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しおりを挟む「千尋には内緒にしておこう」
そう考えながら帰宅した弦を出迎えたのは、目を輝かせた後輩の姿だった。
「先輩、執事になるんですね!? すごいな。僕、絶対に3年6組に行きますから!」
「なぜ、それを!?」
坂井さんが教えてくれた、と答える千尋だ。
弦は、坂井に口止めしておかなかったことを、海より深く後悔した。
1年生は夏休み前に『白南風祭』で3年生をもてなしているので、今回の文化祭は観覧を許されている。
文化系のクラブに所属している生徒は忙しいが、千尋は帰宅部なのでゆっくりと楽しむことができるのだ。
「でも、先輩。執事なんて、できますか? 難しくないですか?」
「執事か。自信がないな」
「特訓しましょう。僕でよければ、協力します」
「確かに客商売は、しくじるわけにはいかんな」
薄々、自分でも不安に感じていた。
営利目的なら、そんなことはせん、と突っぱねることができる。
だが、チャリティー基金収集のため、という大義名分がある以上、協力しないわけにはいかない。
「やってみるか」
「はい!」
そして翌日から、弦の執事特訓が始まった。
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