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 瑞樹が前庭の草刈りを始めて、1週間が過ぎた。
 始めた頃は永遠に終わりのない苦行のようだったが、何とか荒れ地を開墾した。
「そこで、叶さんに提案があります」
 社長室から事務所に出てきている誠に、瑞樹は臆せず意見し始めた。
 突然の話に、誠は少し驚いた風だったが、すぐに耳を傾けてくれた。

「一体、何だ?」
「前庭に、芝生を敷きませんか? もう二度と、あんなことのないように」
「芝、か」
 庭が人工的に見えるので、芝生で覆うには気が進まない誠だ。
 しかし、瑞樹は押した。
「芝で抑制すれば、もうあんなにたくさんの草の命を絶やさずに済みます」
「なるほど」
 白川くんらしい考えだ、と誠はうなずいた。
「解った。芝の種類は、任せる。好きなものを植えていい」
「ありがとうございます!」
 さっそく瑞樹は、デスクのパソコンで、芝を取り扱う業者のサイトを検索した。
「ノシバは在来種だから強いけど、冬に枯れちゃうのが寂しいな。コウライシバにしよう」
 熱心な彼を、誠は目を細めて見ていた。

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