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1話 倫と光希と怜士と彩華と

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 この世界で、亡くなった両親と再会できるかもしれない……?
 倫がその期待と不安に心を震わせていると、ドアがノックされた。
「開けても、よろしいですか?」
「あ……。ど、どうぞ」
「失礼します」
 室内に入って来たのは、彩華の息子・光希。
 そして、彼のお付きの者たちだった。
 小さな5歳の光希の周りを、数名の大人が固めている。
 教育係に、マナー講師。
 ボディガードに、医師に、執事。
 しかし、真っ先に倫に声を掛けたのは、光希だった。
「相羽さん。本日は、よろしくお願いします」
「はい。こちらこそ、よろしくお願いします」
 少し緊張した表情を残したまま、笑顔を交わした二人だ。
 倫は、まず光希にこう提案した。
「良かったら。僕のことは、倫と呼んでくれて構わないですよ?」
「では倫さんは、僕を、光希と呼んでください」
「はい。光希くん」
 それには、周囲の大人たちが口々に反発した。
「光希くん、などと! 光希さま、とお呼びいただきたい!」
「相羽さんとは、家柄が違うのですよ!?」
「身の程をわきまえていただかないと、困ります!」
 あまりの剣幕に、倫がたじろぐと、光希が腕を上げてそれらを制した。
「静かに。僕は今日、倫さんにお世話になるんだ。彼に、従いなさい」
 その毅然とした態度に、倫は心の中で深い息を吐いた。
(さすが、彩華さまのお子さんだな)
 5歳児でありながら、光希はすでに、上に立つ者の持つオーラを身にまとっている。
 こんな立派な子に、ついていけるかな、などと考えながら、倫は改めて彼と向き合った。

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