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「健さん、どうしたんですか?」
「どうした、って。未悠こそ、何かあったのか!?」
 帰りが遅いから心配してる、と健は素直に弱気を吐いた。
「僕、大丈夫です。ですから、健さんは心配しないで」
「今、どこにいるんだ?」
 それに対しては、返事がない。
 いぶかしく思った瞬間、通話口の声が変わった。
「こんばんは、城嶋さん」
「お前は……」
 物腰の柔らかな、優しい口調。
 だが健は、その声に危険を察知した。
「新見。新見だな」
「おや、声だけで解るとは。さすがですね」
 俺の手から、一度逃れただけのことはある。
 さすがと言えば、この少年・小咲もだが。
「小咲くんは大した度胸だ。拉致されても、顔色一つ変えやしない」
「未悠を。おい、未悠に指一本触れてみろ。ただじゃおかない」
「大丈夫。城嶋さんの、驚異の回復力の秘密を聞き出すまでは、命の保証はします」
「何が狙いだ、言え! 取引になら、応じるぞ!」
 電話口からは、喉で笑う声がする。
 そしてそのまま、切れてしまった。
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