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しおりを挟む丈士とすっかり意気投合し、気分が良くなった七瀬は、マスターに向かって大声を上げた。
「ねぇ、マスター! 丈士さんが、家に来ないか、って誘ってくるんだけど、いいかなぁ!」
「そ、そんな大声で言うなよ」
丈士は慌てたが、マスターは笑顔だ。
「好きになさい。七瀬さんの思うままに、生きなさい」
「は~い!」
二人は荷物を持つと、席を立った。
丈士は会計を済ませる時に、マスターに深く頭を下げた。
「ありがとうございます」
「二度目は、ないですからね。七瀬を、よろしくお願いします」
狭い階段を上り、二人は地下から歩道に出た。
「あぁ、美味しかった!」
「大丈夫? 酔い過ぎてない?」
平気、と七瀬は丈士の腕に手を絡ませた。
「丈士さん、優しいね~!」
「七瀬にそう言われると、嬉しいな」
タクシーを拾い、二人はかつて共に住んでいたマンションへ向かった。
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