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しおりを挟む「隼人さん、おかえりなさい!」
「ただいま、比呂くん」
元気いっぱい隼人を出迎えた比呂に、紫織は面食らった。
比呂もまた、初めて顔を合わせる紫織に、少しだけ表情を硬くした。
彼の不安を敏感に読み取り、隼人はすぐに紫織の紹介に入った。
「比呂くん。こちらは今日、私を取材してくれた、吉永さん」
「取材? 私は、本多の隣に座っていただけですが」
紫織の放った険のある言い方に、比呂はさらに顔つきが強張ったように見える。
隼人は、心配になってきた。
(比呂くんが、委縮してしまわなければいいけど……)
だがそれは、杞憂のようだった。
「初めまして。僕は、安達 比呂! 隼人さんの、ハウスキーパーだよ!」
「そ、それはどうも……」
今度は紫織の方が、比呂の明るさに気圧された。
差し出された彼の手を反射的に取り、親愛の握手まで交わす始末だ。
そんな二人を、隼人は笑顔で見ていた。
(比呂くんなら、吉永さんとも仲良くなれそうだ)
紫織は比呂と握手しながら、観察眼を取り戻していた。
(ハウスキーパー、か。恋愛関係に発展する可能性は、充分にあるな)
比呂は、紫織の目の奥を覗き込むような気持ちだった。
(どんな人なんだろ、吉永さんって。お友達に、なれるかなぁ?)
心の内は、三者三様だった。
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