弦先輩と千尋の日常は晴れ時々くもり所によりドキドキするでしょう！ ～硬派先輩×可愛い後輩 幼馴染だった二人は恋に落ちていく……のか？～

1話 ずっとずっと僕だけを見て応援してくれてましたよね・前編

　厳しい残暑もようやく落ち着き、朝夕は過ごしやすくなってきた。
　そして、弦と千尋の通う北陽高校は、大きな行事を迎える。
　体育祭である。

　運動会や体育大会ではなく、体育祭。
　古くからスポーツ教育に力を入れているこの学校では、文字通り祭の趣で、盛大に行われる伝統があった。
　現代では危険だからと敬遠される、棒倒しや騎馬戦も堂々とやる。
　徒競走は、情け容赦なく順位が決められる。
　みんなで仲良く一等賞、ではない。
　一年生から三年生まで縦割りで紅白に分かれ、真剣勝負が繰り広げられるのだ。

　弦は3年6組、千尋は1年4組なので、同じ偶数組の白組となり、力を合わせて勝ちを狙いに行くこととなる。
「千尋、白組は絶対に優勝だぞ！」
「はい、先輩！」
　さらに団結を強める二人であるが、弦の担任・山本は職員室で腕組みをし、考え事を巡らせていた。