼は、神を自称する男から自分の不幸の理由を知らされる。 そのお詫びにとチートスキルとともに異世界へと転生させられた彰は、そこで出会った人々と交流しながら日々を過ごすこととなる。 そんな彼に訪れるのは平和な未来か、はたまた更なる困難か。 色々と吹っ切れてしまった彼にとってその全てはただ人生の彩りになる、のかも知れない……。 ※この作品はカクヨム様でも掲載しています。

悪役貴族の四男に転生した俺は、怠惰で自由な生活がしたいので、自由気ままな冒険者生活(スローライフ)を始めたかった。

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
俺は何もしてないのに兄達のせいで悪役貴族扱いされているんだが…… アーノルドは名門貴族クローリー家の四男に転生した。家の掲げる独立独行の家訓のため、剣技に魔術果ては鍛冶師の技術を身に着けた。 そして15歳となった現在。アーノルドは、魔剣士を育成する教育機関に入学するのだが、親戚や上の兄達のせいで悪役扱いをされ、付いた渾名は【悪役公子】。  実家ではやりたくもない【付与魔術】をやらされ、学園に通っていても心の無い言葉を投げかけられる日々に嫌気がさした俺は、自由を求めて冒険者になる事にした。  剣術ではなく刀を打ち刀を使う彼は、憧れの自由と、美味いメシとスローライフを求めて、時に戦い。時にメシを食らい、時に剣を打つ。  アーノルドの第二の人生が幕を開ける。しかし、同級生で仲の悪いメイザース家の娘ミナに学園での態度が演技だと知られてしまい。アーノルドの理想の生活は、ハチャメチャなものになって行く。

とあるオタが勇者召喚に巻き込まれた件~イレギュラーバグチートスキルで異世界漫遊~

剣伎 竜星
ファンタジー
仕事の修羅場を乗り越えて、徹夜明けもなんのその、年2回ある有○の戦場を駆けた夏。長期休暇を取得し、自宅に引きこもって戦利品を堪能すべく、帰宅の途上で食材を購入して後はただ帰るだけだった。しかし、学生4人組とすれ違ったと思ったら、俺はスマホの電波が届かない中世ヨーロッパと思しき建築物の複雑な幾何学模様の上にいた。学生4人組とともに。やってきた召喚者と思しき王女様達の魔族侵略の話を聞いて、俺は察した。これあかん系異世界勇者召喚だと。しかも、どうやら肝心の勇者は学生4人組みの方で俺は巻き込まれた一般人らしい。【鑑定】や【空間収納】といった鉄板スキルを保有して、とんでもないバグと思えるチートスキルいるが、違うらしい。そして、安定の「元の世界に帰る方法」は不明→絶望的な難易度。勇者系の称号がないとわかると王女達は掌返しをして俺を奴隷扱いするのは必至。1人を除いて学生共も俺を馬鹿にしだしたので俺は迷惑料を(強制的に)もらって早々に国を脱出し、この異世界をチートスキルを駆使して漫遊することにした。※10話前後までスタート地点の王城での話になります。

異世界転生!俺はここで生きていく

おとなのふりかけ紅鮭
ファンタジー
俺の名前は長瀬達也。特に特徴のない、その辺の高校生男子だ。 同じクラスの女の子に恋をしているが、告白も出来ずにいるチキン野郎である。 今日も部活の朝練に向かう為朝も早くに家を出た。 だけど、俺は朝練に向かう途中で事故にあってしまう。 意識を失った後、目覚めたらそこは俺の知らない世界だった! 魔法あり、剣あり、ドラゴンあり!のまさに小説で読んだファンタジーの世界。 俺はそんな世界で冒険者として生きて行く事になる、はずだったのだが、何やら色々と問題が起きそうな世界だったようだ。 それでも俺は楽しくこの新しい生を歩んで行くのだ! 小説家になろうでも投稿しています。 メインはあちらですが、こちらも同じように投稿していきます。 宜しくお願いします。

異世界でぼっち生活をしてたら幼女×2を拾ったので養うことにした

せんせい
ファンタジー
自身のクラスが勇者召喚として呼ばれたのに乗り遅れてお亡くなりになってしまった主人公。 その瞬間を偶然にも神が見ていたことでほぼ不老不死に近い能力を貰い異世界へ! 約2万年の時を、ぼっちで過ごしていたある日、いつも通り森を闊歩していると2人の子供(幼女)に遭遇し、そこから主人公の物語が始まって行く……。 ―――

「残念でした~。レベル1だしチートスキルなんてありませ~ん笑」と女神に言われ異世界転生させられましたが、転移先がレベルアップの実の宝庫でした

御浦祥太
ファンタジー
どこにでもいる高校生、朝比奈結人《あさひなゆいと》は修学旅行で京都を訪れた際に、突然清水寺から落下してしまう。不思議な空間にワープした結人は女神を名乗る女性に会い、自分がこれから異世界転生することを告げられる。 異世界と聞いて結人は、何かチートのような特別なスキルがもらえるのか女神に尋ねるが、返ってきたのは「残念でした~~。レベル1だしチートスキルなんてありませ~~ん(笑)」という強烈な言葉だった。 女神の言葉に落胆しつつも異世界に転生させられる結人。 ――しかし、彼は知らなかった。 転移先がまさかの禁断のレベルアップの実の群生地であり、その実を食べることで自身のレベルが世界最高となることを――

いつもの電車を降りたら異世界でした 身ぐるみはがされたので【異世界商店】で何とか生きていきます

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
電車をおりたら普通はホームでしょ、だけど僕はいつもの電車を降りたら異世界に来ていました 第一村人は僕に不親切で持っているものを全部奪われちゃった 服も全部奪われて路地で暮らすしかなくなってしまったけど、親切な人もいて何とか生きていけるようです レベルのある世界で優遇されたスキルがあることに気づいた僕は何とか生きていきます

処理中です...