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しおりを挟む季節の味覚、ホタテに牡蛎。
今が旬の、白菜に長ネギ。
どっさり乗せた鰹節は、平削りの花かつお。
できたて熱々のお好み焼きに、青原はご機嫌だ。
「これは素敵な、海鮮お好み焼きだ。冷凍のシーフードでは、ないんだな!」
「猫神様には、おいしいものを食べていただきたいからね!」
失敗に沈んでいた比呂も、腕を存分に振るって明るさを取り戻している。
ふうふう言いながら、三人はお好み焼きを食べた。
食べながら、いろいろな話をした。
そこで知ることができたのは、青原の歩んできた道のりだった。
「自分が何歳になったかは、覚えていないよ。ただ、私が猫神を目指した動機は、比呂くんと同じだった」
「不幸なネコたちを救いたい、ですか?」
「そうだ。だが、いざ猫神になった後に、映画にハマってしまったんだなぁ」
ヒトの姿で、青原は映画を撮り続けた。
なにせ、途方もない寿命を持っているのだ。
時間は、いくらでもあった。
「さすがに不死身だと、問題があるから。まぁ、適当に老けたふりをして、やがて死んだふりをしたよ」
「ちゃっかりしてるな、猫神様は!」
寿命を終えたふりをし、青原は別の姿で、違う名前で、再び映画界へと舞い戻る。
そして、彼の生み出す作品は、いつも絶賛されてきたのだ。
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