弦先輩と千尋の日常は晴れ時々くもり所によりドキドキするでしょう！ ～硬派先輩×可愛い後輩 幼馴染だった二人は恋に落ちていく……のか？～

8

　湯の入った洗面器と清潔なタオル数枚を寝室に準備し、自分は出て行こうとする弦を、千尋は引き留めた。
「先輩が僕の体、拭いてくれませんか？」
「自分で、できるだろう。子どもじゃあるまいし」
　だってぇ、と千尋は唇を尖らせた。
「今日は僕の誕生日ですよ？　せめて、僕のお願いきいてください」
「仕方のない奴だ」

　遊園地が、パーになったのだ。
　これくらいなら、と弦はタオルを湯にくぐらせ固く絞ると、千尋の体を拭き始めた。
　首に肩、脇に胸、そして、腹。
「ね、先輩。足も！」
　おとなしく体を拭かれていた千尋が、パジャマの裾をまくる。

「しッ、仕方のない奴だ」
　何やらドキドキしながら、弦は千尋の下肢を丁寧に拭いた。
（いかん。何やら、ムラムラしてきた！）
　千尋の体を拭くより、理性を繋ぎ止めることの方が大変だ。
　そんな弦に、千尋が囁いてきた。