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1話 どこへでもどこまでも一緒に
しおりを挟む「大変だ、倫!」
「どうしたの? 怜士さん」
「あのスーパーに、有名アイスクリームのチェーン店が入るらしい!」
どれどれ、と倫は、怜士が示したライバル店のホームページを覗き込んだ。
明るくポップなイメージで、アイスクリームショップが来月オープン、との告知が大きく出ている。
「やったぁ! ね、怜士さん。一緒に食べに行こうよ!」
「倫。そんな呑気なことでいいのか?」
怜士は眉を、ハの字に下げた。
全く、と言いながらも、その眼差しは優しい。
「それより、早く出かけよう? きっともう、お客さんがいっぱい来てるよ」
「はいはい」
今日はこれから、山あいに新しくできた、道の駅へ買い物に行く予定なのだ。
怜士と倫、二人の再会から、3年の月日が経っていた。
倫は高校を卒業したのち、長いこと休業していた『マーケット・相羽』を開けた。
四代目店長・倫の誕生だ。
もう店は諦めようと思っていた倫を勇気づけたのは、怜士だった。
せめて、父の後は継ぐべきだ、と。
たとえその後、看板を下ろすことになっても。
『まずは、挑戦してみるんだ。何もやらずに終われば、きっと後悔する』
こんな力強い言葉で、励ましてくれた。
もちろん口先だけでなく、倫の頼もしい右腕としても大活躍だ。
客が今、どんな商品を求めているかを、リサーチしたり。
大手スーパーと被らない商品を、厳選したり。
自ら高台までワゴン車を走らせ、移動販売を始めたり。
そして、白河の家を出て、倫と一緒に暮らすようにもなっていた。
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