両片思いのI LOVE YOU

大波小波

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『俺の名前は、楠 寿士。恋人と別れて、寂しいんだ。心の隙間を、瑠衣に埋めて欲しいんだよ』
 
『クリスマス・イヴに結ばれる、なんて運命以外のなにものでもないだろ? 瑠衣は俺の愛人になる、運命だったんだ』

 あんな恥ずかしいセリフ、本心ではなかったとはいえ、よく言えたもんだ、と苦笑いした。
 今は、違う。
「瑠衣の、その優しい心、俺も好きだよ。俺がそのお爺さんだとしたら、やっぱりお礼を弾んだと思う」
「寿士さん」
「瑠衣は、取柄のないオメガなんかじゃない。その心は、何ものにも代えがたい特性だ」
 今では、本心から素直に言える。
「俺は、そんな瑠衣が大好きだ」
 短いけれど、心のこもった言葉だ。
 寿士は、瑠衣を抱きしめた。
 瑠衣も、寿士にしがみついた。
 温かな心が、二人の間に通っていた。

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