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しおりを挟む山本は嬉しそうに、弦の前へ風呂敷包みを差し出した。
「我が校伝統の、学ランだ! さっそく着てみろ!」
(手際が良過ぎる……)
山本先生の脳内では、俺が団長と決定していたに違いない、と弦は呆れた。
袖を通してみると、田中が素早く長い白のたすきを掛けてきた。
きりりと締めると、歴代でもトップクラスの、見事な応援団長が爆誕した。
「似合うぞ、海江田!」
「私が見込んだ通りだな!」
口々に褒めちぎってくる教師二人に圧されながらも、弦は素朴な疑問を訴えずにはいられなかった。
「先生……この長ラン、違反制服なのでは?」
「細かいことは気にするな!」
「応援団長にだけ許された、特権だ!」
職員室は、弦の長ラン姿に沸いた。
若い教師など、スマホを持ち出し撮影する始末だ。
(何か、困った事態に陥ってしまった気がする!)
長ランを握りしめ、弦はこめかみに汗を一筋流した。
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