時の舟には二人で乗ろう~自分を隠して偽り生きるイケメン俳優とモフモフあやかし少年は、愛を通して心を取り戻す~

大波小波

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「でも、さ。僕まで俳優にされちゃうなんて、思っても見なかったよ」
「比呂くんは、ダイヤモンドの原石だったな。桐生さんの魅力を、最大限まで引き出してくれたし」

 青原は、すでに叩き台まで仕上がっていた台本を、自ら書き直した。
 隼人と比呂の出会い、そして紫織の存在と体験。
 さらには、英介や達夫の軌跡を織り交ぜた。
 そして、隼人の相手役に比呂を大抜擢し、全く新しい色を付けたのだ。

 プロデューサーは困惑したが、なにせ世界の巨匠・青原監督の発案だ。
 結局はゴーサインを出して、映画はクランクインした。
 一年を掛けて撮影は行われ、地方や海外のロケも数回に及んだ。

「楽しかったねぇ、撮影旅行」
「そうだな。桐生さんと比呂くんで、また映画を創るか?」
「撮るなら、ロケを入れてね!」
 また旅行したいな、と比呂は酔って染まった頬に手を当てた。
 頬杖をつき、あやかしの仲間たちとワイワイ賑やかに、楽しく過ごした時間を思い返した。
 そして、その中には隼人もいたのだ。
 心から愛してやまない人との思い出は、比呂にとって大切な時間だった。

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