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第3章 新しい試み
13話
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子猫・ユキを家族として迎え入れた翌日。
1人でこの世界にやってきた時には想像もつかないほど大所帯となった。
子猫一匹に馬一頭、牛や豚、鶏等の家畜動物数頭(羽)、そして妖精11人。
一部は予定外だったとは言え、半月程でここまで数が増えるとは。
頂いた土地(ここまでくればもう牧場と言ってもいいかもしれない)が賑やかになるのはいい事だ。
だが、数は増えるが人自体はココロ以外に住んでいない。
そのことに寂しさを…
「んー、そろそろ何か作ろうかな」
特に感じてはいなかった。
今朝はトーストと簡単なサラダで済ませたが、最初に買った(苺)ジャムが終わった。
改めて買ってくることもできるが、タブレットから収穫物の確認をしてみれば、果物類がそれなりに溜まっていた。
「んー、せっかくなら種類作っておこうかな。ビンがいくつか欲しいかも」
最初に気づいたときには驚いたが、果実畑も自動菜園のスキルが流用されているらしい。
結構頻繁に実がなるので、その都度取りに行くのは大変だと思っていたところだった。
自動収穫と任意加工は果樹に対して機能しているが、自動採種は不可。
理由は表示されなかったので不明だが、来た当初に見た光景を思い浮かべれば、予想は出来た。
ココロが来るずっと前から、自動採種に近い力が働いていた。それはきっとみどりさんに関わるコト。
みどりさんについて知っているのは、ライ以外の妖精たち。けれど、1度みどりさんの事を聞いてみたけれど、欲しい答えは得られなかったので、気にしないようにした。
そして、任意加工の存在に気がついて約10日。
色々試してみた結果、大体の傾向が分かってきた。
スーパー等で買って、その後調理が必要な物は加工出来る。その場で直ぐに食べれる物は出来ない。
米を買っても食べれないが、オニギリは食べれる、と言った具合いだ。
勿論例外もあるので一概にこれに当てはめれは出来ないが、そう覚えておくだけで充分だろう。
そしてその例外の1つがジャムだ。
今ジャムに出来るものとしては、りんごにもも、みかん、オレンジ、ブルーベリーにラズベリー辺りだろうか。あ、梅も出来そう。
残念な事に、いちごはまだ実っていないので今回は諦める。
ベリー系はソースにしてもいいかもしれない。
と言うことで、妖精たちに子守を任せて、買い物に向かった。
今回はハロルドの家がある街ではなく、別の街へ向う。
南の国は農作物の生産をしているが、街によって傾向が変わってくる。
野菜メインの街、穀物が主流の街、果樹だけ作っている街等。
果樹がメインの街はジャム作りも盛んで、それに伴いジャムの容器等も製造販売されている所もあるので、少し足を伸ばせば行ける、その街があるのでそこに行くことにした。
そして購入してきた物として、少し大きめのビンを7つと、入りきらなかった時用に1番小さいビンを5こ。小さいビンはお世話になってる人にお礼として渡しても良いだろう。
ビン以外に、ジャム専用の砂糖と蜂蜜が売っていたので、今回は砂糖を予備含め購入。
それから、フルーツソースを入れられる容器も売っていたので買っておいた。
買うものはそれで終わりだったので、帰宅。
ビンを煮沸消毒し、ジャム作りに取り掛かった。
「んー、コンロは3つあるから、時間ずらしながらやれば一気に出来るかな」
最初に、下処理に時間のかかるオレンジから。
オレンジのジャムと言えばやっぱりマーマレードだ。
周りの汚れを軽く(薬品未使用)洗い、皮を剥いて節部分を取り除き、水を変えながら何度か鍋で沸騰させる。
