時の舟には二人で乗ろう~自分を隠して偽り生きるイケメン俳優とモフモフあやかし少年は、愛を通して心を取り戻す~

大波小波

文字の大きさ
上 下
108 / 230

3

しおりを挟む

「いやぁ。やっぱり可愛いですね、ネコちゃんは!」
「癒されますよねぇ」
 そんな風にキャスターたちは場を丸く収め、このコーナーの締めくくりを始めた。
「桐生さん。今日は貴重なご意見を、ありがとうございました」
「ひいおじいさんの体験談も、胸に染みました」
「衣食住に不自由のない私が、こんな理想論を述べるのは、おこがましいのですが」
「社会は多様性時代を迎えておりますから、桐生さんのお話しは、視聴者の皆さんにも届くと思います」
 ありがとうございます、と隼人は頭を下げた。

 カメラは天気予報のセットされたスタジオへと向きを変え、隼人もようやく解放された。
 声も無く、ふぅと一息ついた後、まだ少し仕事の残っているキャスターに会釈した。
 周囲で働くスタッフたちにも、軽く手を上げたり、お辞儀をしたり。
 そして、スタジオから退出し、楽屋へと歩いた。
 廊下の角を曲がり、隼人ために用意された控室へと向かうと、ドアの前に人がいる。

「あれっ? 笹山さん」
「桐生さん!」
 出演前には姿の見えなかった笹山が、ペーパーバッグを手に、苦笑いしている。
 大丈夫ですか、と隼人は彼に駆け寄った。
「二日酔い、とかは? 今日は、オフでも良かったのに」
「桐生さんが朝早くから動いてるのに、マネージャーが自宅で寝てるわけにはいかないでしょ!」
「まぁ、控室へ入りましょう」
「ありがとう」
 二人はひとまず、楽屋内へと落ち着くことにした。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

キサラギムツキ
BL
長い間アプローチし続け恋人同士になれたのはよかったが…………… 攻め視点から最後受け視点。 残酷な描写があります。気になる方はお気をつけください。

初恋はおしまい

佐治尚実
BL
高校生の朝好にとって卒業までの二年間は奇跡に満ちていた。クラスで目立たず、一人の時間を大事にする日々。そんな朝好に、クラスの頂点に君臨する修司の視線が絡んでくるのが不思議でならなかった。人気者の彼の一方的で執拗な気配に朝好の気持ちは高ぶり、ついには卒業式の日に修司を呼び止める所までいく。それも修司に無神経な言葉をぶつけられてショックを受ける。彼への思いを知った朝好は成人式で修司との再会を望んだ。 高校時代の初恋をこじらせた二人が、成人式で再会する話です。珍しく攻めがツンツンしています。 ※以前投稿した『初恋はおしまい』を大幅に加筆修正して再投稿しました。現在非公開の『初恋はおしまい』にお気に入りや♡をくださりありがとうございました!こちらを読んでいただけると幸いです。 今作は個人サイト、各投稿サイトにて掲載しています。

悩める文官のひとりごと

きりか
BL
幼い頃から憧れていた騎士団に入りたくても、小柄でひ弱なリュカ・アルマンは、学校を卒業と同時に、文官として騎士団に入団する。方向音痴なリュカは、マルーン副団長の部屋と間違え、イザーク団長の部屋に入り込む。 そこでは、惚れ薬を口にした団長がいて…。 エチシーンが書けなくて、朝チュンとなりました。 ムーンライト様にも掲載しております。 

『これで最後だから』と、抱きしめた腕の中で泣いていた

和泉奏
BL
「…俺も、愛しています」と返した従者の表情は、泣きそうなのに綺麗で。 皇太子×従者

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

仕事ができる子は騎乗位も上手い

冲令子
BL
うっかりマッチングしてしまった会社の先輩後輩が、付き合うまでの話です。 後輩×先輩。

彼は罰ゲームでおれと付き合った

和泉奏
BL
「全部嘘だったなんて、知りたくなかった」

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

処理中です...