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しおりを挟む「怜士さまは、またお酒を飲んでおいででした」
『ふん。酒に逃げるとは』
「そうです。それほど、お疲れなんです。身も心も」
だから、自分に膝枕をして欲しいと、おっしゃった。
そう、倫は語った。
「そして。こうも、おっしゃいました」
『昔。幼い頃に、私と丈士はよくこうして母の膝に憩ったんだ。こう、両方から。母の膝を片方ずつ分け合って、ね』
「怜士さまは、丈士さまと昔のように、仲良くしたいと思っておいでなんです」
『怜士お兄様……。し、しかし……』
「丈士さま。明日の10時に、お茶にお越しになりませんか?」
『えっ』
「怜士さまと、ご一緒にティータイムを。そうやって少しずつ、仲良くしていかれませんか?」
『……』
丈士から、返事はもらえなかった。
黙ったまま、彼は通話を切ってしまったのだ。
「でも。考えてはくださったみたいだ」
もしかすると、明日の10時に来てくれるかもしれない!
ちょっぴり。
だけど、前進。
期待を胸に、倫は眠りに就いた。
明日が、待ち遠しかった。
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