174 / 180
5
しおりを挟む怜士は、貪欲に倫を求めた。
決して激しくはないが、繊細で、ていねいで、濃厚な愛撫。
その小さな体を、余すところなく食べてしまうような、そんな交わり方をした。
「れ、怜士、さん……。僕、僕、もう……あぁあ!」
わななき、精を飛ばす倫。
もうこれで、何度目になるだろう。
ねっとりと腰を捻りながら打ち込んでくる怜士からは、まだ一回も受け取ってはいないのに。
「僕、欲しい。怜士さんの……あぅ、う! あ、そこは、そこはダメッ!」
「大切な、私の倫。一体、何が欲しいのかな?」
「い、意地悪ぅう!」
言えたら、あげるよ。
含み笑いしながら、そんな悩ましい課題を出す怜士だ。
倫の敏感なスポットに、硬い先端で刺激を与えて煽って来る。
「はぁ、はぁ、あぁ。もう、ダメ……ッ」
喘ぐ息を吸い込み、倫は声を張った。
「僕は! 怜士さんの!」
「はい、そこまで」
「あぅ!? は、あぁあ! んあぁ、あぁああ!」
倫の体内に、勢いよく怜士の熱が注がれた。
「んっ、く。うぅ、あ! ふぅ、あぅ、うぅうう……」
「君に、品のない言葉を使わせたくはないな」
「やっぱり……意地悪ぅ……」
「すまない。いや、ごめん、と言うべきなのかな」
少しフランクな言葉を、怜士は選んだ。
もう私は、北白川家の人間ではないのだ。
そして倫に、もっともっと寄り添いたい。
余韻の熱に震える倫を、怜士は優しく抱いた。
倫もまた、彼にしっかりと腕を回した。
温かな互いのぬくもりを確かめながら、新しい世界を歩み始めた。
0
お気に入りに追加
82
あなたにおすすめの小説
運命なんて残酷なだけ
緋川真望
BL
「この人が本当に運命の番ならいいのに」
オメガである透はアルファの婚約者との結婚を間近に控えたある日、知らない男に襲われてむりやり番(つがい)にされてしまう。汚されたΩは家門の恥だと屋敷を追い出され、婚約も破棄され、透はその事件ですべてを失った。
三年後、母の葬儀にこっそり参加した透は参列者のひとりから強烈なアルファのフェロモンを感じ取る。番にされたオメガは番のフェロモンしか感じ取れないはず。透はその男こそ犯人だと思ってナイフで襲いかかるが、互いに発情してしまい激しく交わってしまう。
男は神崎慶という実業家で、自分は犯人ではないと透に訴える。疑いを消せない透に対して「俺が犯人を捕まえてやる。すべて成し遂げた暁には俺と結婚して欲しい」といきなりプロポーズするのだが……。
透の過去は悲惨ですが、慶がものすごいスパダリなのでそこまでつらい展開は無いはずです。
ちゃんとハッピーエンドになります。
(攻めが黒幕だったとかいう闇BLではありません)
運命の番と別れる方法
ivy
BL
運命の番と一緒に暮らす大学生の三葉。
けれどその相手はだらしなくどうしょうもないクズ男。
浮気され、開き直る相手に三葉は別れを決意するが番ってしまった相手とどうすれば別れられるのか悩む。
そんな時にとんでもない事件が起こり・・。
記憶の欠片
藍白
BL
囚われたまま生きている。記憶の欠片が、夢か過去かわからない思いを運んでくるから、囚われてしまう。そんな啓介は、運命の番に出会う。
過去に縛られた自分を直視したくなくて目を背ける啓介だが、宗弥の想いが伝わるとき、忘れたい記憶の欠片が消えてく。希望が込められた記憶の欠片が生まれるのだから。
輪廻転生。オメガバース。
フジョッシーさん、夏の絵師様アンソロに書いたお話です。
kindleに掲載していた短編になります。今まで掲載していた本文は削除し、kindleに掲載していたものを掲載し直しました。
残酷・暴力・オメガバース描写あります。苦手な方は注意して下さい。
フジョさんの、夏の絵師さんアンソロで書いたお話です。
表紙は 紅さん@xdkzw48
運命の息吹
梅川 ノン
BL
ルシアは、国王とオメガの番の間に生まれるが、オメガのため王子とは認められず、密やかに育つ。
美しく育ったルシアは、父王亡きあと国王になった兄王の番になる。
兄王に溺愛されたルシアは、兄王の庇護のもと穏やかに暮らしていたが、運命のアルファと出会う。
ルシアの運命のアルファとは……。
西洋の中世を想定とした、オメガバースですが、かなりの独自視点、想定が入ります。あくまでも私独自の創作オメガバースと思ってください。楽しんでいただければ幸いです。
【完結】運命さんこんにちは、さようなら
ハリネズミ
BL
Ωである神楽 咲(かぐら さき)は『運命』と出会ったが、知らない間に番になっていたのは別の人物、影山 燐(かげやま りん)だった。
とある誤解から思うように優しくできない燐と、番=家族だと考え、家族が欲しかったことから簡単に受け入れてしまったマイペースな咲とのちぐはぐでピュアなラブストーリー。
==========
完結しました。ありがとうございました。
オメガの復讐
riiko
BL
幸せな結婚式、二人のこれからを祝福するかのように参列者からは祝いの声。
しかしこの結婚式にはとてつもない野望が隠されていた。
とっても短いお話ですが、物語お楽しみいただけたら幸いです☆
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる