異世界でチート能力貰えるそうなので、のんびり牧場生活(+α)でも楽しみます

ユーリ

文字の大きさ
上 下
3 / 85
第1章  新しい世界で

2話

しおりを挟む
鏡の中の己から目が離せずに、一体何がどうなったのかと思考をめぐらせる。
会社帰りに交通事故で死んでしまい、生命を司るという女神と話し、宇宙のような空間で光に引っ張られてここへ来た。いや、この世界に、かな?そして彼…ハロルドに連れられてこのカフェのような場所へやってきた。
どこでどうしてこうなったのか、皆目検討が付かない。
…ハロルドに出会うまでが信じられない体験ではあるが、まさか、まさか…

「ネ、ネコミミがある!?うそ、なんで!?」

この世界にたどり着いて初めて見た鏡に映るのは、生まれて死ぬまで付き合ってきた顔に間違いない。
今更だが慌てて下を見る。
最後に着ていたのは会社帰りでもあったのでスーツだったはずだが、今はシンプルなブラウスにカーディガンを羽織り、あまり履いたことのないようなロングスカートを履いている。靴はローカットブーツだろうか。
総合的にも、スーツより歩きやすかった。

いや今は服装より頭に生えてる?乗ってる?どちらか分からないネコミミだろう。
巡らせていた思考をネコミミへ戻す。
まず初めに思いつくのは、誰かにイタズラでネコミミ付きのカチューシャでもつけられた事だ。
しかし誰が…。ハロルド…には帽子を被せられたが、カチューシャをつけられるタイミングは無かった。はずだ

とりあえず外そうとネコミミに手を伸ばす。
フサフサとしたそれはまるで本物のようにピクリと動く。
ビクリと手が止まる。恐る恐る触れると、僅かに体温を感じるのに加えて、まるで自分の耳を触っているような感触に、結論へたどり着く。

「ほん、もの…?」

自分の現状に気がついてから結論へたどり着くまで、さほど時間はかからなかったはずだ。
ハロルドはまだクツクツと笑っている。

「そう。それは君、ココロの耳だよ。もちろん、俺のこれも同じ」

ハロルドのウサミミは雪うさぎのように真っ白。フワフワとしていそうだ
そしてココロのネコミミは茶色がまじった黒。こちらは触ればフサフサとしている

「でも驚いたな」
「何に?」
「今まで見てきた子達は、もっと取り乱してたけど、ココロは冷静だね」
「そう?」

自分では分からない。あまり慌てた事が無いから実感が無いが、これでもかなり混乱していたと思う。

「うん。体は動かさずに、顔だけキョロキョロ動かしながら百面相してたぐらいだよ」
「う…」

それはつまり、表情に出ていないだけと言う事だろうか。
思い当たる節はあるどころか、あまり思い出したくない事だ。

「まぁ、街でも見たでしょ。耳持ってる人」
「あ、そー言えば…」

路地裏から顔を出した時のことを思い出す
あまり多くはなかったが、チラホラと動物耳を付けてる人を見かけていた。

「あの中の何人かは、ココロと同じだよ」
「へぇー…えぇ!?」

あまりにもサラリと言うので、聞き流すところだった。
目の前にいるハロルドは、なんでもない事のように笑顔を浮かべている。

「えっ、それって一体、どういう事!?」
「そのままだよ。経緯は違うだろうけど、生まれ育った世界で突然命を終えてしまった人が、同じようにこの世界へ送られて来るんだ」

ハロルドの話によると、世界は沢山存在する。
世界によって雰囲気は違ってくるらしい。
のんびりした世界
殺伐とした世界
規律だらけの世界等、いろんな世界があるという

共通するのは、ココロの出会ったような(女)神が存在し、望んだ雰囲気の異世界へ送り出してくれる事。
世界が意志を持っていて、送られてきた魂を受け入れられるか見定める事。
そして、地球が元となっている事。

一番最初に誕生したのが地球だからだと言う
地球にはのんびりした国や殺伐とした国、規律だらけの国等、色々ある。
あとから生まれた世界は、それぞれに気に入った国の雰囲気を模写して世界を形作ったそうだ。

「で、送られてきた魂はこの世界で再生する際、ランダムに動物耳…というより、動物の魂を移植される」
「移植?」
「そう。命を落とした時に魂を破損してしまっているから、それを補っているんだ。」

