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第4章 新しい家族と
5話
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買ってきたニコの衣類や色々を片付け終えても、まだ夕方にもなっていなかった。
その間、ニコ達が何をしていたのかと言えば、買ってきた絵本を仕舞おうとした時に見たそうだったので、数冊渡してある。
絵本はもちろん、文字が出てくるので読まないと内容は分からないが、ニコを始め、妖精達は字を読むことは出来ない。
どうしているかと、時々気にして見ていると、どうやら絵を見て楽しんでいるようだった。
「!!」
ふと顔を上げたニコと目が合い、パァッと笑顔を浮かべたかと思えば、パタパタとこちらに駆け寄ってきた。
名前通りのニコニコ笑顔を浮かべて、絵本を1冊差し出してくる。
「ん?これ読んで欲しいの?」
尋ねるとコクコクと頷いて、期待の籠ったキラキラした目で見つめてくる。
別段断る理由は特に(あと少ししたら夕飯の準備があるが)無いので、もちろん引き受ける。
「ソファーでいいかな」
絵本を受け取ってソファーへ向かえば、テテテッと後ろを着いてくる。
テレビでよく見る、カルガモの親子を思い出して、思わず笑みが零れた。
ソファーに並んで座り、内容を把握するために1度パラパラと捲る。
「これは、動物の親子のお話かな」
ほのぼのとした、絵本らしい絵本。
ざっと読み終えてから、読む体制に入る。気がつけば、妖精達も周りに集まっている上に、いつの間にかユキが膝の上で丸まって眠っていた。
「よんでよんでー」
「みたいみたい」
「いいよー。じゃあゆっくり読むね」
あまり長くない絵本は、それでも皆気に入ってくれたようで、もう一度読んで欲しいとリクエストが上がったので、それに答える。
2回目を読み終える頃には、満足したのかニコは膝に持たれてユキと顔を合わせるように眠り始めていた。
「ニコねたー?」
「ねてるー」
「シー。静かにしないと起こしちゃうよ」
「はーい」
最初はワイワイとしていた妖精達も、起こさないようにと静かになる。
ニコの寝顔を覗き込んだり、小さな声でココロに話しかけてきたりと自由に行動し始める。
「ココロ、うごけない?」
「そうだね。これで動いちゃうと、起きちゃうからね」
スースーと寝息をたて始めたニコの頭を撫でると、嬉しそうに口元が笑みを作る。
夕飯まではまだ少し時間はあるから、大丈夫だろう。
とは言え、このままボーッとしているのも勿体ないので、買ってきた子育て本を読むことにした。
「とりあえず最優先なのはご飯関係かな」
タブレットに子育て本を表示して、今欲しい情報のページを開く。
今までは、自分の食べたい(栄養は考えつつ)物を自由に作ってきたが、幼い子がいるならば話はまた違ってくる。
成長に必要な栄養をバランスよく摂る必要が出てくるのだ。
「ん-。まだ好き嫌い把握できてないからなー。さすがに無い…なんてことはないよねー」
ハロルドが保護してい以降、食べたものを思い出す。
最初は屋台か何かで買った焼き鳥(添加物はほぼない世界なので問題はない…はず)に、リックが作ったオニギリ、そしてココロが預かってからクッキーとパンケーキ、ショッピングモールでお子様ランチ。
特に嫌がるものは無かった。
けれど、子供が嫌いな食べ物代表(ピーマン、ニンジン、玉ねぎ等)は、まだ出していないので、不明だ。
これから一つずつ出して様子を見るしかないだろう。
嫌いなら克服出来るように工夫する必要があるし、そうでなければ問題ない。
「うん、今日はこれぐらいにして、準備しようかな」
一通り食事関係を読み終えたころには、外が少し薄暗くなってきているところだった。いつの間にかユキがいなくなっている。
お昼寝していたニコも、モゾモゾと動き出している。
「あ、起きた」
「……っ」
「?」
小さくだが、口をパクパクと動かしている。呼吸ではない音がかすかに聞こえた。
「ぁ…ぁ」
「!」
微かにだが、声が漏れ出た。本人の希望でもある、声が少し出せるようになったようだ。
けれどまだ、小さな声しか出せないようなので、その小さな口に耳を近づける。
「マ…マ」
「!!」
ホントに小さな声で「ママ」と聞こえた。
思わず、その小さな体を抱き上げてギューッと抱きしめた。
「うん、うん。ママだよ!」
声を出せるようになったことが、ママと呼んでくれたことが、嬉しかった。
まだ耳元にあるその口は、嬉しそうに笑い声をあげている。
にぎやかさに気づいたのか、自由にしていた妖精達も戻ってくる。
「ココロー?」
「どーしたの?」
「あ、ごめんね、騒いじゃって。ニコがね『ママ』って、しゃべったの!」
「ホント!?」
ワーキャーと騒ぎ出した妖精達に、ちょっとビックリしたのか、ニコの腕にキュッと力が籠った。
その表情に気づいて、すぐに声を落とすが、妖精達も喜んでいるのが見てわかる。
「大丈夫だよ。みんな、ニコがおしゃべりしてくれたことが、嬉しいんだって」
「ニコー、みんなのなまえも、よんでー」
「?」
「ん-、それはまだ分からないのかな。ゆっくり覚えようね」
「そっかー…」
まだ呼ばれないのかと、しょんぼりしてしまったが、今後に期待という事か。
まぁ、言葉を覚えるにも、人や物の名前からの方が覚えやすいだろうから、妖精達やユキの名前を教えるのもいいかもしれない。
「さて、それじゃあご飯の用意するから、皆と遊んでてね」
