半グレの私はなぜピュアなハウスキーパーをこんなに深く愛してしまったんだろう

大波小波

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「危ないことはしないでください、って言ったのに」
「遠田ごときのパンチで倒れるほど、やわじゃないさ」
 若い頃は、ずいぶんヤンチャをした真だ。
 杏くらいの年齢には、族の頭になってケンカ三昧の日々を送っていた。
「だから、これくらいのケガ……、痛い!」
「唇を切ってるんです。おしゃべりしないでください」
「唇にまで、消毒液を染み込ませることないだろう……」
 血止めをして消毒をし、絆創膏を張って真は実に痛々しい顔になってしまった。
「こんな顔じゃ、お客様の前に出られやしない」
「しばらく、ここで休ませてもらいましょう」
「ごめんな、杏。せっかくのクリスマスパーティーが」
「いいから、真さんは静かに掛けててください」
 仮眠用のベッドに腰掛けた、真。
 その下半身を、杏はまじまじと見ていた。
「何だ、どうかしたか?」
「あの、その。僕、頑張った真さんに御礼をしたいんです」
「御礼?」
「遠田さんが勝ってたら、僕あの人に苛められてましたよね。きっと」
 僕を守ってくれた、真さん。
「大好きです……」
「お、おい!?」
 杏は真のベルトを外し、トラウザーズのジッパーに手を掛け、ゆっくり下ろした。

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