弦先輩と千尋の日常は晴れ時々くもり所によりドキドキするでしょう! ~硬派先輩×可愛い後輩 幼馴染だった二人は恋に落ちていく……のか?~

大波小波

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 互いの健闘をたたえ合い友愛を育むため、紅白入り混じってのフォークダンスで体育祭は幕を閉じる。
 観戦席からの飛び入りも歓迎で、高齢者から幼児まで和やかに踊る。
 二人組になってのフォークダンスは、まさにレトロな雰囲気だったが、世代は変われどときめきは同じだ。
 次の相手は誰か、という点に生徒の関心は集中していた。
 甘酸っぱい思い出は『1組の吉田さんと踊った』『バスケ部の佐々木くんと手を繋いだ』などと、心の中に刻まれた。

 弦もまた、ペアになる女子から『海江田くんと踊った!』と思われていたのだが、本人はどこ吹く風で、心はすでに三人先の相手に飛んでいた。
(千尋! なぜお前が、女子側のサークルにいる!?)
 人数の都合で、調整があったのだろう。
 しかし、このまま進めば彼と踊ることになるのだ。
 弦は、内心ドキドキしていた。
 そして、いよいよ千尋の手を取り……音楽は終了した。

「何ッ!?」
「弦先輩、残念でしたね」
 どこまで解かっているのか、千尋は明るい笑顔を向けている。
(残念極まりない!)
 そう思ったが、すぐに先輩としての意識が働いた。
「まぁ、男同士で踊るのは、イレギュラーだ」
 そんな風に平気な顔をして、そのまま千尋とは別れた。

 クラスに戻ってからのホームルームでは、担任の山本が生徒全員にジュースを一本ずつ振る舞ってくれた。
(炭酸ピーチは、たしか千尋が好きだったな)
 弦はジュースを飲まずに、そのまま持ち帰ることにした。
 長い一日が、終わった。

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