49 / 97
4
しおりを挟む
「白洲さまのご趣味は、何でしょう?」
そう尋ねてきたのは、精悍な顔立ちの青年だった。
(わ、カッコいい人だ)
だが、その眼差しは鋭く切れている。
挑戦的な光を、たたえている。
少し意地悪そうに見えたのは、気のせいだろうか。
(えっと……)
沙穂は、この屋敷に来て真輝と一緒に遊んだ体験を振り返った。
乗馬に野点、ゴルフに美術鑑賞……。
それらを述べると、対面にいた中年男性が驚いて見せた。
「多趣味でいらっしゃる。中でも特にお好きなものは?」
「そうですね。乗馬です」
すると、先ほどの青年が重ねて問うてきた。
「お気に入りの馬の名前を訊いても?」
「ガイア号と言います。とっても大人しいんですよ」
青年は、さらに畳みかけてきた。
「お茶もなさるんですね。お持ちの茶碗は?」
「はい。『好日』です」鬼萩茶碗の」
馬は、一度乗ったきりだが。
茶碗は、一回使ったきりだが。
ただ沙穂は、何か尋ねられた時は、このように返答するようにと、真輝から言われていた。
そう尋ねてきたのは、精悍な顔立ちの青年だった。
(わ、カッコいい人だ)
だが、その眼差しは鋭く切れている。
挑戦的な光を、たたえている。
少し意地悪そうに見えたのは、気のせいだろうか。
(えっと……)
沙穂は、この屋敷に来て真輝と一緒に遊んだ体験を振り返った。
乗馬に野点、ゴルフに美術鑑賞……。
それらを述べると、対面にいた中年男性が驚いて見せた。
「多趣味でいらっしゃる。中でも特にお好きなものは?」
「そうですね。乗馬です」
すると、先ほどの青年が重ねて問うてきた。
「お気に入りの馬の名前を訊いても?」
「ガイア号と言います。とっても大人しいんですよ」
青年は、さらに畳みかけてきた。
「お茶もなさるんですね。お持ちの茶碗は?」
「はい。『好日』です」鬼萩茶碗の」
馬は、一度乗ったきりだが。
茶碗は、一回使ったきりだが。
ただ沙穂は、何か尋ねられた時は、このように返答するようにと、真輝から言われていた。
10
お気に入りに追加
80
あなたにおすすめの小説
スノードロップに触れられない
ヘタノヨコヅキ@商業名:夢臣都芽照
BL
*表紙*
題字&イラスト:niia 様
※ 表紙の持ち出しはご遠慮ください
(拡大版は1ページ目に挿入させていただいております!)
アルファだから評価され、アルファだから期待される世界。
先天性のアルファとして生まれた松葉瀬陸真(まつばせ りくま)は、根っからのアルファ嫌いだった。
そんな陸真の怒りを鎮めるのは、いつだって自分よりも可哀想な存在……オメガという人種だ。
しかし、その考えはある日突然……一変した。
『四月から入社しました、矢車菊臣(やぐるま きくおみ)です。一応……先に言っておきますけど、ボクはオメガ性でぇす。……あっ。だからって、襲ったりしないでくださいねぇ?』
自分よりも楽観的に生き、オメガであることをまるで長所のように語る後輩……菊臣との出会い。
『職場のセンパイとして、人生のセンパイとして。後輩オメガに、松葉瀬センパイが知ってる悪いこと……全部、教えてください』
挑発的に笑う菊臣との出会いが、陸真の人生を変えていく。
周りからの身勝手な評価にうんざりし、ひねくれてしまった青年アルファが、自分より弱い存在である筈の後輩オメガによって変わっていくお話です。
可哀想なのはオメガだけじゃないのかもしれない。そんな、他のオメガバース作品とは少し違うかもしれないお話です。
自分勝手で俺様なアルファ嫌いの先輩アルファ×飄々としているあざと可愛い毒舌後輩オメガ でございます!!
※ アダルト表現のあるページにはタイトルの後ろに * と表記しておりますので、読む時はお気を付けください!!
※ この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

アルファの家系
リリーブルー
BL
入学式の朝、初めての発情期を迎えてしまったオメガの美少年。オメガバース。
大洗竹春 アルファ 大学教授 大洗家当主
大洗潤 オメガ 高校生 竹春の甥 主人公
大洗譲 アルファ 大学生 竹春の長男
夏目隼人 オメガ 医師 譲の恋人
大洗竹秋 オメガ 故人 潤の父 竹春の兄
関連作品『潤 閉ざされた楽園』リリーブルー
フジョッシーに投稿したものを推敲し二千文字程加筆しました。

君に噛み跡を遺したい。
卵丸
BL
真面目なαの氷室 絢斗はΩなのに営業部のエースである箕輪 要が気になっていた。理由は彼の首の項には噛み跡が有るから番はいると思っていたがある日、残業していた要に絢斗は噛み跡の事を聞くと要は悲しい表情で知らないと答えて・・・・・。
心配性の真面目なαと人に頼らない実はシンママのΩのオフィスラブストーリー。
零れる
午後野つばな
BL
やさしく触れられて、泣きたくなったーー
あらすじ
十代の頃に両親を事故で亡くしたアオは、たったひとりで弟を育てていた。そんなある日、アオの前にひとりの男が現れてーー。
オメガに生まれたことを憎むアオと、“運命のつがい”の存在自体を否定するシオン。互いの存在を否定しながらも、惹かれ合うふたりは……。 運命とは、つがいとは何なのか。
★リバ描写があります。苦手なかたはご注意ください。
★オメガバースです。
★思わずハッと息を呑んでしまうほど美しいイラストはshivaさん(@kiringo69)に描いていただきました。

この腕が届く距離・後日談
あさじなぎ@小説&漫画配信
BL
この腕が届く距離https://www.alphapolis.co.jp/novel/357150587/762676447 の後日談
アルファである夏目飛衣に囲い込まれたベータの俺は、飛衣が18歳になればこの関係はおわるだろうと考えていた
だから、愛を囁かないでほしい。俺の決意が揺らぐから。
愛したいけど愛しちゃいけない。しょせんアルファとベータが結ばれるなんてないんだから
※ピクシブにものせています
※そんなに続かない


フェロモンで誘いたいかった
やなぎ怜
BL
学校でしつこい嫌がらせをしてきていたαに追われ、階段から落ちたΩの臣(おみ)。その一件で嫌がらせは明るみに出たし、学校は夏休みに入ったので好奇の目でも見られない。しかし臣の家で昔から同居しているひとつ下のαである大河(たいが)は、気づかなかったことに責任を感じている様子。利き手を骨折してしまった臣の世話を健気に焼く大河を見て、臣はもどかしく思う。互いに親愛以上の感情を抱いている感触はあるが、その関係は停滞している。いっそ発情期がきてしまえば、このもどかしい関係も変わるのだろうか――? そう思う臣だったが……。
※オメガバース。未成年同士の性的表現あり。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる