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しおりを挟む『比呂くん。まさか、あのネコは……君自身か?』
『ば、バレたか……!』
そして比呂は、こんなことも言っていた。
『見ての通り、僕はネコのあやかしです! 立派な猫神様になれるよう、修行中です!』
「ネコのあやかし……? 猫神様……? 修行中……?」
ぶつぶつと小さくつぶやく隼人の言葉は、もちろん独り言で、笹山には聞こえない。
電話口からは彼の大声が響いているが、隼人の思考はすっかり別方向に逸れてしまっていた。
そんな時、笹山の声を探るように、ネコが隼人によじ登って来た。
「ニャァ」
『おー、ネコちゃん! 立派なアシスタントだったね!』
「笹山さん。この後の、隼人さんのスケジュールは? 今夜は、遅くなるのかな?」
『やあ、今度は比呂くんか。16時から、インタビュー記事の取材が入ってるよ。その後はね……』
笹山と、隼人の予定を確認し合う比呂は、すでにヒトの姿になっている。
素裸で隼人にもたれ、時々彼を見上げては微笑む。
「夢じゃない。現実だったんだ……!」
比呂くんはネコのあやかしで、立派な猫神様になれるよう修行中で、そして。
(私はそんな比呂くんと、関係してしまった……!)
隼人は、目が回りそうだった。
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