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しおりを挟む「弦先輩」
「なッ、何だ!?」
「お味噌汁の具は、おとうふでいいですか?」
弦は、安堵の息をつく。
そうだ、これだ。
これが普通なんだ。
ようやく人心地ついた弦は、さらに平常心を取り戻そうと、テレビをつけた。
ニュースはすでに終わっており、人気のドラマが始まっていた。
美人俳優とイケメン俳優が、向き合って何かしゃべっている。
『私、先輩のことが好きになってしまったの!』
『そんな……俺は、結婚してるんだぞ!』
ブツン!
「あれ? 先輩、テレビ消しちゃったんですか?」
はあはあと冷や汗を流す弦に、千尋は無邪気な笑顔を向けてくる。
「見ましょうよ。これ見ておかないと、明日友達の話題についていけないんです」
「くっ、くだらん番組を見るな!」
「ヤです。リモコン貸してください」
「ダメだ!」
乗り出して、リモコンに手を伸ばす千尋。
それを遠ざけようと躍起になる弦。
小さなバトルをしていると、バランスを崩した千尋が、弦の胸の中に倒れこんできた。
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