異世界でチート能力貰えるそうなので、のんびり牧場生活(+α)でも楽しみます

ユーリ

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第2章  新しい生活

17話

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柵が見えている位置を再び平行に進んでいく。少し進んだところで徐々に内側に湾曲し始めたので、それに沿って。
途中、南側にもあった土がむき出しになった所を見つけた。それも二つ。
1つは、ココロの家とさほど大きさは変わらない。一回り程大きいぐらいだろうか。
もう1つはそれの倍以上の大きさがある。どちらも、用途はやはり分からなかった。

暫く進むと再度川が見えてきた。この向こうは南側だ。マップを確認すると、少し内側に果実畑がある。
こちら側にも橋はなかったので再び作ってもらった。
東側は、南側に比べると少し狭い印象があった。それでも十分な広さではあるが。

南側に戻って少し行くと、林と家、畑が目に入ってくる。マップも白い部分がなくなり、だいぶ見やすくなった。
と言っても、川と謎の建物跡3つ見つけられただけ。他は雑草地となっていた。

「ふ~それなりに時間かかったかな」

空を見上げれば太陽は頂上付近に陣取っている。もう昼にしてもいいぐらいだろう。
クッキーの小屋近くでクッキーから降り、お礼をこめたブラッシングをする。放牧した状態のまま、妖精たちと一緒に家に入った。

出発前に仕掛けておいたご飯はすでに炊きあがっている。
残った冷凍出汁も溶けているので、それを使って卵焼きと、豆腐と乾燥わかめの味噌汁を作る。
ご飯は軽く握ってオニギリに。

「待っててね。これ食べ終えたら一緒にケーキ作ろう」
「うん!」
「ケーキ!たのしみ!」

ケーキってなんだろう、たのしみ!と、ワイワイしている妖精たちを眺めながら、手早く食事を済ませる。
材料と道具を用意し、ケーキ型に形に合わせてカットしたクッキングシートを敷く。
ケーキを作ると言ったが、どのケーキにするかは少し迷った。けれどやはり、一番に思いつき、イチゴも使うとなると最初に思い浮かべるのはイチゴのショートケーキ。定番中の定番だ。

「それじゃあ、ショートケーキ作ろうか」
「「「はーい!」」」

バターを湯煎にかけて、オーブンを予熱してから開始だ。
ボウルに卵と砂糖を入れてハンドミキサーでしっかりと泡立てる。
トロトロになった所で全体を混ぜ合わせ、小麦粉をふるい入れる。
ゴムベラに持ち替えて粉っぽさがなくなるまで混ぜ合わせたら、溶かしバターを広げるように加え、再びゴムベラでさっくりと混ぜ、型に流しいれる。
温まったオーブンに入れ、25分焼く。

焼いている間に、1つやっておかないといけないことがある。
ボウルやゴムベラを洗いながら、何かいい案がないか考える。
この家に食器はある程度揃えてある。が、それはもちろんココロの。
食器を買い集めた時は妖精たちは食事をしないものだと思っていたので、揃えなかった。
昨日クッキーを食べた時は手で持って食べられるので問題はなかったが、ケーキ、それもクリームを塗るタイプのものは手で持って食べるのは難しいだろう。ケーキ屋で買う、シートが付いているならまだ可能だが。

「ココロー?」
「ん?」
「どうしたの?」
「んーちょっと考え事…そうだ。ちょっと外行こう」

焼きあがるまでにまだ時間はかかる。その間に、木を使って食器を作れないかとふと思いついた。
家の隣にある杉は、先ほど橋を作ったのでいくつか減っている。
残された大きめの切り株から、2,3cmの厚さの板を4つほど切り取り、3等分する。
それをお皿の形になるように削る。お皿に関してはココロが使っているのを見て知っていた。

1度、スポンジが焼き上がる時間になったので家に戻り、オーブンから取り出して型から外し、ケーキクーラーへ乗せておく。

今度はフォークと、ついでにスプーンも作る。妖精サイズで小さめに
木なので薄くし過ぎてしまうと壊れてしまう可能性があるので、少し厚くしておく。
最後にお皿にフォーク、スプーンにオリーブオイルを使って塗装すれば、簡易な食器の完成だ。
お皿が12枚出来たので、それに合わせてフォークとスプーンも12本ずつ。
妖精達用に作ったのだが、ココロが使っても問題はないだろう。

「ありがとう。じゃあ、戻って続きやろっか」
「はーい!」


まずはシロップ作り。水と砂糖を煮立たせて冷ましておく。洋酒も入れたいところだが、手元に無いので諦める。
冷ましている間に、イチゴのヘタをとり半分のイチゴをカットしていく。
シロップが冷めたところで、スポンジを横に3等分。それぞれにシロップを塗っていく。

「で、またこれ使うから押さえててねー」
「わかったー!」
「まかせて!」

ホイップクリームを作るのに、水気を切ったハンドミキサーを再び使う。
ボウルを押さえる役目を再び得て、嬉しそうにボウルの縁を掴む。
小さい体で押さえられるのかと最初に思ったが、軽々と木材を運ぶ姿を思い出し、納得した。
出来上がったホイップクリームを少し絞り器に取り分け、残りのクリームをスポンジに塗っていく。
全面に濡れたらカットしたイチゴを並べて再びクリームを塗り、スポンジを乗せる。
同じ工程を繰り返した後、側面にもクリームを塗り、絞り器に残したクリームをバランス良く絞る。
最後に、残しておいたイチゴを絞ったクリームの上にそっと乗せていけば、イチゴのショートケーキの完成だ。

「よし、完成!」
「わー!」
「かんせー!」

キャッキャと嬉しそうな妖精達を眺める。
先に使った道具を片付けてキッチンをリセットする。この方が心置き無くケーキを堪能出来る。
自分用に紅茶を入れている間に、昨日気になったFPの事を思い出す。ケーキを食べる前に確認しておく必要がある。

「今日は大分お手伝いしてもらったからなー。どれぐらいだろ」

畑の水やりはそう多くはなかったが、その後橋を3本建てているし、お皿やフォークも10を超える数作っている。
数はそう多くないが、工程も含めふるとかなり減っているのではないだろうか。

「300切ってる…」

予想は少し外れた。もう少し減っていると思っていた。
ここへ来て1番使ったかもしれない。家造りの時もここまでではなかった。はずだ。
しかし数字的には分かりやすい。300を少し下回っているのだから、回復したらすぐ分かるだろう。

「よーし。じゃあそろそろ食べようか」
「うん!」
「たのしみー!」

ケーキをテーブルに運び、その周りにお皿とフォークを並べる。
ココロを含めた人数分切り分けて、それぞれお皿に乗せていく。
お皿の前に1人ずつ並び、ココロが椅子に座るのを待っている。
最後に紅茶を運んだら、準備は完了だ。

「じゃあ、いただきます」
「「「いただきまーす!」」」

フォークで小さくしたケーキを一斉に口に運んだ。
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