39 / 67
6
しおりを挟む
「素敵だったよ、白川くん」
「叶さん……」
ウェットティッシュで瑞樹の体を拭いながら、誠は意地悪く訊いてきた。
「白川くんは? どうだったかな?」
「まだ少し、怖い、です……」
気持ち悦すぎて、怖い。
自分が自分でなくなる感覚が、怖い。
そんな瑞樹の不安に、誠はうなずいた。
頬に手のひらを当てて、かすれた声で言った。
「怖いのに、私に付き合ってくれて、ありがとう」
「あ、いいえ……」
「大丈夫。そのうち、何も考えられなくなるぞ」
「そう、でしょうか」
「そうとも」
そして、誠の笑顔がそこにある。
まだ熟れたままの思考で、瑞樹は薄く微笑み返した。
何だろう、この感じ。
今までの、叶さんへの気持ちが、別の何かに変わったような。
ただそれは、嫌悪とは違う。
そのことに、ほっとした。
「叶さん……」
ウェットティッシュで瑞樹の体を拭いながら、誠は意地悪く訊いてきた。
「白川くんは? どうだったかな?」
「まだ少し、怖い、です……」
気持ち悦すぎて、怖い。
自分が自分でなくなる感覚が、怖い。
そんな瑞樹の不安に、誠はうなずいた。
頬に手のひらを当てて、かすれた声で言った。
「怖いのに、私に付き合ってくれて、ありがとう」
「あ、いいえ……」
「大丈夫。そのうち、何も考えられなくなるぞ」
「そう、でしょうか」
「そうとも」
そして、誠の笑顔がそこにある。
まだ熟れたままの思考で、瑞樹は薄く微笑み返した。
何だろう、この感じ。
今までの、叶さんへの気持ちが、別の何かに変わったような。
ただそれは、嫌悪とは違う。
そのことに、ほっとした。
15
お気に入りに追加
48
あなたにおすすめの小説
白い部屋で愛を囁いて
氷魚彰人
BL
幼馴染でありお腹の子の父親であるαの雪路に「赤ちゃんができた」と告げるが、不機嫌に「誰の子だ」と問われ、ショックのあまりもう一人の幼馴染の名前を出し嘘を吐いた葵だったが……。
シリアスな内容です。Hはないのでお求めの方、すみません。
※某BL小説投稿サイトのオメガバースコンテストにて入賞した作品です。
欠陥αは運命を追う
豆ちよこ
BL
「宗次さんから番の匂いがします」
従兄弟の番からそう言われたアルファの宝条宗次は、全く心当たりの無いその言葉に微かな期待を抱く。忘れ去られた記憶の中に、自分の求める運命の人がいるかもしれないーー。
けれどその匂いは日に日に薄れていく。早く探し出さないと二度と会えなくなってしまう。匂いが消える時…それは、番の命が尽きる時。
※自己解釈・自己設定有り
※R指定はほぼ無し
※アルファ(攻め)視点
運命の番と別れる方法
ivy
BL
運命の番と一緒に暮らす大学生の三葉。
けれどその相手はだらしなくどうしょうもないクズ男。
浮気され、開き直る相手に三葉は別れを決意するが番ってしまった相手とどうすれば別れられるのか悩む。
そんな時にとんでもない事件が起こり・・。
愛欲の炎に抱かれて
藤波蕚
BL
ベータの夫と政略結婚したオメガの理人。しかし夫には昔からの恋人が居て、ほとんど家に帰って来ない。
とある日、夫や理人の父の経営する会社の業界のパーティーに、パートナーとして参加する。そこで出会ったのは、ハーフリムの眼鏡をかけた怜悧な背の高い青年だった
▽追記 2023/09/15
感想にてご指摘頂いたので、登場人物の名前にふりがなをふりました
運命の息吹
梅川 ノン
BL
ルシアは、国王とオメガの番の間に生まれるが、オメガのため王子とは認められず、密やかに育つ。
美しく育ったルシアは、父王亡きあと国王になった兄王の番になる。
兄王に溺愛されたルシアは、兄王の庇護のもと穏やかに暮らしていたが、運命のアルファと出会う。
ルシアの運命のアルファとは……。
西洋の中世を想定とした、オメガバースですが、かなりの独自視点、想定が入ります。あくまでも私独自の創作オメガバースと思ってください。楽しんでいただければ幸いです。
成り行き番の溺愛生活
アオ
BL
タイトルそのままです
成り行きで番になってしまったら溺愛生活が待っていたというありきたりな話です
始めて投稿するので変なところが多々あると思いますがそこは勘弁してください
オメガバースで独自の設定があるかもです
27歳×16歳のカップルです
この小説の世界では法律上大丈夫です オメガバの世界だからね
それでもよければ読んでくださるとうれしいです
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる