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1話 誕生日プレゼントに先輩が欲しいな
しおりを挟むもう9月も終わりだ、と千尋は壁に掛けられたカレンダーを、改めて眺めた。
長かったようで、短かった9月。
男子寮の同室で暮らす、先輩の海江田 弦。
彼のために一生懸命キャラ弁を作ったり、体育祭で同じ白組として競技したりした、9月。
「楽しかったな」
10月には、文化祭を控えている。
今度は、どんな出来事が。
僕を、弦先輩を待っているんだろう。
そんな明るいワクワクを胸に、千尋は10月を思った。
にっこり笑って、赤ペンのキャップを開ける。
10月の暦に、不燃ごみや資源ごみを出す日を、書いておかねばならない。
千尋の、月末の習慣の一つだった。
9月の暦をめくり、次の10月を見たとたん、ドン! と擬音が聞こえた気がした。
10月9日に、黒々と極太マジックペンで、丸印が付けられているのだ。
「10月9日って……あ!」
僕の誕生日だ、と千尋は思い出した。
自分で書いた覚えはない。
「と、言うことは。これは先輩が!?」
千尋の胸は、いっぱいに満たされた。
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