弦先輩と千尋の日常は晴れ時々くもり所によりドキドキするでしょう! ~硬派先輩×可愛い後輩 幼馴染だった二人は恋に落ちていく……のか?~

大波小波

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「千尋」
 あぁ、弦先輩。
(お願い。この部屋から、追い出さないで!)
 そこに、伸ばされてきた弦の腕だ。
 彼が握っていた手を開くと、テーブルの上にストラップが、ころんと現れた。
「もらってきたぞ、鳥の人形」
「先輩」
 千尋が弦に頼んでいた、赤いビーズ細工の小鳥だ。
 涙が、嬉し涙に変わる。

「先輩、ありがとう!」
「泣くほど嬉しいのか?」
 涙を拭いて、千尋は明るい声を上げた。
「どうして、これが欲しかったか解かりますか?」
 そういえば、鳥には青やら黄やら緑やら、いろいろあった。
 それが、なぜ赤い鳥なのか。

「この鳥、フェニックスみたいだと思いませんか?」
 不死鳥は、赤い鳥として表されることが多い。
「先輩、一時期『フェニックス』って呼ばれてたでしょう」
 多勢に無勢で喧嘩をしても、必ず勝利してきた弦。
 殴られても蹴られても立ち上がり、逆襲してくる姿は不死鳥のようだ、と畏怖されていた。
 まぁ、それは綺麗な方の通り名で、陰では『不死身のG』などと呼ばれていた。
 Gは弦のイニシャルであるが、あの不死身の昆虫・Gをも表しているのだ。
 


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