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十二ノ天人

第三話 助けるよ

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「待ってて。」

エミリーの優しい声が響いた。

「……い…行きましょ。エミリーちゃん。」

少し気まずそうに女性の声が響いた。

「はい」

エミリーは少し勇気を得たように返事をした。

エミリー達は離れていった。

「……助ける…か…こんなぼくを助けても。何も価値のないぼくを助けたって…」

その頃、ルーズベルは村から遠くに離れていた。

「…この私を追跡してるそこの女。出て来い。」

「あわわ!み、見つかった!え、えっと…ワ」

木の影から現れたのは所々金属で覆われているメイド服を着た少女が現れた。

「ワタシは」

メイドはさっきまで慌ててたのが嘘のようにスカートの裾を持った。

「ノエル・アークナーガです。早速ですが。ソウカ様の居場所を拷問をしてでも探せと、陛下と聖騎士部隊長からの命かあるので話して頂きます。リアナカスリ教団幹部、第八席ルーズベル・リ・アズマリア様」

ノエルは自分より大きい大剣を軽々と片手で構えた。

「…はぁ。貴様が相手か……分が悪いな…だが言えんのだよ。」

ルーズベルは少し諦めたように頭を撫でた。

「そうですか。」

ノエルはルーズベルの腕を切り落とした。

「ッ!早っ!チッ!『転いっ」

「させません!」

ノエルは大剣を捨て右手を握りしめ地面を思いっきり殴った。

「危ッ!」

ノエルの拳が地面に当たった瞬間。爆発でも起きたかのような轟音が鳴り響き、辺り一面の地形は少しだけ変わった。

「当てる気で殴ったのですが…ううぅこれはさすがに怒られる…」

「呑気な小娘だ!『聖槍ロンギヌス』」

ルーズベルは魔法をノエルに向かい放った。

(この距離!避けれるはずがない!)

だがノエルは瞬きするよりも早くルーズベルの後ろに居た。

「『炎華』」

ルーズベルは広範囲に爆発を起こす魔法を使った。

「……相変わらず化け物だな……はぁはぁ…ノエル。あの爆発をまともに食らって無傷とわな…はぁ……すぅーはぁ……はぁ…厄介だやはりは腐っても魔の神と呼ばれるだけはあるな」

「ありがとうございます」

「貴様の能力は少し調べさせてもらった。貴様の能力は自身が殺した生物の能力を強化された状態で私用できる。だろ?」

「ど、どこでそれを知ったのですか?」

ノエルの警戒が少し緩んだ。

「油断大敵だ。」

後ろからルーズベルでは無い少年の声が聞こえた。その少年はフードを被り、2つ穴の空いた真っ黒なお面をしていた。

「…あなた……ワタシと会う前に何人も殺してますね。」

フードの少年の手には血だらけでまるで生きるように触手が蠢いているナイフが握られていた。

「……はぁ。ダルっ。召喚魔ホッ」

「はぁ!」

ブォン

「っと」

フードの少年はノエルの早くほぼ不可視な攻撃を避けた。

「ホントに詠唱中に攻撃するんだ。君。まぁ詠唱する必要無いけど。」

フードの少年は両手を広げると頭部が犬のような見た目で大鎌を持った生物が三体現れた。

「犬神。こいつらは物理攻撃が効かない。それに魔法もだ。物理攻撃主体のあんたにはキツイだろうな。まぁせいぜい頑張れ。ってもソウカの居場所知ってるルーズベルはどっかいったがな。」

ノエルは慌てて辺りを見渡したがルーズベルは見当たんなかった。

「うそ!」

ノエルはかなり慌てた。

「…これでこっちの仕事も終わったし帰らせていただくよ。」

フードの少年は光の粒子となってどこかえ消えた。

「ああ!逃がしちゃった!どうしよう…ううぅ怒られる………犬神…攻撃してこない…」

フードの少年が召喚した「犬神」はノエルを見つめるだけで攻撃はしてこなかった。

「去レ」

犬神は短く警告した。

「…」

ノエルは少し考えた後、その場を去った。

━マリア・ミーシュ王国━

「ヒロ様、報告です!ソウカ様をさらったとされる人物と交戦しました。ですが…逃がしてしまいました。」

「……あぁ。分かった。怪我はねぇか?あいつは腐っても第八席だ。警戒は怠るなよ。あんたがいくらと呼ばれていても所詮は俺もあんたも生物だ……あんたは兄貴の専属メイドなのに肝心な本人が居ないとはな。」

ヒロと呼ばれた少年は「…どうも。嫌な予感がすんな。」と言い天井を見上げた。
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