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第1章 新しい世界で
19話
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外にいるには遅い時間とはいえ、寝るのにはまだ早い。
だとすれば、やる事は1つ。買ってきたものの整理整頓は最優先事項だ。タブレットに収納(?)されているが、そのままだと使えない。主に電化製品。
「えーっと確か…」
まず最初に出したのはロボット。なんて名前かは覚えていないが、電化製品の設置などをしてくれる便利アイテムだ。
しかし出した所で動く気配が無い。スイッチがあるのかと全身を見てみると、どうやら充電が必要らしい事がわかった。
「っあー、電気か!って、当然か」
光の妖精のお陰で、外が暗くても中はどこも明るいので、電気の事はすっかり忘れていた。コーダイさんの店では、ちゃんと照明関係の物も色々買ってきたというのに…
と、ここまで考えて、そう言えば電気の妖精は居ないのかと思い至る。
まだ力を判明していないのは確か白とピンクと紫の妖精だ。もしくは光の妖精がそれに当たるかもしれない。
「ねぇ、みんなの中で、電気を扱える子って、いる?」
「でんき?」
「それなぁに?」
知らない、分からないと最初に答えた子に続いて返答がある。
首を傾げるか振るか、全員がノーと答える。この中には居ないようだ。そもそも電気を知らないという事は、みどりさんがいた頃に電気は無かったのか普及してなくて使っていなかったのだろう
「じゃあ雷は知ってる?天気悪いときに空がゴロゴロ『ピカーッ』て、え?」
雷なら自然現象だから知っているだろうと話している最中に、外で雷が鳴った。噂をすれば影が差すとはまさにこの事。…人じゃないけど。
しかし薄暗くなっているとはいえ、空に雲は出ていない。そもそも音だけで光は無かったように思う。
「い、今の…何?」
「うまれたー」
「なかまー!」
「へ?生まれた?」
「むかえにいこう!」
妖精達はこぞって外へ出ていく。
慌てて追いかけて外へ行くと、フワフワと見知らぬ妖精が浮いていた。黒い妖精だ。目を瞑っている。
黒と言うと、イメージは悪いか強いのどちらかだ。ココロは強いイメージを持っている。兄と見ていた某特撮ヒーローの影響で。
それに妖精達も、怖がるどころか新しい妖精を喜んでいる。
「生まれたって、この子?」
「そうだよー」
「な、なんで?」
「ココロがほしいって、おもったからー」
「そ、それだけで!?」
確かに電気ないと不便たなーとは思ったけど、まさかそれだけで…。
という事はもしかして
「この子、雷の妖精!?」
そう結論付けたら、未だ目を瞑ったままだった妖精が目を開ける。
ここはどこだと言わんばかりに辺りをキョロキョロと見回している。
バチリと目が合った。ワクワクしながら、その妖精が問いかけてくる
「ココロ?」
「そ、そうだよ」
「やったー!ココロだー!」
バチバチと、周りに電気を放出しながら飛び回る。
キャッキャとはしゃいでいる様子から、喜んでいるのが分かるが、感電しないとも限らないので、放電は止めてもらった。
「と言う事で、早速お願いします!」
「わかったー!」
突如誕生した雷の妖精に、例のロボットを差し出す。
快く了承した妖精は、充電をして欲しいというココロの意図をくんで、ロボットのアダプターを挿す場所を見つけ、そっと触れる。
パチパチッと、静電気のように一瞬火花が散る。それから直ぐに、ロボットが起動した。
「は、はや…っ!」
胴体の中央部分に充電メーターが表示されたと思ったら、一瞬赤く点滅してすぐ、緑へ色を変える。満タンになったようだ。
小さくモーター音をたてながら、ロボットが立ち上がった。
『セッチorシュウリ』
スクリーンにその2択が表示される。迷わず設置を選択して、家電を取り出す。
リビングに沢山の家電が並ぶ様は壮観だった。
「あ、ここで出さないほうが、良かったかな。運ぶのどうしよう」
小型のものなら運べるが、冷蔵庫等大型の物は一人では運べない。
そんな事を思っていると、冷蔵庫がヒョイと浮き上がった。
「え!?」
そのまま見るとまるでフワフワと浮かんでいるのだが、下を見てみるとロボットが持ち上げているのが見えた。
「す、スゴイ…」
けれど持ち上がっただけで、その場から動く気配がない。
どこへ運べばいいか指示を待っているのに気づくのに、時間はかからなかった。
昨日の時点で、どれをどこに置くのかは決めていたので、まずはそれぞれの場所へ置いていく。
冷蔵庫に、システムキッチン(食器洗い機とオーブン、レンジが組み込まれた優れもの)、ドラム型洗濯機に、エアコン。お風呂周辺に手洗い関係等。
形が合わなければ家電に合わせて調整していく。
置き終わったと思えば、ロボットは何かの工具を取り出した。
それで何をするのかと思えば、壁に穴を開け始める。どうやらコンセントを設置しているようだ。
その間に、ココロ一人で運べる小型の家電をそれぞれの場所へ運んでいく。
大量に買ってきた大小様々な家電。何が一番楽だったかと言うと、箱や梱包材の類が無かった事だ。アレらを片付けるだけで時間は奪われていくので、有り難いことだ。
時間はかかったが、家電の設置(コンセント造設含む)や、買って来たものの片付けも全て終えた。
風の力で浮かしてくれたり、高い位置に仕舞いたい時には踏み台を用意してくれたり、妖精様々だ。
