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しおりを挟むすっかり明るくなり、心を開いてくれるようになった、紫織。
しかし彼は悲しげな表情で、隼人と比呂に、達夫から聞いた話を打ち明けた。
「英介さんは、一人きりで息を引き取ったそうなんだ」
紫織の恩人である、隼人の曽祖父・英介。
晩年は穏やかに過ごしたが、突然の心筋梗塞で亡くなった。
『今から30年くらい前、だな。私が54歳、父が84歳だった。ついでに隼人は、3歳だ』
英介は、早くに妻を亡くした。
彼女が60代で他界した後は、今の達夫のように一人で暮らした。
『あの頃はまだ、情報網が発達していなかったからね。私は大都市圏で、働いていたんだ』
詩人の達夫は、詩集を出版したり、多くのシンガーに歌詞を提供したりしていた。
彼の詩は美しく、人を惹きつける力があったため、多忙な日々を過ごしていた。
しかし、仕事に忙殺されては大変と、思いきって家族旅行を計画したのだ。
『曾孫の隼人も連れて行く、と言ったら、父はすごく喜んでくれたよ。旅立つ前日に、父の住む屋敷へ、全員集合の予定だった』
そして達夫が英介の元へ到着した時には、父は帰らぬ人となっていた。
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