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1 選考試験開始!
しおりを挟む「一次選考通過おめでとう、秀美くん!」
AV撮影スタッフの組員たちに、秀実は胴上げされていた。
「わぁあ! あ、ありがとうございます!」
そっと床に下ろしてもらい、秀実はようやく笑顔を見せた。
「これも、皆さんのおかげです」
「いや、秀実くんの演技力の賜物だよ」
スタッフたちはそう言ってくれるが、彼らが自分をしっかり撮ってくれたから、きちんと売り出してくれたからだと、秀実は思っていた。
「本当に、ありがとうございます」
頭を下げる秀実に、士郎は苦笑いだ。
「おいおい。まだ書類選考を通過しただけだぞ。大げさだな」
「そうか。まだ二次、三次が残ってるんだ。秀実くん、気を引き締めて行こう!」
「はい!」
「じゃあ、撮影に行こうか」
何? と士郎は監督に声をかけた。
「撮影? 今から秀実で、AV撮るのか?」
そうですよ、と監督は涼しい顔だ。
「稼げるときに稼いでおかなきゃ。秀実くんほどの逸材は、そうそう現れませんからね!」
笑いと共に、スタッフは準備を始めている。
その様子を見ながら、士郎は顎に手を当て考え込んだ。
(確かに、秀実が青原監督の下で成功を納めたら、もうAVどころではなくなる、か)
その後は表舞台に出て、押せ押せの人気俳優になるに違いない。
そうなると。
(近藤組の中にいるのは、彼のためにならないな……)
「近藤さん! どうします? 秀実くんと、絡みますか!?」
監督の声に、士郎は我に返った。
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