皮を水にさらしている間に、実の薄皮を剥いて種を取る。
砂糖の量を決めてから皮を細切り(大変だった)にして、実と半量の砂糖と一緒に鍋に入れてひとまず置いておく。
別の鍋にラズベリーと砂糖、レモン汁を入れて軽く揺らしてそのまま置いておく。
さらに別の鍋にブルーベリーを入れて、砂糖とレモン汁をかけ、弱火にかける。
ブルーベリーを見ながら、オレンジに目を向ければ砂糖が溶けていたので、ネットに入れた薄皮と種も投入しこちらも弱火。
オレンジの実を潰しながら煮込み、ブルーベリーの火を少し強めて灰汁を取る。
ラズベリーも弱火にかけて、順番に混ぜながらマーマレードに砂糖を加えて混ぜ、ラズベリーの灰汁を取って…
「わあー、やっぱりちょっと欲張りすぎた!」
後悔してももう遅い。3つ一緒はやはり高難易度過ぎた。
取り敢えず焦らずに、オレンジの薄皮と種を取り除いて煮詰め、ラズベリーを時々かき混ぜながら、完成したところから瓶に詰めていく。
3つともビンに詰め終えて軽くフタをして、鍋を1つ急いで洗ってから、ビンを入れて沸騰させる。
気を付けながらフタを一瞬開けてすぐしっかり締めて。
これでフタがへこめば成功だ。
「ふぅー…。次からは2つずつにしよ…」
その次は、オヤツの後にしよう。
出掛ける前にスコーンの生地を作っておいたから、あとは成形して焼くだけだ。
ビンに入り切らなかったジャムと一緒に美味しく頂いて、片付けを終えたら、今度はももとりんごのジャム作り。
りんごは皮をむき芯を取ったらいちょう切りにして塩水にさらし、その間にももの皮をむき、種を取ってくし形にして、皮をネットに入れる。
それぞれ鍋に入れて砂糖、レモン汁を入れ、ももには皮を入れ、火にかける。
灰汁を取りながらそれぞれ煮て、こちらもビンに詰めて鍋で沸騰…と繰り返す。
りんごと桃は少し多く出来たので、小さなビンにも1つずつ出来た。
「みかんと梅は…明日かな」
そう決めてキッチン周りをキレイにしている間に、冷めたビンのフタがヘコんでいたので安堵した。
1人でこの世界にやってきた時には想像もつかないほど大所帯となった。
子猫一匹に馬一頭、牛や豚、鶏等の家畜動物数頭(羽)、そして妖精11人。
一部は予定外だったとは言え、半月程でここまで数が増えるとは。
頂いた土地(ここまでくればもう牧場と言ってもいいかもしれない)が賑やかになるのはいい事だ。
だが、数は増えるが人自体はココロ以外に住んでいない。
そのことに寂しさを…
「んー、そろそろ何か作ろうかな」
特に感じてはいなかった。
今朝はトーストと簡単なサラダで済ませたが、最初に買った(苺)ジャムが終わった。
改めて買ってくることもできるが、タブレットから収穫物の確認をしてみれば、果物類がそれなりに溜まっていた。
「んー、せっかくなら種類作っておこうかな。ビンがいくつか欲しいかも」
最初に気づいたときには驚いたが、果実畑も自動菜園のスキルが流用されているらしい。
結構頻繁に実がなるので、その都度取りに行くのは大変だと思っていたところだった。
自動収穫と任意加工は果樹に対して機能しているが、自動採種は不可。
理由は表示されなかったので不明だが、来た当初に見た光景を思い浮かべれば、予想は出来た。
ココロが来るずっと前から、自動採種に近い力が働いていた。それはきっとみどりさんに関わるコト。
みどりさんについて知っているのは、ライ以外の妖精たち。けれど、1度みどりさんの事を聞いてみたけれど、欲しい答えは得られなかったので、気にしないようにした。
そして、任意加工の存在に気がついて約10日。
色々試してみた結果、大体の傾向が分かってきた。
スーパー等で買って、その後調理が必要な物は加工出来る。その場で直ぐに食べれる物は出来ない。
米を買っても食べれないが、オニギリは食べれる、と言った具合いだ。
