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しおりを挟む「仲人さんから、連絡があったよ。どうして、僕との縁談を断ったの? 付き合ってるでしょ、僕たち!」
「付き合って、た」
「え?」
「もう、過去形。俺、陽詩の。いや、宮迫くんの恋人じゃないから」
「……何、言ってるの?」
はは、は、と陽詩は笑う。
顔をひきつらせ、涙をこぼしながら。
「嘘、でしょ。僕を驚かせようと思って、それで」
「ああもう、ウザいんだよ。いいから、そこどけよ。瑠衣が降りられないだろ」
そこでようやく、陽詩は瑠衣を見た。
涙でぐしゃぐしゃの顔で、物凄い形相で睨みつけた。
「瑠衣、お前。お前のせいだな! お前が寿士さんのこと、たぶらかしてぇえ!」
がッ、と瑠衣の首に陽詩の両手がかけられた。
渾身の力で締められ、瑠衣はもがいた。
「や、やめッ。苦し、ッ!」
「何してんだ、お前!」
寿士が身を乗り出し、陽詩の手を力づくで解いた。
その指に、プラチナのリングを見つけて陽詩は怯んだ。
すぐに瑠衣の手に、目をやった。
そこにも、お揃いのリングが輝いている。
「そんな……」
糸の切れた操り人形のように、陽詩はぐったりとシートにもたれかかった。
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