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しおりを挟む「千尋、まだ寝ないのか?」
「お弁当の下ごしらえ済んだら、眠ります。先に寝てください」
その返事に、弦はため息をついた。
あれから毎日、千尋は愛らしいキャラ弁を作っては、弦に持たせている。
(こんなことなら、初日に『恥ずかしい』とハッキリ言えばよかった!)
しかし、残さず平らげてくる弦に、千尋は『先輩は喜んでくれている』と感じてしまったらしい。
ネコやイヌ、はてはネズミまで可愛らしく仕立て、弁当を彩ってくる。
そして今日は、決定的な言葉が坂井の口から放たれた。
『海江田クン。まるで、愛妻弁当みたいだよね~』
彼女の目は、いやらしいカマボコ形に笑っていた。
「このままでは、いかん!」
坂井に、『海江田クンと河島クンは、ラブラブ!』と認定される前に、この弁当をやめさせなくてはならない。
「だが千尋は、純粋に俺を思いやっているんだ」
毎日遅くまで下ごしらえをし、朝早くから弁当を作ってくれているのだ。
そんな後輩を、傷つけるような真似はしたくない、弦だ。
「何と言って切り出そうか……」
千尋にキャラ弁作りをやめさせる良い考えは、なかなか浮かんでこなかった。
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