勿論例外もあるので一概にこれに当てはめれは出来ないが、そう覚えておくだけで充分だろう。
そしてその例外の1つがジャムだ。
今ジャムに出来るものとしては、りんごにもも、みかん、オレンジ、ブルーベリーにラズベリー辺りだろうか。あ、梅も出来そう。
残念な事に、いちごはまだ実っていないので今回は諦める。
ベリー系はソースにしてもいいかもしれない。
と言うことで、妖精たちに子守を任せて、買い物に向かった。
今回はハロルドの家がある街ではなく、別の街へ向う。
南の国は農作物の生産をしているが、街によって傾向が変わってくる。
野菜メインの街、穀物が主流の街、果樹だけ作っている街等。
果樹がメインの街はジャム作りも盛んで、それに伴いジャムの容器等も製造販売されている所もあるので、少し足を伸ばせば行ける、その街があるのでそこに行くことにした。
そして購入してきた物として、少し大きめのビンを7つと、入りきらなかった時用に1番小さいビンを5こ。小さいビンはお世話になってる人にお礼として渡しても良いだろう。
ビン以外に、ジャム専用の砂糖と蜂蜜が売っていたので、今回は砂糖を予備含め購入。
それから、フルーツソースを入れられる容器も売っていたので買っておいた。
買うものはそれで終わりだったので、帰宅。
ビンを煮沸消毒し、ジャム作りに取り掛かった。
「んー、コンロは3つあるから、時間ずらしながらやれば一気に出来るかな」
最初に、下処理に時間のかかるオレンジから。
オレンジのジャムと言えばやっぱりマーマレードだ。
周りの汚れを軽く(薬品未使用)洗い、皮を剥いて節部分を取り除き、水を変えながら何度か鍋で沸騰させる。
皮を水にさらしている間に、実の薄皮を剥いて種を取る。
砂糖の量を決めてから皮を細切り(大変だった)にして、実と半量の砂糖と一緒に鍋に入れてひとまず置いておく。
別の鍋にラズベリーと砂糖、レモン汁を入れて軽く揺らしてそのまま置いておく。
さらに別の鍋にブルーベリーを入れて、砂糖とレモン汁をかけ、弱火にかける。
ブルーベリーを見ながら、オレンジに目を向ければ砂糖が溶けていたので、ネットに入れた薄皮と種も投入しこちらも弱火。
オレンジの実を潰しながら煮込み、ブルーベリーの火を少し強めて灰汁を取る。
ラズベリーも弱火にかけて、順番に混ぜながらマーマレードに砂糖を加えて混ぜ、ラズベリーの灰汁を取って…
「わあー、やっぱりちょっと欲張りすぎた!」
後悔してももう遅い。3つ一緒はやはり高難易度過ぎた。
取り敢えず焦らずに、オレンジの薄皮と種を取り除いて煮詰め、ラズベリーを時々かき混ぜながら、完成したところから瓶に詰めていく。
3つともビンに詰め終えて軽くフタをして、鍋を1つ急いで洗ってから、ビンを入れて沸騰させる。
気を付けながらフタを一瞬開けてすぐしっかり締めて。
これでフタがへこめば成功だ。
「ふぅー…。次からは2つずつにしよ…」
その次は、オヤツの後にしよう。
出掛ける前にスコーンの生地を作っておいたから、あとは成形して焼くだけだ。
ビンに入り切らなかったジャムと一緒に美味しく頂いて、片付けを終えたら、今度はももとりんごのジャム作り。
りんごは皮をむき芯を取ったらいちょう切りにして塩水にさらし、その間にももの皮をむき、種を取ってくし形にして、皮をネットに入れる。
それぞれ鍋に入れて砂糖、レモン汁を入れ、ももには皮を入れ、火にかける。
灰汁を取りながらそれぞれ煮て、こちらもビンに詰めて鍋で沸騰…と繰り返す。
りんごと桃は少し多く出来たので、小さなビンにも1つずつ出来た。
「みかんと梅は…明日かな」
そう決めてキッチン周りをキレイにしている間に、冷めたビンのフタがヘコんでいたので安堵した。
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