けれどここで、今まで目をつぶっていた事へ目を向けなくてはならなくなった。。先延ばしにするわけにもいかない。
だとすれば、やる事は1つ。買ってきたものの整理整頓は最優先事項だ。タブレットに収納(?)されているが、そのままだと使えない。主に電化製品。
「えーっと確か…」
まず最初に出したのはロボット。なんて名前かは覚えていないが、電化製品の設置などをしてくれる便利アイテムだ。
しかし出した所で動く気配が無い。スイッチがあるのかと全身を見てみると、どうやら充電が必要らしい事がわかった。
「っあー、電気か!って、当然か」
光の妖精のお陰で、外が暗くても中はどこも明るいので、電気の事はすっかり忘れていた。コーダイさんの店では、ちゃんと照明関係の物も色々買ってきたというのに…
と、ここまで考えて、そう言えば電気の妖精は居ないのかと思い至る。
まだ力を判明していないのは確か白とピンクと紫の妖精だ。もしくは光の妖精がそれに当たるかもしれない。
「ねぇ、みんなの中で、電気を扱える子って、いる?」
「でんき?」
「それなぁに?」
知らない、分からないと最初に答えた子に続いて返答がある。
首を傾げるか振るか、全員がノーと答える。この中には居ないようだ。そもそも電気を知らないという事は、みどりさんがいた頃に電気は無かったのか普及してなくて使っていなかったのだろう
「じゃあ雷は知ってる?天気悪いときに空がゴロゴロ『ピカーッ』て、え?」
雷なら自然現象だから知っているだろうと話している最中に、外で雷が鳴った。噂をすれば影が差すとはまさにこの事。…人じゃないけど。
しかし薄暗くなっているとはいえ、空に雲は出ていない。そもそも音だけで光は無かったように思う。
「い、今の…何?」
「うまれたー」
「なかまー!」
「へ?生まれた?」
「むかえにいこう!」
妖精達はこぞって外へ出ていく。
慌てて追いかけて外へ行くと、フワフワと見知らぬ妖精が浮いていた。黒い妖精だ。目を瞑っている。
黒と言うと、イメージは悪いか強いのどちらかだ。ココロは強いイメージを持っている。兄と見ていた某特撮ヒーローの影響で。
それに妖精達も、怖がるどころか新しい妖精を喜んでいる。
「生まれたって、この子?」
「そうだよー」
「な、なんで?」
「ココロがほしいって、おもったからー」
「そ、それだけで!?」
確かに電気ないと不便たなーとは思ったけど、まさかそれだけで…。
という事はもしかして
「この子、雷の妖精!?」
そう結論付けたら、未だ目を瞑ったままだった妖精が目を開ける。
ここはどこだと言わんばかりに辺りをキョロキョロと見回している。
バチリと目が合った。ワクワクしながら、その妖精が問いかけてくる
「ココロ?」
「そ、そうだよ」
「やったー!ココロだー!」
バチバチと、周りに電気を放出しながら飛び回る。
キャッキャとはしゃいでいる様子から、喜んでいるのが分かるが、感電しないとも限らないので、放電は止めてもらった。
「と言う事で、早速お願いします!」
「わかったー!」
突如誕生した雷の妖精に、例のロボットを差し出す。
快く了承した妖精は、充電をして欲しいというココロの意図をくんで、ロボットのアダプターを挿す場所を見つけ、そっと触れる。
パチパチッと、静電気のように一瞬火花が散る。それから直ぐに、ロボットが起動した。
「は、はや…っ!」
胴体の中央部分に充電メーターが表示されたと思ったら、一瞬赤く点滅してすぐ、緑へ色を変える。満タンになったようだ。
小さくモーター音をたてながら、ロボットが立ち上がった。
『セッチorシュウリ』
スクリーンにその2択が表示される。迷わず設置を選択して、家電を取り出す。
リビングに沢山の家電が並ぶ様は壮観だった。
「あ、ここで出さないほうが、良かったかな。運ぶのどうしよう」
小型のものなら運べるが、冷蔵庫等大型の物は一人では運べない。
そんな事を思っていると、冷蔵庫がヒョイと浮き上がった。
「え!?」
そのまま見るとまるでフワフワと浮かんでいるのだが、下を見てみるとロボットが持ち上げているのが見えた。
「す、スゴイ…」
けれど持ち上がっただけで、その場から動く気配がない。
どこへ運べばいいか指示を待っているのに気づくのに、時間はかからなかった。
昨日の時点で、どれをどこに置くのかは決めていたので、まずはそれぞれの場所へ置いていく。
冷蔵庫に、システムキッチン(食器洗い機とオーブン、レンジが組み込まれた優れもの)、ドラム型洗濯機に、エアコン。お風呂周辺に手洗い関係等。
形が合わなければ家電に合わせて調整していく。
置き終わったと思えば、ロボットは何かの工具を取り出した。
それで何をするのかと思えば、壁に穴を開け始める。どうやらコンセントを設置しているようだ。
その間に、ココロ一人で運べる小型の家電をそれぞれの場所へ運んでいく。
大量に買ってきた大小様々な家電。何が一番楽だったかと言うと、箱や梱包材の類が無かった事だ。アレらを片付けるだけで時間は奪われていくので、有り難いことだ。
時間はかかったが、家電の設置(コンセント造設含む)や、買って来たものの片付けも全て終えた。
風の力で浮かしてくれたり、高い位置に仕舞いたい時には踏み台を用意してくれたり、妖精様々だ。
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