両片思いのI LOVE YOU

大波小波

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「まず、俺は明日から学校が始まる。それは、解ってるよね」
「うん。でも、結構ヒマだ、って」
 4年生になる寿士は、週に数回ゼミに通って卒論の準備をするだけだ。
 就活もする必要が無いので、空き時間がたっぷりできる。
「だから、瑠衣と一緒に存分に遊べる、と思ってたんだけど……」

 ゼミのない日は実家に帰って、秘書から経営の基礎を学ぶこと。
 その間瑠衣は、作法やマナーを、楠家の専属講師から学ぶこと。

「これが母さんからの、結婚の条件らしい」
「うわぁ……」
 寿士と一緒に、いろんな所に旅行ができる、と浮かれていた気分が、一気に萎んだ瑠衣だ。
「でも、仕方ないよね。何たって、大富豪の家に入るんだもん」
 僕、やっていけるかな。
 不安げな瑠衣を、寿士は励ました。
「大丈夫。瑠衣なら絶対できる、って」
 それから、と寿士はさらに母からの伝言を瑠衣に伝えた。
「俺を、瑠衣のご両親に紹介してくれないか」
 瑠衣の両親に、母・静子と共に二人で報告をする。
 これも、彼女が提示した条件だった。

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