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しおりを挟む決して豪邸ではないが、それなりに立派な家。
庭は広く、緑の生垣に囲まれ、木調のアルミ素材でできた和モダンな門柱。
その前に、倫は懐かしい顔ぶれを見た。
両親だ。
倫が帰ってくると聞き、待てないで外まで出迎えに出ているのだ。
「お父さん……お母さん……!」
見る間に、視界がにじむ。
すでに故人で、もう二度と会えないと思っていた、家族。
彼らは倫の世界のままの姿で、彼の前に現れた。
「倫。大丈夫か?」
「は、はい。ごめんなさい」
涙をこぼす倫に、怜士は先ほどの考えを改めずにはいられなかった。
『もしかすると、身の上の急変に心が追い付かず、脳に異常をきたしているのかもしれない』
『苦しみや悲しさから心を守るために、妄想が生み出されているのかも』
倫が、別世界の人間だとは100%信じ切れていなかった、怜士だ。
しかし、彼の涙に確信を持った。
(倫は、本当にどこか他所からやってきた、異邦人なんだ)
不思議なことだが、信じずにはいられない事実だった。
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