狭すぎた世界 広すぎた牢獄

十二ノ天人

第八話 ░░を悔░む

「…はぁ。起きてください！来世さん！」

聞き覚えのある女の子の声が聞こえた。

「だ…れ？」

少女来世は懐かしく感じた。

「…あなたの部下の祀咲水まつさきみなですよ。寝ぼけてますね？」

水は目の前の少し幼く見える少年「来世」を優しい表情で見ていた。

「…み…な？」

来世は物珍しそうに水を見つめた。

(なんで……水は…死んだはず………死んだ？何時？何処で？どうして？……何も…)

「…うっ…頭痛い……」

当然､頭痛が起き､来世はとっさに目を閉じた。

水の声が頭の中で響いた。

「…逃げて…ください……」

来世は何かを思い出し目を開けた。

そこは辺り一面､死体が転がる荒野にたっていた。

「来世さん…ごめん……なさ…」

目の前には░░░と░░無░な姿の░░░がい░た。

「……水？」

少女だった者少年だった怪物は自分の手を見た。

その手は血で真っ赤に染まり､その身は傷だらけとなった哀れな人型が立っていた。

「…ははッ！」

ひとがたの中で何かが壊れる音がした。

「あっはは！ははは！はははは！」

ヒトガタは地面に倒れ込み1人荒野で泣き崩れた。文字通りに。

周りの死体は人形ヒトガタを目指し血で染まりびしょびしょの地を這いずり

「お前も」

や

「あんたのせい」

などの言葉を吐きながら人形を壊そうとしていた。

「……ごめんなさい

…ごめんなさい

ごめんなさい

わざとじゃない……」

「あなたのせいです」

水の声が冷たく人形を刺した。

「……ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい……」

いつの間にか周りの景色は変わり目の前には優しい顔で死んでいる青年があった。

「……そうか…あたしは」

「……ろ…………きろ」

聞き覚えの無い男の声が聞こえた。

「起きろ！」

「…」

少女は夢から覚めた。

「星雲！あんた何時間寝たら気が済む！」

ルーズベルは呆れていた。

「……助かった……ありがと」

「……？」

「はぁ。はるか昔の夢を見てた。」

少女はベットから降りた。

「よし。ルーズベルいいこお……コホン。いい事おも……い！い！こ！と！お！も！い！つ！い！た！よし言えた。あたし滑舌終わってる。」

「……寝ぼけてるのか？」

「当たり前」

「…」

ルーズベルは「ダメだこりゃ」と小声で言った。

少女が少し食い気味に

「良い事気になるでしょ!?気になるよね!?」

と普段の暗い感じとは程遠い年相応の子供に見えた。

ルーズベルは

「…内容によるがな」

と期待していなかった。

「簡単じゃよ。」

少女の顔からは表情が消え口調が変わった。

「あの青髪のガキを公開で始末。つまり公開処刑する。何せルーズベル。汝がこの村に来てから､悪魔狩りの儀が作られた。そろそろその時期であろう？」

「…ああ」

「それを利用する。前々から処刑と言う名の本拠地へ連れ帰る事は決まっておる。実質､あの「エミリー」と言うガキには､どちらにせよ処刑には変わりないはずじゃ。ならば､早急に「偽りの悪魔狩りの儀式」を開催する。」

少女は少し水を飲みまた話始めた。

「さすれば向こうはいかなる手段をとっても。「青髪の悪魔」ことあのガキを助けようとする。
そこでじゃ。ここからが吾と汝の出番じゃ。もしこれが失敗しても保険がある。それに､裏切り者も始末し､この村も終わる。つまりじゃ､情報が漏れずに済む。まずはここまで聞いてどうじゃ？上手く行けば2体同時に捕獲できる。」

少女はニヤと笑った。

「わかった。では､早急に悪魔狩りの儀を始める手筈を進める。」

ルーズベルはそう言い立ち上がった。

「それで良い。開催された後は臨機応変に。頼むぞ。開催はいつできる？」

「…いつまでに準備が終わればいい」

「あっはは！いいね！そうだね～3日以内に出来れば安心かな。向こうに時間を与えすぎちゃ逃げられるからね。」

ルーズは「了解だ」とだけ言い出ていった。

「あっはは！保険はある！あたしの勝ちチェックメイトだよ！」

その頃エミリー達は

「エミリーちゃん。」

「はい？」

「……とても言いずらいのだけど…左肩に虫が…」

「…えっ……」

エミリーは恐る恐る虫がいると言われた場所を見た。

「あっ……」

パタッ

虫を見た瞬間エミリーは気絶した。

「あっ」

虫はセシリアに飛んで行った。

「ひっ！」

パタッ

セシリアも同じく倒れた。

「……カオスだ…うんカオス」

その頃ソウカは

「けほっごほっ…はぁはぁ…赤い…液体…ウｯ…ゲボｯげホッ」

咳をすると手には血が付いていた。

「…誰か……殺して助けて…苦しいよ…痛いよ…」