分かったというように大きくうなずいて、膝から降りていく。
さて何を作ろうかと、キッチンへ向かった。
その間、ニコ達が何をしていたのかと言えば、買ってきた絵本を仕舞おうとした時に見たそうだったので、数冊渡してある。
絵本はもちろん、文字が出てくるので読まないと内容は分からないが、ニコを始め、妖精達は字を読むことは出来ない。
どうしているかと、時々気にして見ていると、どうやら絵を見て楽しんでいるようだった。
「!!」
ふと顔を上げたニコと目が合い、パァッと笑顔を浮かべたかと思えば、パタパタとこちらに駆け寄ってきた。
名前通りのニコニコ笑顔を浮かべて、絵本を1冊差し出してくる。
「ん?これ読んで欲しいの?」
尋ねるとコクコクと頷いて、期待の籠ったキラキラした目で見つめてくる。
別段断る理由は特に(あと少ししたら夕飯の準備があるが)無いので、もちろん引き受ける。
「ソファーでいいかな」
絵本を受け取ってソファーへ向かえば、テテテッと後ろを着いてくる。
テレビでよく見る、カルガモの親子を思い出して、思わず笑みが零れた。
ソファーに並んで座り、内容を把握するために1度パラパラと捲る。
「これは、動物の親子のお話かな」
ほのぼのとした、絵本らしい絵本。
ざっと読み終えてから、読む体制に入る。気がつけば、妖精達も周りに集まっている上に、いつの間にかユキが膝の上で丸まって眠っていた。
「よんでよんでー」
「みたいみたい」
「いいよー。じゃあゆっくり読むね」
あまり長くない絵本は、それでも皆気に入ってくれたようで、もう一度読んで欲しいとリクエストが上がったので、それに答える。
2回目を読み終える頃には、満足したのかニコは膝に持たれてユキと顔を合わせるように眠り始めていた。
「ニコねたー?」
「ねてるー」
「シー。静かにしないと起こしちゃうよ」
「はーい」
最初はワイワイとしていた妖精達も、起こさないようにと静かになる。
ニコの寝顔を覗き込んだり、小さな声でココロに話しかけてきたりと自由に行動し始める。
「ココロ、うごけない?」
「そうだね。これで動いちゃうと、起きちゃうからね」
スースーと寝息をたて始めたニコの頭を撫でると、嬉しそうに口元が笑みを作る。
夕飯まではまだ少し時間はあるから、大丈夫だろう。
とは言え、このままボーッとしているのも勿体ないので、買ってきた子育て本を読むことにした。
「とりあえず最優先なのはご飯関係かな」
タブレットに子育て本を表示して、今欲しい情報のページを開く。
今までは、自分の食べたい(栄養は考えつつ)物を自由に作ってきたが、幼い子がいるならば話はまた違ってくる。
成長に必要な栄養をバランスよく摂る必要が出てくるのだ。
「ん-。まだ好き嫌い把握できてないからなー。さすがに無い…なんてことはないよねー」
ハロルドが保護してい以降、食べたものを思い出す。
最初は屋台か何かで買った焼き鳥(添加物はほぼない世界なので問題はない…はず)に、リックが作ったオニギリ、そしてココロが預かってからクッキーとパンケーキ、ショッピングモールでお子様ランチ。
特に嫌がるものは無かった。
けれど、子供が嫌いな食べ物代表(ピーマン、ニンジン、玉ねぎ等)は、まだ出していないので、不明だ。
これから一つずつ出して様子を見るしかないだろう。
嫌いなら克服出来るように工夫する必要があるし、そうでなければ問題ない。
「うん、今日はこれぐらいにして、準備しようかな」
一通り食事関係を読み終えたころには、外が少し薄暗くなってきているところだった。いつの間にかユキがいなくなっている。
お昼寝していたニコも、モゾモゾと動き出している。
「あ、起きた」
「……っ」
「?」
小さくだが、口をパクパクと動かしている。呼吸ではない音がかすかに聞こえた。
「ぁ…ぁ」
「!」
微かにだが、声が漏れ出た。本人の希望でもある、声が少し出せるようになったようだ。
けれどまだ、小さな声しか出せないようなので、その小さな口に耳を近づける。
「マ…マ」
「!!」
ホントに小さな声で「ママ」と聞こえた。
思わず、その小さな体を抱き上げてギューッと抱きしめた。
「うん、うん。ママだよ!」
声を出せるようになったことが、ママと呼んでくれたことが、嬉しかった。
まだ耳元にあるその口は、嬉しそうに笑い声をあげている。
にぎやかさに気づいたのか、自由にしていた妖精達も戻ってくる。
「ココロー?」
「どーしたの?」
「あ、ごめんね、騒いじゃって。ニコがね『ママ』って、しゃべったの!」
「ホント!?」
ワーキャーと騒ぎ出した妖精達に、ちょっとビックリしたのか、ニコの腕にキュッと力が籠った。
その表情に気づいて、すぐに声を落とすが、妖精達も喜んでいるのが見てわかる。
「大丈夫だよ。みんな、ニコがおしゃべりしてくれたことが、嬉しいんだって」
「ニコー、みんなのなまえも、よんでー」
「?」
「ん-、それはまだ分からないのかな。ゆっくり覚えようね」
「そっかー…」
まだ呼ばれないのかと、しょんぼりしてしまったが、今後に期待という事か。
まぁ、言葉を覚えるにも、人や物の名前からの方が覚えやすいだろうから、妖精達やユキの名前を教えるのもいいかもしれない。
「さて、それじゃあご飯の用意するから、皆と遊んでてね」
分かったというように大きくうなずいて、膝から降りていく。
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