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「次! 立ち上がって胸を張り、背中を反らせろ! ニーベントスタイルの、自重スクワットだ!」
「弦先輩、もう10時です。そろそろ、やめませんか!?」
「これは、大腿四頭筋のトレーニングとして最適なんだ」
「答えになってません!」
 何とかスクワットを終えた千尋だったが、弦は容赦ない。

「次! 体幹トレーニングの、アーム&レッグレイズ! 10回×3セットでいくぞ!」
「せ、先輩。僕、疲れて……!」
「注意点は、呼吸。そして、正確な動きだ。初めてだから、ゆっくりやるぞ!」
「ね、眠りたいです。僕!」
 終わったら、存分に寝かせてやる。
 そんな弦の言葉に、千尋はがんばった。
 だがやはり、その後には体幹トレーニング・サイクルクランチが待っていた。
 さらにその後にも、トランクツイストが追加された。
 夜はどんどん更けていく一方だった。

 ようやく休むことを許された、千尋。
 弦が時計を見ると、日付が変わっている。
(これだけ運動して夜更かしすれば、大丈夫だ!)
 地獄の特訓は、千尋に寝坊をさせて、キャラ弁を作れなくするための布石だったのだ。
 明日は、普通の弁当を持って登校だ。
 そしてもう、坂井に妙な勘ぐりをする隙を与えない。
「完璧だ!」
 ほどなくして弦も、眠りに落ちて行った。

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