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しおりを挟む二次選考は、面接だ。
青原監督を含めた数名の人間がずらりと並んでいる中に、秀実はたった一人で対面していた。
「まずは、水流 秀実くん。君の映画に関する思い入れを、聞かせてくれるかな?」
その中の一人が、こう切り出した。
秀実が口を開きかけたその時、青原がぼそりと言った。
「そんなことは、どうでもいい」
「え? でも……。青原先生?」
青原は鋭いまなざしで秀実を見ながら、指を組んだ。
「君は、撮影現場をどう思う?」
秀実は戸惑って、先に質問した男性の方を見たが、彼はうなずいている。
これは、青原監督の質問に答えろ、ということだろう。
そこで秀実は、素直なところを口にした。
「撮影の現場は、大好きです。楽しいですし、撮影スタッフの皆さんと僕たち俳優とで作る、熱気が心地いいんです」
「そうか。君はAV俳優だが、そのことに負い目を感じたりするか?」
「いいえ。AVでも、一つの作品を、皆で力を合わせて作り上げることに違いはありませんから」
「君がオーディションで受けている役は、娼夫だ。複数の人間と濡れ場を撮ることになるが、心の準備はできているか?」
「大丈夫です」
表情を変えずに、秀実の返事を聞いていた青原だったが、最後に妙なテストをやった。
「椅子から立って、その場で一回廻ってみてくれ」
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