ちなみに他の世界ではどうしてるかまでは不明だそうだ。
そこで1つの疑問。

「なんで動物なの?」
「ん?世界の趣味。この世界、動物大好きだから、同じタイミングで命を落とした動物を拾い上げてるんだ」
「だからネコやウサギなのね」

それでも何故耳が生える必要があるのか。
動物の魂を一部宿している状態のため、その存在を消してしまわないためだとか。
耳である必要は、生活に支障をきたさないから。
確かに手足が動物の物になっていたり、シッポが生えていたりすると、色々大変そうではあるが。

「あ、ちなみに俺はこの世界の生れね。これ、遺伝するから」
「へぇー」

もう何を聞いても驚かない自信がある。
何やら、色んな事情にも詳しそうだ。試しに、なんでか尋ねてみた。

「あ、言ってなかったっけ。俺、導き手だから」
「ハァ!?」

言われたでしょ?世界に。という言葉は、ココロの叫び声にかき消された。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

転生したアラサーオタク女子はチートなPCと通販で異世界でもオタ活します!

ねこ専
ファンタジー
【序盤は説明が多いので進みがゆっくりです】 ※プロローグを読むのがめんどくさい人は飛ばしてもらっても大丈夫です。 テンプレ展開でチートをもらって異世界に転生したアラサーオタクOLのリリー。 現代日本と全然違う環境の異世界だからオタ活なんて出来ないと思いきや、神様にもらったチートな「異世界PC」のおかげでオタ活し放題! 日本の商品は通販で買えるし、インターネットでアニメも漫画も見られる…! 彼女は異世界で金髪青目の美少女に生まれ変わり、最高なオタ活を満喫するのであった。 そんなリリーの布教?のかいあって、異世界には日本の商品とオタク文化が広まっていくとかいかないとか…。 ※初投稿なので優しい目で見て下さい。 ※序盤は説明多めなのでオタ活は後からです。 ※誤字脱字の報告大歓迎です。 まったり更新していけたらと思います!

異世界キャンパー~無敵テントで気ままなキャンプ飯スローライフ?

夢・風魔
ファンタジー
仕事の疲れを癒すためにソロキャンを始めた神楽拓海。 気づけばキャンプグッズ一式と一緒に、見知らぬ森の中へ。 落ち着くためにキャンプ飯を作っていると、そこへ四人の老人が現れた。 彼らはこの世界の神。 キャンプ飯と、見知らぬ老人にも親切にするタクミを気に入った神々は、彼に加護を授ける。 ここに──伝説のドラゴンをもぶん殴れるテントを手に、伝説のドラゴンの牙すら通さない最強の肉体を得たキャンパーが誕生する。 「せっかく異世界に来たんなら、仕事のことも忘れて世界中をキャンプしまくろう!」

異世界転移ボーナス『EXPが1になる』で楽々レベルアップ!~フィールドダンジョン生成スキルで冒険もスローライフも謳歌しようと思います~

夢・風魔
ファンタジー
大学へと登校中に事故に巻き込まれて溺死したタクミは輪廻転生を司る神より「EXPが1になる」という、ハズレボーナスを貰って異世界に転移した。 が、このボーナス。実は「獲得経験値が1になる」のと同時に、「次のLVupに必要な経験値も1になる」という代物だった。 それを知ったタクミは激弱モンスターでレベルを上げ、あっさりダンジョンを突破。地上に出たが、そこは小さな小さな小島だった。 漂流していた美少女魔族のルーシェを救出し、彼女を連れてダンジョン攻略に乗り出す。そしてボスモンスターを倒して得たのは「フィールドダンジョン生成」スキルだった。 生成ダンジョンでスローライフ。既存ダンジョンで異世界冒険。 タクミが第二の人生を謳歌する、そんな物語。 *カクヨム先行公開

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?

歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。 それから数十年が経ち、気づけば38歳。 のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。 しかしーー 「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」 突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。 これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。 ※書籍化のため更新をストップします。

異世界転生ファミリー

くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?! 辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。 アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。 アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。 長男のナイトはクールで賢い美少年。 ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。 何の不思議もない家族と思われたが…… 彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語

Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。 チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。 その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。 さぁ、どん底から這い上がろうか そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。 少年は英雄への道を歩き始めるのだった。 ※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

処理中です...