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「起きろ、露希。朝だぞ」
「うぅん、まだ眠い……」
「8時だぞ。いいかげん起きなさい」
 だってぇ、と露希は鼻にかかった甘い声を出した。
「昨夜の誠さん、凄かったんだもん。僕、くたくただよ?」
 みるみる真っ赤になってゆく誠が、そこにいる。
「じゃ、じゃあ、あと5分だけ寝てなさい」
「今すぐ起きられる魔法が、あるんだけど」
 何だそれは。
 ただ、すぐに起きてくれるなら、ありがたい話だ。
 せっかく焼いたパンケーキが、冷めずにすむ。
 こそこそと小声で話す露希の声は、聞こえにくい。
 誠は、顔を近づけて耳を寄せた。
「キスしてくれたら、今すぐ起きる」
「仕方が無いな」
 誠は、露希に口づけた。
 露希も、誠にキスをした。
 二人の幸せな一日が、始まった。
 幸せな日々が、動き始めた。




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